12)自己紹介党 フキ派 第3部隊
自分の愛用する時計がフキが作ったものだと聞いて、訝しげな目で彼女を見るジョズ。
ジョズ「どうしてテロリストが時計なんてものを作っているんですか。そもそもあの人は本当にテロリストなのですか?」
ジェノ「あぁ、オレ達(『コッチ側』と読む)は元々普通のゲーム同好会だったからな。それを踏まえ尽くしてもアイツは温厚過ぎではあるが」
ジョズ「どうして普通のゲーム同好会がテロリストになったのですか?」
ジョズは『コータクを見て』そう尋ねた。
ジェノ「徹底した対応だなコノヤロー」
相変わらずジェノは仏頂面だが、いつもより1オクターブほど低い声からして、彼に少なからず怒りの感情があることは火を見るより明らかだ。
コータク「まぁお前の話回りくどいからな」
ジェノ「じゃあおめーはかいつまんで説明できんのか?」
コータク「無理っ!」
ジェノ「即答かよ……」
コータク「まぁ昨年度は色々紆余曲折があったじゃねーか」
ジェノ「……そうだな。ロスブリ誕生秘話は時間がある時にでもするか」
コータク「で、どこまで話進んだ?」
ジェノ「残念だが1ミリも進み尽くしてねーよ」
ジョズ「そもそも話が横道に逸れ過ぎです」
ジェノ「横道以前にこの話の本筋を知り尽くしたいんだが?」
そう言った直後、突然ジェノの表情が固まった。(まぁ彼の場合デフォルトで固まっていると言えなくもないが)
コータク「えっと……どうした?」
不審に思ったコータクがそう尋ねると、ジェノは先程までの気だるげそうな口調から一変して、おどおどしくこう聞き返してきた。
ジェノ「……キンピカくーん」
コータク「……どうしたジェノくん」
普段とは様子が違うジェノにコータクは若干困惑したが、おどおどしい口調に反してユーモラスに自分を呼んだジェノに対して、軽いノリで返すコータク。
するとジェノはゆっくりと後ろを振り返りながらこう言う。
ジェノ「この話の本筋って何だったっけ?」
コータク「本筋って、そりゃあ……」
そう言いながらジェノが向いた方向に目を配るコータク。そして目線の先を指さしてこう言う。
コータク「フキの自己紹介……」
ここでようやくコータクは、ジェノの異変の真意を悟った。『自己紹介』で『全くしゃべっていない』フキを指さした瞬間に……
コータク「………………………………………」
ジェノ「…………………………………………」
コータク「……悪りぃ」
ジェノ「……スマン」
フキ「?」
可愛いらしく首をかしげるフキに対して、割と本気で謝るコータクとジェノだった。
どうでもいいですが、コータクやジェノは、自分の心境や場の状況に応じて『お前』と『おめー』とを使い分けます。