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帰宅部だって立派な部活だ!  作者: 儚夢
3.迫り来る期末テスト
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先行き不安な勉強会

「She is a boy. She is a boy.」


 体育祭も終わり、その翌週からは浮ついた様子も見られずに週がスタートした。午前・午後の授業は共に『一学期末テストに向けて』行われた。

 そしてこの放課後。部活動はどの部も強制的にテスト勉強をする時間と定められた。……何でまだ期末テスト一ヶ月前なのにここまで強制するんだろうな。


「……Girl is boy. Girl is boy.」


 例にならって我が帰宅部も、テスト勉強をし始めた。果たしてこれがテスト勉強になっているのかはひとまず置いておこう。

 ……この東雲とううん高校が何故、一ヶ月前から期末テストに向けて部活を潰してまで取り組ませるのか、一応の説明は担任である西内にしうち久美くみ先生からあった。

 要約すると、『この学校は進学校だから十分な準備期間を取った』とのこと。正直、その説明で初めてこの学校が進学校だってことが分かった。


「「Becky is a cat. Becky is a cat.」」


「いい加減にわざとだよな!?」


 果たしてこれがテスト勉強になっているのかを、改めて言わせてもらおう。

「何よ瀬戸せと

 英文音読を邪魔されたからか、不満気な月光げっこう月夜つくよが言う。整った顔立ちが、今は怒りで歪んでいる……が、それでもやっぱりコイツの顔は綺麗だった。

「……勉強の邪魔しないで」

 口をへの字に曲げてそう言ったのは霧平きりひら雪雛ゆきひな。拗ねたみたいな幼い表情にでさえ見蕩れてしまうような端整な顔立ち。

「このやり取りに、私は突っ込みを入れるべきなのかな……」

 苦笑いを浮かべながら控え気味に言うのは、体育祭当日から正式にこの帰宅部に入部した涼月すずつき咲夜さくやだ。家の事情で帰宅部入部の選択肢しか残っていなかった、美少女。

「いや咲夜は勉強をしていてくれ。俺がコイツらに教育を施す」

「あ、うん。じゃあ……宜しくね?」

 そう言って少しだけ首を傾げて微笑む咲夜。……くっ……そんな顔、卑怯だ! 何で女子って生き物はこうも男子のツボをしっかりと押さえている!?

「なあ二人共、『She is a boy.』だとか『Girl is boy.』だとか……おかしいと思わないか? それじゃあ『彼女は男の子です。』、『少女は男の子です。』になるだろう? もう文法の問題じゃないんだ」

「うるっさいわね。私より勉強できないくせに」

「はぁぁ!? それはないだろ!」

 うっ……思わず大声を出してしまった。いやでも、月夜があまりにも酷いことを言うもんだから、これは不可抗力ってヤツだ。

「じゃあこの間の英語の小テスト、何点よ」

 ふっ、よりにもよって月夜の苦手な英語での勝負か。それは望むところだ!

「八十七点だ。月夜は?」

「百点」

「嘘だぁ!」

 こ、コイツが!? 『interested』を『interesting』とか書いちゃう月光月夜が!? 百点!? 何の冗談だ?

「本当よ。ほら」

 鞄をガサガサと漁ってそれを突き出して来る月夜。嘘だ嘘だと思いながらも受け取って二つ折りのテストを開く。


 月光さん、満点おめでとう! Perfect!


 大きく100と書かれた数字の横に、そんな分が添えられていた。

「嘘だぁぁぁ!」

「嘘じゃないわよ、ちゃんと書いてあるでしょ? ペーファクトって」

 ああ……きっとコレは悪い夢だ。『パーフェクト』を『ペーファクト』って読むような奴が、百点なんて取れるはずがない。


 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★


「ええと……右は徳川家の家計図です。空いている□の部分に入る人名を書きなさい。って……どんな問題だよ」

 俺は苦手な歴史を中心として勉強を進めている。正直言って○○何代将軍は?と問われても答えられる自身が無い。

 家計図問題なんてあるのか……と思いつつも、仕方ないことも分かっていた。だってこの問題集……あの西内の手作りなんだから。

 何でだよ、と思った奴もいるかもしれないが、俺は「お前は歴史が苦手だからこの問題集をやれ」と押し付けられただけだ。

「家康は……ここか」

 教科書で何度も確認しながら□を埋めて行く。……まあ、この問題集には助かってると言えば助かってる。決して無駄にはなっていないはずだしな。

「ん? 徳川とくがわ家茂いえもちは何代将軍か書け? ……家茂って誰だ?」

「瀬戸君、家茂は十四代将軍だよ。……う~ん、あまり私達の間で有名と言える人ではないかもしれないけれど、血筋だけじゃなくて幕臣からの信望厚く、忠誠を集めたと言われている人なんだよ?」

「へえ……咲夜って勉強もできるんだな」

 ふむ……徳川家茂か。折角教えてもらえたんだ、覚えておこう。

「……瀬戸君、そんなことも知らなかったの?」

 雪雛が心底驚いたみたいな顔で訊いて来る。……むむっ、これは。

「雪雛は知ってたのか?」

「……もちろん。常識問題」

 いや、違うと思う。

「じゃあ問題だっ。家斉いえなりは何代将軍?」

 徳川家斉、徳川十一代将軍。

「……ふっ、簡単ね――」

 くっ……これは簡単なのか……。


「――徳川十八代将軍よ」


 徳川は十五代将軍慶喜までだ。


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