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第12話 ガ-ゴイルは見た

残酷な描写、不快な表現があるかもしれません。

人の死が多く書かれていますので、嫌だという方はお戻り下さい。


また、人物、職業等批判している訳でもありません。

あくまで見る方向が違うとお思い下さい。


それでもいいという方だけお読み下さい。



俺は騎士達が下層に侵入して来るのを見るとジジイに声を掛けた。

「ギィ――」としか声は出ないかったが


「何じゃ!今は忙しいんじゃ」

おぃおぃ、自分でした命令忘れてないか?ボケたのか?


改めて声を出すと。


「ま、まさか!もう来よったのか?中層のモンスタ-どもは何をやっておったんじゃ!」

頑張ったけど、全滅したよ。

戦力はあったんだけど、それは見事な各個撃破のされ様でしたよ。


後、残っているのは、正体不明のロ-ブ人間(?)と俺を入れて8体のガ-ゴイルと洗脳ドワ-フ達位かな、ピンチだよ、めっちゃピンチ。


ジジイは慌ててダンジョンクリスタルに近づくとマジマジと覗きだした。


「な、何て事じゃ、後半日もあれば完成と言うのに・・こうなればあれをするしかないか」


あれ?あれって何?まだ逆転の手段があるの?

俺が?を浮かべていると


「んむむむむっ」

急にジジイが唸り出すと、懐から虫眼鏡を取り出しダンジョンクリスタルを凝視した。


今度は何だよ、騎士達が女でも連れ込んでエロい事でも始めたのか。


すると、ジジイは急に

「うわっはははははははははっははあははははっはっはははは」狂ったように笑いだした。


ついに頭にきたか、もう先は長くないなジジイ・・俺がナマ暖かい目でジジイを見続けていると


「くっくっくっ、ギルバルトのやつが、このダンジョンに来ておるのか、どおりで来るのが早い訳じゃ、まぁよい態々来たのだ、もてなしてやろう」

ジジイは言うやいなや、ダンジョンクリスタルに手を置き呪文を唱えだした。


ギルバルト?誰だ?それに来るのが早かったんじゃなくて、こちらの作戦ミスだろ?


