第14話 ガ-ゴイルのダンジョン脱出
残酷な描写、不快な表現があるかもしれません。
人の死が多く書かれていますので、嫌だという方はお戻り下さい。
また、人物、職業等批判している訳でもありません。
あくまで見る方向が違うとお思い下さい。
それでもいいという方だけお読み下さい。
ふぅ~危機一髪だったが、何とか生き残れたようだ。
徐々に動くようになった身体に無理をいわせて、立ち上がると目ぼしい物が無いか魔法使い達を漁り始めた。
成果、魔晶石(小)×42個、魔晶石(中)×1個、魔法使いの杖×37本、ギルドカ-ド×38枚と轟炎の杖×1を手に入れた。
勿論、それらはすべて俺の胸口へと消えていったが。
それと、今回俺は新しい発見をした、それは・・
ギルドカ-ドが以外に美味いという事だーー!
何かポテトチップスを食べている感じで中々に尾を引く、途中からはギルドカ-ドを探す為に漁っるようになった。
轟炎の杖?まぁ、それも美味かったと言っておこう。
しかし、ギルドカ-ドは1人1枚しか持っていなかったのは実に残念だ。
下層に行けば騎士達の死体があるから探しにでも行こうと思ったのだが広間を出ようとすると身体が動かなくなった。
ちっ、ここで足止め、皆殺しと言う命令があるからこの広間からは出れないようだ。
くそっ、忌々しい強制力め。
ん?!強制力・・
これも魔法での事だったら、構成破棄が出来るのではないか?
だが、俺の命も魔法で構成されていたら破棄されてしまうかもしれない、立派な自殺だ。
どうしようか?望みを賭けて破棄してみるか?それとも他の方法を探すか?
俺がうんうん悩んでいると
ダンジョンがぐらっと揺れた後、ゴゴゴゴゴゴゴ、音を立てて崩れ始めた。
じ、地震か?まずい、このままでは生き埋めになる。
俺は覚悟を決めると、俺の強制力だけ破棄、俺の強制力だけ破棄と念じながら出口へ向かってダッシュした。
俺の願いは届いたのか、広間からの脱出に成功したの・・だが
ゴゴゴゴゴゴゴ、ちょ、ちょっと!崩れるの早いよ、めちゃ早やだよ。
ダンジョン崩壊は俺のすぐ後ろまで迫っていた。
そんな時
ピコ-ン
『レベルが上がりました、強化しますか?』
ピコ-ン
『レベルが上がりました、強化しますか?』
な、何故このタイミング?おかしいだろ!時間差かよ!
まてよ・・
強化するぞ!俺の強化は足の裏からジェット噴射をする事だ!
そう願うと
『身体機能の強化をしました』
いよっしゃ!俺はジェットならぬ魔力を足裏から噴射すると空中に浮かび高速で飛んだ。
壁に向かって・・
ガリガリガリガリガリガリガリーーーーーーー、No~~!
俺の身体は壁に擦りながらも出口へと向かって飛んで(?)いた。
お、おかしい、鉄腕ア○ムはもっと自由に飛んでいたはずだ、だが!これで間に合う、俺は自由だーー!
遂に俺の目の前には地上の光差す、出口が見えた。
だが、その時
ガラガラガラガラ出口への通路が土砂で埋まった。
な~ん~で~だ~!
時間は少し遡りジジイ、いや、ガリュ-トSide
ぐぞっ、後少しでギルバルトめの止めを刺せたものを
彼は切られた右手を強く押さえながら、ヨロヨロと研究室へと向かっていた。
中層広間に置いてきた解析魔法の羊皮紙は酷く惜しかったが、自分の命には変えられない、何より一度完成した魔法、思い出せばすぐにまた出来ると思っていた事もあった。
研究室までの長い道のり、背後を気にしつつ出来るだけ急いだ、いつ追跡の魔法使い達が来てもおかしくないのだ。
彼は足止めに置いて来たガ-ゴイルではそんなに時間が稼げはしないと思っていた。
早く研究室に戻り、止血をしなければ、そしてダンジョンクリスタルを持って逃げよう、彼の考えはそれで一杯だった、ダンジョンクリスタルを動かせばダンジョンが崩壊するなどどうでも良かったのだ。
荒い息をつきながら研究室へ着いた彼は、高価な回復薬を傷にかけた後、残りを飲んだ。
そして一息つくとダンジョンクリスタルを抱え、王都への転移呪文を唱え始めた。
次の瞬間、彼の身体は王都の部屋へと着いていた。
その後、追跡されないよう妨害呪文を唱えると彼はバッタリと倒れた。
ダンジョンの外、留守番魔法使いSide
ダンジョンの外では、留守を守っていた魔法使い達が慌てていた。
急にダンジョンが崩れ始めたのだ、彼らは何とかしようしたのだが、何をしていいか分からずただ見ているだけしかなかった。
そんな中、遂にダンジョン入り口が崩落したのだ。
掘り返そうとは思うのだが、道具も無ければ、うかつに魔法を使う訳にもいかない、中の様子が分からないからだ、ただ出来る事といえば手や木の棒を使って地道に掘るだけ、もう中に入った全員がダメだと思ったその時
何やら音がして来る。
もしかして生存者か?魔法使い達は必死に穴を掘り始めた。
そして音は徐々に近づいて来ている、1人の魔法使いが
「もうすぐだぞ!」
そう言った瞬間、何か尖った物が飛び出してきた。
再びガ-ゴイルSide
高速で飛んでいる(?)俺の前で出口が塞がってしまった。
どうする?このままでは激突だ、だが止まっても後方から崩れてきている、まさに万事休すだ。
その時、俺に閃くものがあった。
道が無いなら作ればいい!漢のロマンに不可能は無い!
