15)自己紹介党 フキ派 第6部隊
ジョズ「そういえばそのような事を聞こうと思っていましたね。ところで……」
ジェノ「はーい、当店では話の脱線は禁じられていまーす。」
そう言って、目にも留まらぬスピードでスナイパーライフルを取り出して、それをジョズへ向けるジェノ。
飄々とした口調からは先程のようなイラつきは感じられないが、脅し口調ではない分何時でも撃ちかねないという点を考えると、正直こっちの方が怖い。
ジョズ「待ってください! 撃たないでください! どうしてフキ先輩がコータク先輩の事を『親方』と呼ぶかを聞こうとしただけです!!」
と、慌てて弁解するジョズ。『キンピカ』の方を尋ねなかったのは、コータク→光沢→キンピカという構図を思い浮かべるのが容易だったからだろう。
ジェノ「失礼しました。ごゆっくりどーぞ」
そう言って、スナイパーライフルをしまうジェノ。暗器使いという位なので、恐らく服の中にしまったのだろうが、その動作はあまりにも速く、端から見たら消えたようにしか見えない。
そんな光景に慣れているのか、フキは特に怯える様子もなくジョズの質問に応じる。
フキ「私が産まれ育った町ではみんなこんな感じでしたよ?」
ジョズ「どんな町に産まれたらそんなことが普通になるんですか……」
呆れ顔で返すジョズに対してコータクが補足する。
コータク「コイツ、職人の町出身だぞ」
それを聞いた途端、いきなり入口のドアの方を見るジョズ。しばらくしてコータクの方を向き直し、確かめるようにこう言った。
ジョズ「『職人』という事は……」
ジョズの言いたい事を察したのか、ジェノが口を挟んで来た。
ジェノ「ああ、電光掲示板そのものは学校のものだが、隠し通路の入口を隙間無く埋め尽くすように削ったのはフキだ。あと、隠し通路そのものを作り尽くしたのはキンピカな」
コータク「壊すのは得意だぜ!」
ジョズの心の声(まぁ全身から『壊すの大好きです!』というオーラ出していますからね、この人)
そう思った後、ジョズはフキを見てこう尋ねる。
ジョズ「しかし……どうして時計職人がそのような芸当をこなせるのですか?」
フキ「えっ、私時計職人ではないですよ?」
ジョズ「……え?」
次回、ようやくフキの自己紹介が終わりそうです。後、フキの次に登場する人物の軽いネタバレも兼ねて、キーワードをリニューアルします。本編の感想やキーワードに対する反応、この小説の応援等を感想欄に書いていただけば幸いです。