第4話 ガ-ゴイルとおバカな冒険者
残酷な描写、不快な表現があるかもしれません。
人の死が多く書かれていますので、嫌だという方はお戻り下さい。
また、人物、職業等批判している訳でもありません。
あくまで見る方向が違うとお思い下さい。
それでもいいという方だけお読み下さい。
あれから俺の種族も完全なアイアン・ガ-ゴイルになり、最近は槍投げに凝ってます。
槍なんか投げれるのか?と思われがちなのだが、そこは新しいスキルでカバ-した。
新しいスキルとは・・・・・遠隔操作LV1である。
実はどうしてもロケットパンチが撃ちたくて願ってしまったのだが、ロケットパンチ自体はまだまだ障害があり不発だ、代わりに考えたのが槍投げだ。
まだ質量以上に変形は出来ないが形状変化によって、肘から先を槍に変形させ投げつけるのだ。
え?そんなんじゃ命中率が良くないだろうと思われがちだが、投げる物が俺の一部、飛んでる最中に若干の軌道修正が出来る、苦労したが。
さらにこれには秘策があるのだ。
それは・・・・腕ごと槍投げ!
槍を構えて投げるのだけでは、避わされてしまう。
だが、しかし、腕ごと槍投げは違う、これを行うと冒険者達は「えっ?!」とか言って行動が一瞬止まるのだ。
まさに俺の閃きの勝利だ。
日々、生き残る為の研究や実験をしていたある日、また侵入者がやって来た。
その侵入者達はわいわいがやがやと五月蝿くやって来た。
「へへっ、どうだいこの剣、凄い切れ味だっただろ、ここに来るまでのゴブリンなんて1撃だ」
「凄げ~な、その剣、でもいいのか?家の家宝じゃなかったのか?」
「バレなきゃ大丈夫だって、それに使わなきゃ損じゃねーか」
「まぁ、そう言うならいいけどよ、でも俺の槍もなかなかだぜ」
「お前だって、その槍、兄貴のヤツだろ勝手に借りてきていいのかよ?」
「しばらく演習で居ないから問題ね~よ」
「お前達、何度俺の盾に助けられたと思ってるんだよ、1番は俺の盾だぜ」
「うっせー!その盾なんかお前ん家の居間に飾ってあったヤツだろ、錆びてるんじゃねーのかよ」
「バカ言うんじゃねーよ、この盾は昔に国王が我が家に贈って下さったもんだぜ」
「お、おぃそんなもん持ってきていいのか?」
「いいんだよ、どうせ俺が引き継ぐんだしよ」
「ねぇ、君達僕の魔道書の事を忘れてないかい?」
「おぅ、助かってるぜ!その本、モンスタ-の事なら何でも分かるんだな」
「当然だよ、この魔道書は代々家に伝わっていて、今まで遭遇したモンスタ-の事がすべて載っているんだよ、武器や防具などより一番の価値があるものさ、ふふん」
「何言ってんだよ、1番は俺の剣に決まっているさ」
「違うよ、1番はやはり何度も実戦を経験したこの槍さ」
「攻撃よりも守る事に意味があるのさ、何者も通さない僕の盾こそ1番だ」
「野蛮だね~君達は知識を授けてくれる我が家の魔道書こそが最高さ」
な、何?このガキ共は、家のお宝自慢か?
4人全員が立派な鎧を着ているが、どうにも鎧に着られていると言う感じだ。
年も14、15歳だろう。
そんな4人組みが広間に入って来た。
「確かここだよな」
「地図だとここのはずなんだが」
「おぃ、あれじゃねーか?」
1人が指差した先、入り口と反対側に大きな宝箱が鎮座している。
そう言えばこの広間にずっと置かれているが中身は何のだろうか?少し気になる。
「早く行こうぜ!」掛け声と同時に4人は走り出した。
はい、4名様ご案内~。
いつものように入り口が塞がれるが、4人はそれに気づかず宝箱に走り寄った。
い、いままでに無いパタ-ンだ(汗)
「早く開けろよ!」
「分かってるよ」
「どんなお宝が入ってるんだろ」
「そりゃ~すごいもんでしょ」
背後から迫るガ-ゴイル達に気づかず、4人は宝箱に夢中だ。
自分達で情報をばらしていたが、注意すべきは剣に槍と盾だな、魔道書は・・問題無いだろう。
まず不意打ちで誰を狙うかを考えた、出来れば2人仕留めたいが、1番は長物の槍だろう、良かったね君、槍が一番だよ。
俺は槍を持っている少年に指先を向けると刃物メスを発射した。
「よし!開けるぞ」
宝箱の正面に居た少年が勢いよく蓋を開けた。
それと同時に俺の刃物メスは少年の首に命中。
そしてその少年はゆっくりと宝箱の中に頭をつっこんだ。
「おぃ!何やってんだよ、そんなに覗き込まないでも見えるだろ」
「おやおや、独り占めのつもりですか?」
少年達は首に刺さったメスに気づかず騒いでいる。
今のうちにもう一発撃てそうだな、俺は引き続いて第2射を発射した。
「ふざけてんじゃねーぞ、宝は皆で山分けのはずだろ」
そう言って剣を持った少年は宝箱に頭をつこっでいる少年の肩を掴んで揺らした為、俺の発射したメスは逸れて、剣を持った少年の背中に命中した。
が、「カキ――ン」鎧に阻まれてしまったようだ。
ようやく少年達は異変に気づき背後を振り返ったのだが、そこには爪を振り上げているガ-ゴイル達が・・・・・南~無~。
魔道書を持った少年は頭から顔を切り裂かれ、叫び声を上げ倒れた。
剣を持っていた少年は咄嗟に剣を盾にしたが首を切り裂かれ血を噴出しながら倒れた。
盾を持っていた少年は鎧に助けられたおかげもあり頬に軽い傷を受けただけで済んだ。
「な、何なんだよ、お前ら!僕をグリバ-ル家の嫡男と知っているのか!?」
何とも気が抜ける事を言ってくるものだ、モンスタ-相手に家の権勢を語ってどうしようと言うのだろうか?