俺の考えなど無視し、1分ほど呪文を唱えるとダンジョンクリスタルが光を放った。

何が起こるんだ?俺も興味深深にダンジョンクリスタルを眺めていると


バタバタと騎士や魔法使い達が倒れ始めた。



騎士Side


「団長、下層にはモンスタ-が少ないようですな」

「あれだけのモンスタ-を倒したんだ、もう居らんよ、まさに私の予測通りだ、後は宝物庫を見つけるだけだが、まだ発見は出来んのか?」

「もうしばらくお待ち下さい、間も無くです」

「急ぐのだ!」

「グレック団長、宝物庫らしき場所を発見いたしました、現在そこを守ると思しきガ-ゴイルと戦闘中ですがこちらが優勢です」

「そうか!発見したか、私もすぐに行くぞ」

「行きましょう、だ、だん・・ちょ・・・」

「ど、どうし、た、こと・・だ、きゅ・・う・・に・・か・・ら・だ・・が」

「ぐ、ぐれ、っく・・だ・ん・・ちょ・・・う」



魔法兵Side


「騎士団の方ですが、どうやら宝物庫を見つけたようです」

「そうか・・他には何かあったかの?」

「いいえ、ご子息の方は何も・・せめて遺体だけでも見つかればいいのですが」

「いいんじゃよ、息子も覚悟を決めてダンジョンに来たと思っておる、自己責任じゃ・・」

「ギルバルト様・・ぐはっ」

「どうした!!こ、これは、皆の者、すぐにアンチマジックシ-ル(耐抵抗魔法)じゃ、急げ!」

「ぎ、ぎ、る・・ば・・る・・・と・・さ・・・・・ま」

「くっ、遅かったか」



ガ-ゴイルSide


俺の見ている前で騎士や魔法使い達が倒れていく、どう言う事だ。


ま、まさか、ジジイの究極魔法なのか!凄いぞジジイ、見直したぞジジイ!ボケてはいなかったんだな。


俺が感心していると


「どうじゃ!ダンジョンクリスタルに生命力が吸い取られていく気分は」


な~んだ、ジジイの究極呪文じゃなくて、ダンジョンクリスタルのお陰か、見直して損した。


「むっ、流石はギルバルトじゃな、咄嗟に耐抵抗魔法を唱えよったか、だが何処まで持つかの」

「おお、そうじゃ、あやつにわしの完成した解析魔法を見せてやろう、きっと悔しがりおるわぃ」

「お前、ここに写っておるやつが倒れたら、わしに知らせるんじゃ」

そうジジイは俺に言うと魔法研究へ戻っていった。


命令だから仕方なく観察を続けていたが、ゲンナリしてくるわ。


視線の先に居るのは白い髭を生やしたじいさん、で苦悶の表情で何かに耐えている、そんな様子を見続けるなんて、拷問じゃね?綺麗なね-ちゃんなら兎も角、じいさんだよ、老人虐待だよ。


だが、命令には背けず、俺は苦しんでいるじいさんを見続けた。


それから何時間たっただろうか、じいさんは頑張っている、そんな時


「やったぞ!ついに完成したぞ!完璧な解析魔法が」

そんな声が後ろから聞こえた。


へ~そうですか、よかったね~それなら俺への命令を止めてくれ、愚痴っていると


「どれどれ、まだギルバルトやつは耐えておるようじゃな、じゃが、解析魔法を見せた後、わし直々に息の根を止めてくれるわ、あっはっはっはっは」

「あやつの悔しがる顔が思い浮かぶわぃ」

ジジイが再びダンジョンクリスタルに手を置き呪文を唱えると輝きが消えた。


「では、ギルバルトの元へ行くぞ、お前は道中わしの護衛をするのだ」

そう言うとジジイは魔法陣の描かれた羊皮紙を大事そうに抱えると歩き出した。


俺とジジイは目に付く騎士達に止めを刺しつつ中層へと上っていった。


ピコ-ン

『レベルが上がりました、強化しますか?』


ピコ-ン

『レベルが上がりました、強化しますか?』


止めを刺すだけでレベルが上がるなんて、何て楽チンなんだ、今後もやってくれんかな?

