10)自己紹介党 フキ派
コータク「そろそろ来るかな………」
右手にはめている腕時計を見ながら、コータクが呟いた。
ジョズ「ジェノ先輩の時もそうでしたが、呼ばれてから来るまでがやけに早いですよね?」
実際、ジェノはコータクに呼ばれてから5分もかからずに来ている。今回も、コータクが呼んでからまだ3分程しか経っていない。
それを疑問に感じたジョズの発言に対して、コータクが答えた。
コータク「あぁ、アイツ電子音楽サークル掛け持ちしてんだよ。普段は校舎にいるから、呼んだらすぐ来るって訳。ちなみにオレは野球サークル掛け持ちしてる」
ジョズ「電子音楽?」
ジェノ「要するにシンセサイザーの類を扱い尽くすサークルってことだ」
コータク「あとジェノは月・水・金が卓球で火・木にボクシングやってる。っと、どうやら着いたみてーだぞ」
隠し通路を歩く足音を聞いて、コータクがそう言った。
それを聞いて、ジョズは体を強張らせた。コータクの言った『マトモ』が、信用出来るものとは限らないからだ。
ジェノの心の声(警戒し過ぎだろ、コイツ)
ジェノがそう思っていると、ふとドアをノックする音が聞こえた。
コータク「おー、入っていーぞ」
コータクがそう言われて入って来たのは、一人の女性だった。
その女性に対してのジョズの第一印象はというと、
ジョズの心の声(何と言いますか……まともだとかまともではないとか以前に……この人本当にテロリストなのでしょうか?)
身長はコータクと同じ位で女性としては高めだが、顔立ちは身長の割にやや幼い。さすがに小学生や中学生と間違われることはないだろうが、高校生と言えば信じてもらえるだろう。
体つきは全体的に細目だが、肌のツヤもよく柔らかそうで、痩せぎすという感じはしない。着痩せしているだけで、スタイルそのものはいいのだろう。
服装は半袖のブラウスに黒のミニスカートとかなりシンプルなものだが、それが彼女の全体的に細く、柔らかそうな体つきを強調している。
女性「えっと……私はロストブリストのリストナンバー3の『フキ』といいます。よろしくお願いします」
彼女ははにかみながらそう挨拶した。
容姿といい、仕草といい、テロリストとは真逆といっても過言ではないような人物が、確かにテロリストとしてジョズの目の前にいた。