それで助かると思っているのだろうか?
実に疑問だ。
そんな少年の叫びを無視してガ-ゴイル達がにじり寄りと
「ひっ、ひぃ~、た、助けて、助けてーーーー!」
もう威勢のいい事は終わったようだ。
俺は盾の影に隠れながらズリズリと後ずさる少年を追って前に出た。
アイアン化してからか周りのガ-ゴイル達は従ってはくれないが、俺の邪魔はしないようになった、ちょっと偉くなったようで気分がいい。
少年が持っている盾を見てから俺の身体が訴えかけてくるものがあったのだ、それは
あれを喰えと言う飢餓感だ。
俺は少年の持っている盾を両手で掴むと、必死に抵抗する少年を無視して無理やり胸の口へと盾を入れた、少年の腕ごと。
「うぎゃーーーー!」
盾と左腕を無くした少年は石畳をゴロゴロと叫び声を上げながらのたうちまわった。
腕からは大量の出血をしている事からそんなに長くは持たないだろう、後をガ-ゴイル達に任せ俺は宝箱のそばに転がっている、剣と槍を拾い上げた。
すると再び身体が訴えかけてきた。
剣や槍、盾に食欲を感じる俺はもう、どうなってしまったのだろうか?
まぁ、餓えるよりはマシか、身体の訴えるままに俺は剣と槍を喰った。
そして足元には一冊の魔道書・・・ついでに喰っておくか、それも胸の口へ放り込んだ。
さて、後は鎧でも喰おうかと考えたところで、開いている宝箱の中身が気になった。
ちらりと宝箱の中を覗くと少量の金貨と底に広がる銀貨に銅貨・・・・た、大金じゃないか!
この宝箱を置いた人間はずいぶん太っ腹のようだ。
そして貨幣に埋もれるように一つの黒水晶があった。
それの大きさは親指の先ほどで漆黒の輝きを放っている。
それを拾いあげると
画面が表示された。
【名前】 魔晶石(小)
大気中から魔力を集め溜め込む水晶。色が黒いほど魔力が溜まっている。
のおっ!急に説明画面が出できてびびったぞ。
便利機能なのだが、何で表示されるようになったんだ?
う~ん、思いつく事といえば魔道書なのだがおそらくあれだろう。
これも喰っておくか、俺は魔晶石を口に放り込んだ。
そして倒れている少年達の鎧を剥ぐとそれも胸の口へ入れた。
ん~、改めて考えてみると俺の口ってどうなっているんだろうか?鎧を喰っても腹の中に入っているような感じが無い、何か吸い込まれているようだ、異次元空間?四次元ポケット?どちらにしろ摩訶不思議だ。
おっと、考えこんでしまった、盾を持った少年の鎧も喰べてしまわなければ。
ガ-ゴイル達にやられたであろう少年の下へ行こうとしたのだが、俺の身体は意思に背いて壁際へ向かって歩き始めていた。
くそっ!またいつもの強制力か、忌々しい。
俺は悪態をつきながら壁の窪みへと戻っていった。
残した少年が騒動の原因になるとも知らずに。
現在の俺
【名前】 俺
【種族】 ブレンド・ガ-ゴイル(65%鉄製・20%鋼鉄製・10%ミスリル製・5%アダマンタイト製)
【LV】 13
【属性】 無し
【スキル】 爪発射・遠隔操作LV1
【特性】 無機物吸収・材質変化LV2・形状変化LV1
【ストック】魔晶石(小)×1
その後、俺は広間に来た小型悪魔の名前が【インプ】である事を知った。
相変わらず働き者であった。