槍状に変形させた右腕を振り下ろしつつ、そんな事を考えていると


「ここじゃ、ここに居るぞ、ギルバルトめが」

一旦立ち止まったジジイが中層広間へと入っていった。


そこには倒れた魔法使い達と荒い息をしている老人が居た。

老人以外はピクリとも動かず、時折呻き声だけが聞こえた。


「久しぶりじゃな、ギルバルト、わしの事を覚えておるか?」

「だ、誰じゃ、お、お主は?ぜぇぜぇ」

「おやおや、お忘れか?なら思い出させてやろう」

ジジイは床に魔法陣の描かれた羊皮紙を置くと懐から歪に曲がった短剣を取り出した。


「お、お主、その短剣を何処で手に入れたんじゃ、それは我が国の宝だった物じゃ」

「まだ、思いださんか、ならば」

ジジイは羊皮紙の魔法陣に短剣を置くと呪文を唱え始めた。

「ま、まさかお主は・・」


呪文が終わると、一瞬魔法陣が光り、空中に幾何学模様の塊が現れた。

「お分かりかな?この模様が短剣に込められた力だという事に」

「あ、あやつは、し、死んだはずじゃ」


ジジイは再び懐に手を入れると、今度は普通の短剣を取り出した。


そして呪文を唱えながら、手に持った短剣を幾何学模様の塊に重ね合わせると光が発し模様は消えた。


だが、その短剣、見た目は普通だが、今だ羊皮紙の上に置かれている歪な短剣と同じオ-ラを発していた。


「そ、そんなバカな!あ、ありえん筈じゃ」

「そうそう、彼方のその顔が見たかったのじゃよ」

「い、生きておったのか!ガリュ-ト!」

「ええ、一度死にましたが、生き返って来ましたよ、そしてわしは完璧な解析魔法を完成させたのじゃ」

「お、お主、まだそんな事を・・」

「そんな事・・何を言っているのですか?今のを見たであろう、遂にわしは不可能を可能にしたのじゃ、そしてそんなわしこそが王宮魔術師総長に相応しい」

「な、何を言うとるんじゃ」

「さて、彼方にはもう退場してもらおうか」


ジジイは短剣を逆手に持ち替えると、大きく振りかぶった。

「くっ、灼熱の息吹、その身を矢に変え、彼の敵を」

「お忘れかの?この短剣の力を、この短剣は魔法の構成を断ち切る事を」

ジジイは軽く短剣を振るうと、それだけで集まっていた力が霧散した。


「ガ、ガリュ-ト、お、お主と言うやつは・・」

「さぁ、死ぬんじゃーーー!」

再び短剣を振り下ろそうとしたその時


「疾き風、その力を刃に、彼の敵を切りさかん『ウインド・カッタ-』」

薄い緑色をした刃が飛んできて、短剣と一緒にジジイの手首を切り落とした。


「ぐわっ!」

「な、何じゃ」

手首から血を吹き出すジジイと、驚きを隠せないじいさんに


「ギルバルト様!大丈夫ですか?」

「危ないところでした」

広間の入り口から数人の魔法使いが姿を現し、こちらに向かって走って来た。


「ぐおっ、わ、わしの手首が・・」

「お、お前は、何をしておるんじゃ!ここにいる連中を足止め、いや皆殺しにするんだ!」

ジジイは俺の命令をすると、手首を押さえながらヨロヨロと広間を出ていった。


いや~それよりも問題が・・・俺、ジジイの手首と短剣を喰っちまったよ。



時間はほんの僅か遡る。

俺はジジイとじいさん、老人2人による寸劇をボケ-っ見ていたのだが、いよいよクライマックスと言うところで邪魔が入った。


魔法によるものなのか、半透明な刃が飛んで来てジジイの手首を切り落としたのだ、それも見事にスッパリと

ここまでは、まぁ無いことも無いだろう、ジジイがカルシウム不足という以外は。


問題は空中をクルクルと回った短剣と手首が、少し後ろに立っていた俺の胸口へホ-ルインワンした事だ。


老人2人のやり取りに気が抜け、俺の胸口が半開きになっていたのが原因だろうか?

他に侵入者が来る事を考えながったジジイが悪かったのか?

最後まで粘ったじいさんの勝利なのか?

とにかく俺は短剣とジジイの手首を喰ったのだ。


短剣は何か付いていたようだが、味は普通で、ジジイの手首は不味かったとだけは言っておこう。



そんな事があったのだが、命令には従わなければならない。


「お、お前達、助かったぞ」

「ギルバルト様こそ、ご無事でなによりです」

「今はわしの事より、逃げたガリュートを追うのじゃ」

「「「はっ!分かりました」」」


お~ぃ、アンタ達、俺の事忘れてない?それとも俺って存在感無いの?


俺を無視して走り始めた魔法使い3人へ向けて、俺は目から魔力レ-ザ-を掃射した。


レ-ザ-は2人の魔法使いを輪切りにしたが、残り1人にはギリギリで避けられてしまった。


「なっ!」

そんなに驚かれると悲しくなるぞ、ほんと、俺は置物じゃないんだから、警戒しようぜ。


残った魔法使いは慌てて呪文を唱え始めるが


遅いよ。

再び目から発射した魔力レ-ザ-により魔法使いは頭を打ち貫かれ倒れ伏した。



ギルバルト王宮魔術師総長Side


今、わしの目の前で信じられん事が起こった。

わしの命を受け走り始めた、部下の内2人がいきなり胴体から2つに別れたのだ、な、何が起こったのじゃ?


しかもその切断面、鋭利な刃物で切られたようでありピンクの内臓が見てとれた、一流の剣士でもここまでの切断面は見た事がない、いったい何なんじゃ。


すると残った部下が呪文を唱え始めた。

その視線の先には


全身が金属で出来ているガ-ゴ-イルが居た。


そういえばガリュートと一緒に来ていたな、余りに何もしなかったので忘れておった。

するとガ-ゴイルの目が一瞬光った。


何をしたんじゃ?そう思っていると「ドサリ」と何かが倒れる音がした。

慌てて目を向けると残った部下が床に倒れており、頭に開いた孔から血を流してした。


い、今の一瞬で何かを発射したと言うのか?


そういえば魔法を使うガ-ゴイルの報告があった、こやつなのか?しかし、今のは魔法なんてものじゃない、もっと恐ろしいものだ。


も、もしや、こやつは魔力をそのまま出しているのか?信じられんが、そうとしか思えん。


その時、部下の魔法兵団の残りが広間の入り口に姿を現した、まずい、このままでは一方的に殺られる、わしは


「お前達、すぐに魔法障壁を張るんじゃ!」

そう言ったところで、頭を何かが通り過ぎる感覚と共に意識が無くなった。


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