先ほどのレベルアップは2回あった、後一つ強化が出来るはずだ。
ならば願うは
俺にドリルを!漢のドリルをくれ!
『身体機能の強化をしました』
きたきたきた、来たぞ~!
俺は右腕をドリルにすると崩れた土砂に向かって突撃をした。
結果・・・・・いや~ドリルって穴を開けるにはいいけど穴を掘るのには向いて無いのな。
確かに前方の土砂は崩れていくけど、その崩れた土砂が俺に掛かって来るんだよ、もう何がなんだが。
さらにその土砂が邪魔をして徐々にスピ-ドが落ちていく始末、まずい、このままでは動けなくなる。
ヤバイヤバイヤバイやばいぞ~。
こんなところで負ける訳にはいかない、もう少しで外なんだぞ、お天と様が待っているぞーー!
ぬぉぉぉぉーーーー!
俺のドリルが呻って吼える、孔を掘れと轟き叫ぶ!
ドリルがキィィーーーと音をたて更なる高速回転を始め、足裏ジェットも更なる速度を出そうと唸りを上げた。
そうして俺は遂に地上に飛び出る事が出来た、そして俺を出迎えたのは
粉々に飛び散る肉片と血液であった。
な、何これ?
またまたダンジョン外、留守番魔法使いSide
俺達が穴を掘っていると
「もうすぐだぞ!」と誰かが声を上げた。
そちらに目を向けると
何かが飛び出し、声を上げたやつに突き刺さった。
えっ?
その瞬間そいつは、渦を巻くように爆散し粉々になった、そして、手と足が俺の頭上を越え飛んでいった。
何が起きたんだ?
俺達はただ穴を掘っていただけのはずなのだが。
それにしてもこんな事は一般の兵士がやる事だろう、何で俺達が穴掘りなんてしないといけないんだ?
だいたい中の人間はもう助からないだろう、もう帰って休みたいもんだぜ。
そもそも救助といっていたがダンジョンに入って何日もたっているんだ生きているはずが無いだろう、無駄なんだよ。
そんな事を考えている途中で意識が無くなった。
もういっちょガ-ゴイルSide
俺を出迎えた肉片や血に困惑しつつも下を向くと
魔法使い達の一団が目に入った。
俺を迎え討つつもりだったのか!
灰色の脳細胞(あるか分からないが)が瞬時に答えをだした。
下にいる魔法使いの人数は9人、早々にロックオンをすると俺は魔力レ-ザ-を撃ち放った。
そして俺が着地すると同時に全員の魔法使い達は倒れ伏した。
決まった。
しばし感慨にふけっていたが、周囲の索敵をする為、立ち上がった。
ふむ、敵は居ないようだな。
魔法使い諸君、俺に奇襲をしようなんて10年早かったな。
倒れた魔法使いを漁りながら俺はそう呟いた、ギィィとしか声は出なかったが。
そして俺は、漁りを終え立ち上がると
俺はとうとう自由になれた!何者にも束縛されない本当の自由に!叫び声を上げた。
でも声は「ギォギギィィィッィィィィィ」としか出なかったが。
・・・・はて、これからどうしよう?それと此処は何処だ?
俺は、これからの事について悩む事になった。
現在の俺
【名前】 俺
【種族】 ブレンド・ガ-ゴイル(55%鋼鉄製・40%ミスリル製・5%アダマンタイト製)
【LV】 26
【称号】 魔法使いの天敵
【属性】 物理+・魔法防御++・火LV2
【スキル】 索敵LV2・迷彩LV1・爪発射・腕発射・腕変形回転・魔力噴射・遠隔操作LV2・魔力レ-ザ-(半誘導)LV5・魔法構成破棄
【特性】 解析複製・無機物吸収・材質変化LV3・形状変化LV5
【ストック】魔晶石(小)×46(空×20) ・魔晶石(中)×1
腕変形回転・・・・ドリルと表示して欲しかった(涙)
少し先の誰かの話。
ぐぬぬぬぬ、だめじゃ!どうしても出来ない、何故だ?一度は完成させた魔法のはず、何故出来ないのだ?
1人の老人が羊皮紙に囲まれながら唸っていた。
この老人こそ元ダンジョンマスタ-、ガリュ-トである。
彼は王都に逃げた後、再び解析魔法を完成させようと部屋に篭った。
当初、彼は長くても1週間あれば出来るとふんでいたのだが、そうはいかなかった。
何故なら彼が10年かけた魔法が簡単なもので無かった事もあったが、何より一度完成させてしまった事にこそ大きな問題があった。
人間の記憶など曖昧なものであり、彼がこうだと思ってもどこか違っていた、大体が合っていても一部が違う、その違いにより全てがくい合わない、しかし一度出来ている、そうなってくると何処が違うのか?それが分からない、彼は思考の迷宮に陥っていた。
彼が悩み続けて早2年、遂に彼は諦めた。
その代わり彼が行ったのは
・・・・穴掘りであった。
ダンジョン中層広間には完成された解析魔法の羊皮紙がある、噂ではダンジョンからの帰還者は1人も居なかった、ならば羊皮紙はそこにあるに違いないそう確信をしていた。
完成出来ないのならば完成されたものをみつければいい、彼が作った彼だけのものなのだから。
その日、彼は王都を出発してヴァンラント山へ向かった。
それからある噂がたった。
今はもう無いヴァンラント山岳迷宮。
多くの冒険者や騎士、魔法使いを飲み込み消えた大迷宮。
そこでは、ある老人が探し物をしている。
人によっては、死んだ息子を探しているといい。
また、人によっては下層の宝物庫を探しているともいう。
だが、その答えは、その老人しか知らない。