第10話 ガ-ゴイルと魔晶石
残酷な描写、不快な表現があるかもしれません。
人の死が多く書かれていますので、嫌だという方はお戻り下さい。
また、人物、職業等批判している訳でもありません。
あくまで見る方向が違うとお思い下さい。
それでもいいという方だけお読み下さい。
上層で残ったゴブリンと一緒に大広間で防衛戦をはっていると
大勢の足音と鎧が鳴る音が聞こえてきた、いや、それはもはや足音と言うよりも地響きに近い。
い、いったい何人来ているんだ?俺が不安を覚えていると
広間に銀色に光る鎧を着けた騎士達が現れた。
すかさずそこへゴブリンア-チャ-達が矢を射掛けるが盾に弾かれ、あまり効果が無い。
数人矢が当たり後方へ戻されて行くが、続々と騎士達は現れ、盾を構えながら横に並び始めた。
俺も指から魔力レ-ザ-を発射するが、盾の上からでは思った以上に被害が与えられない、なにより指からの魔力レ-ザ-には問題があった、片手で5本、両手で10発のレ-ザ-が一度に撃てるのだが、チャ-ジに時間が掛かるのだ。
そんな事をしているうちに騎士達は横に並ぶと、ランスを取り出した。
ま、まさか・・
「行くぞ!突撃~ぃ」の掛け声と共に騎士達はランスを構え走り込んで来た。
本来は馬に乗ってするのだが、ダンジョン内の為、徒歩での攻撃のようだ。
ア、アホだろ?こいつら
ランスを構えている為、顔や首に矢が当たり倒れて行く騎士達・・だが
『『『『『『『『『『『ランス・アタック×11』』』』』』』』』』』
突然、加速したと思ったら、腹に衝撃が来た。
何事かと腹に目を向けると、金属の筒が見えた、いや腹に刺さったランスが確認出来た。
な、何だと・・
「どうだ!我ら、第一騎士団の必殺戦法、ランス攻撃は、畜生どもなどひとたまりもないわ」
広間入り口から声が聞こえてきた。
そして、目の前にはランスを構えた騎士が居て、兜の奥にある唇がニヤリと歪んだ。
くそったれが!目から魔力レ-ザ-を発射し、目の前の騎士の額に孔を開けると、俺は左右を見た。
そこには、ランスにより串刺しにされたゴブリン達の姿が・・その様子はまるで百舌鳥のはやにえ。
くっ、何て事だ、あれでは生きているはずがない。
しかも、当分焼き鳥なんて食べる気分になれないぞ・・いや、無いか。
だが、広間とは言え狭いダンジョン内、ランスは壁に刺さり止っていた。
そして、突進して来た騎士達は俺に無防備な側面を晒している、俺はゴブリン達の無念を晴らすかのように、両手の指から魔力レ-ザ-を照射すると騎士達の腹を輪切りに切り裂いていった。
だが、今の騎士達の攻撃でほぼゴブリン達は全滅してしまった、しかも俺の腹には孔が開いている、核でなかったのは幸いだが、今の状況は危険だ。
「ほぅ、まだ元気なやつがおるか、ならば半円陣からの第2次ランス攻撃だ」
声のした方に目を向けると、あれは・・ナイスタイミングの騎士団長ではないか、こんな事になるなら殺しておけばよかったと、ちょっと後悔している間に
騎士達は半円に並び
『『『『『ランス・アタック×5』』』』』
5つの穂先が俺を狙って急速に接近して来た。
くぅ!まだ魔力レ-ザ-のチャ-ジが終わっていない、目からレ-ザ-を撃っても仕留められるのはいいとこ2人までだ、残り3人が俺を串刺しにするだろう、万事休すか。
俺が諦めようとしたその時
【ストック】魔晶石(小)を使用しますか?
と、表示が出た。
魔晶石!それがあったか!急いで念じると
チャ-ジ終了120%と眼球内表示が変わった。
くたばれ!クソ騎士ども、俺は迫り来る騎士達を、両指からの魔力レ-ザ-で薙ぎ払った。
「ええぃ!何をやっておるかお前達、もう一度ランス攻撃だ!」
「し、しかし、もう20人以上やられており、被害が大き過ぎます」
「相手はたかだか1匹、怯むんじゃない!」
「で、ですが・・」
何やらもめ始めた騎士達に向け、もう一度魔晶石でチャ-ジすると魔力レ-ザ-を撃ち放った。
「ぐぎゃ」「ぎゃはっ」「ぶべら」「ぐわ~」との断末魔に混じり
「団長!ここは危険です、ひとまず後退しましょう」
「そ、そうだな」
そんな声がすると、騎士達は退却を始めた。
一先ず、敵を後退させる事が出来たが、こちらの被害も甚大だ。
ゴブリンは2人を残して全滅した、何よりゴブリンア-チャ-を全て失ったのは痛い、もう上層での防衛戦は無理だろう、中層のモンスタ-と合流をするしかあるまい。
俺は残ったゴブリンに合図をすると中層へと降りていった。
ピコ-ン
『レベルが上がりました、強化しますか?』
ピコ-ン
『レベルが上がりました、強化しますか?』
ピコ-ン
『レベルが上がりました、強化しますか?』
※ランス・アタック、ランスを用いた突撃スキル、その威力は鋼鉄の板すら貫通する。
騎士Side
「くそっ!何だあのガ-ゴイルは、化け物ではないか」
「グレック団長、やはり魔法兵団に協力を頼みましょう」
「何を言っておるんだ!今回は準備が足りなかっただけで、もっと盾を用意すればあんな攻撃十分防げるわ」
「し、しかし、魔法使いの防御障壁があればもっと被害は少なかったはずです」
「お前は、魔法使いのような臆病者達に助けを求めろと言うのか、それでも第一騎士団の騎士か!」
「・・・・・・」
「いいか!次は大量の盾を持って行くのだ、いいな!」
盾を構えていては、攻撃が疎かになる事も言えず部下は無言で頷いた。
魔法兵Side
「どうやら騎士団は攻略に失敗したようです」
「そのようじゃの、何故失敗したか分かったか?」
「はい、魔法を使うガ-ゴイルにやられたようです」
「魔法を使うとな・・ずいぶん変わったガ-ゴイルが多くいるのじゃな?」
「そ、それがたった1体のようです」
「何!それは真か?」
「はい、見た事も無い魔法を使い、気がつけばやられていたと言う事です」
「ふむ、どのような魔法か分かったか?」
「詳しくは・・・ただ指を向けただけで人間が輪切りになったとか」
「ふ~む、簡単には信じられんが注意が必要じゃな、引き続き観察を続けるよう伝えておくのじゃ」
「分かりました」
現在の俺
【名前】 俺
【種族】 ブレンド・ガ-ゴイル(30%鉄製・55%鋼鉄製・10%ミスリル製・5%アダマンタイト製)
【LV】 20
【属性】 物理・魔法防御+
【スキル】 爪発射・遠隔操作LV1・魔力レ-ザ-(半誘導)LV3
【特性】 無機物吸収・材質変化LV2・形状変化LV2
【ストック】魔晶石(小)×4(空×2)