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七色虹:最終話 壁の一面

 夏休みも残り一日、虹の恋人である俺は今日も彼女といちゃつく為に彼女の家へと通っている。

「ほら、ペース落ちてるぞ」

「えーと、えーと……適当に書いちゃえ」

「喝―っ!」

 俺が虹の告白を受けてからこっち、二人でずっと遊んでいた。

 それはそれは楽しい毎日で、夏休みももうおわりだねーという話題があがった。。

「おっと、そろそろ夏休みの宿題を始めないといけないや」

「……え? 虹、まさか……全く、やってないのか?」

「う、うん。それが普通でしょ? 八月の中旬からやり始める……。冬治君はどんな計画立てた?」

「俺、もう終わってるぞ」

「え? 嘘……」

 とぼけた表情ではない、虹の表情に俺は驚愕した。

「七色、今日から毎日朝から晩まで、俺はお前の家に行くよ」

「え? えーっと、ほ、ほんと? やった! と、冬治君さえ良ければさ……その、泊まって行っても、いいよ?」

「そうだな、いよいよって時にはそうさせてもらうよ」

「いよいよ……うへへ、いよいよかぁ……」

 何だか違う事を考えているようだ。やれやれ、頭の中を一度見てみたい気もするぜ。

 そして、いよいよの事態がやってきたのだ。

「まずいなぁ、このペースだと終わらないぞ」

 七色がトイレに行っている間に、どれだけ終わったかチェックする。

 俺の字とどっこいどっこいの字をにらめっこしながら残りのページめくっていく。

「うーん……おかしいなぁ。やり始めるときはもう終わっている計算だったが……」

「見てみて、冬治君」

「ん?」

 戻ってきた虹はセクシーポーズを取っていた。

「巨乳になったよ!」

「ああ、そりゃ良かったな。ほら、さっさと座れ、勉強の時間だ」

「えー、反応、薄くない?」

 風船を胸に詰め込んできたアホな彼女に俺はため息しか出ない。

「俺はつるぺたの虹が大好きだからな」

「う、うん。そっか」

「それに、さっきからそれ関係のネタばっかりしてるから正直飽きた」

 こうやって虹が勉強途中にふざけ出すのでペースが遅れているのだろう。

 それから一時間が経ち、休憩時間となる。

「ふー……もう頭に何も入らないよ」

「徐々にだけどさ、机にかじりついてる時間が長くなってる。虹も充分、勉強出来るんだよ」

「そうかな?」

「そうだよ」

 自腹で買ってきたジュースを七色に渡して、俺もプルタブを開ける。

「あのさ、夏休みの宿題は猶予期間があるよね?」

「ん? ああ、そうかもな」

 事実、夏休みの宿題をしていなくても二日、三日ぐらいは先生によっては待ってくれるだろう。

「その間に冬治君のを見せてもらえばばっちりじゃない?」

「ばっちりじゃないな」

「えーどうしてー?」

「俺は我がままで見せびらかすのが好きなんだよ」

「へ?」

 良くわからないと言った顔になった虹に俺は続ける。

「俺の彼女は立派なんですよーってひけらかしたいんだ。特に、先生にな。だから、俺は虹に適度に頑張ってもらうつもりなんだよ」

「そ、そっか……でも、それなら冬治君の分を見せてもらった方が速いよ。教科書をわざわざ開いてやり方を見ながら夏休みの宿題を終わらせるのは非効率だよ!」

「だから、ばっちりじゃないんだよ。俺は出来れば、虹と一緒の大学に行きたいんだ。一緒に入学式に出て、馬鹿やって、一緒に卒業する。就職はきちんと考えてないが、その時も一緒なら結構な年数、経ってるよな。その時は……」

 続きを言おうとした俺の口に、虹は人差し指を押しつける。

「待った! その続きはこんなムードもへったくれもない場所で言うのはやめて!」

 彼女の部屋で二人きり……別にムードが無いわけじゃないと思うがね

 ま、虹がそう思うのならそうなんだろう。

 俺はお口にチャックして黙る事にする。

「冬治君。今日はもう帰っていいよ」

「え?」

「僕さ、冬治君がいると駄目だ。ついつい、構ってもらいたくなっちゃうから。後はさ、自分でやってみるよ。もし、駄目で怒られても大丈夫。何で、怒られるのかよくわかると思う」

「……そうかい」

 彼女がそう言うのなら信じてやるのも彼氏だろう。

 一応準備してきていた、俺の分の夏休みの宿題……それらは使用されずに家へと持って帰ることになった。

 そして、それから俺が虹と会う事は無く、ケータイで軽いやり取りをするぐらいだった。最終日に『終わらせたぜぃ』というメールがやってきたときは涙が出てしまった。

 二学期が始まった。

「おはよー」

「おはよう」

 抱きつくように挨拶してくる虹に戸惑う事もなく、そして周りも慣れているらしい。

 おかしな話で、一学期中はそんなことなかったはずなんだけどな。

「皆さん、おはようございます。今日から二学期ですね。事故が無く、健康でみんな揃った事が嬉しいですよ」

 そう前置きして、先生はクラスを見渡した。

「それでは、夏休みの宿題を提出してくださいね」

 心なしか、虹の方を見ている。

「なぁ、赤井」

「何?」

「……一年の頃、虹は夏休みの宿題ってちゃんと出してたか?」

「時効まで逃げ切った……確かそう、言ってたっけ」

 首をかしげている赤井の記憶が、間違っていると信じたかった。

「……七色虹は中学全学年の時に全て時効、もしくは補習を適当に受けてお茶を濁した」

「そらぁ、マークもされるわ」

 黒葛原さんからの情報に俺はため息をつく。

 筋金入りの宿題嫌いだったのか。

 まだまだ、俺は彼女の事を知らないんだな。

 許容範囲で、虹の事を知りたいと思う。

「しかし、校内新聞に貼りだされる程……凄い事だったとはな」

 彼氏パワー? という見出しで張り出された記事には俺と虹が写っている。あいつはこれで念願の夢が叶ったと言っていた。全く、学園新聞に載るぐらい大した夢でもないだろうに。

 記念に一枚、コピーをもらっておこうと思う。

 自分の部屋に飾っておくかな。


どうも、作者の雨月です。まさかの、黒葛原編最終話であとがきを忘れるという失態をやっちまいました。うう、折角百話突破で何か気のきいた言葉を言いたかったのに……まぁ、それはさておき、七色虹編です。これはこっちのみ、書いてます。色の名前が多かったので出したキャラで、他のキャラの話でも登場しています。彼女の立場は冬治のアホな友達です。まぁ、他の作品にも出ているのでもしかしたら……そっちでも話を作るかもしれませんね。感想、評価ございましたら是非、よろしくお願い致します。ついでに百話達成の感謝の気持ちでも述べようかと思います。みなさんが見てくれているので見事に百話を突破しました。今後もこの作品をお願いします。

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