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ボヘミアンフィスト  作者: 弐番
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エネミーアンドフレンズ

求めたたものがいつでも直ぐに出てくるとは限らない。

しかし、僕が今回探しているものは探したところで、いや、探し続けて出てくるかもわからなかった。

対合気。

それぞれの武術への対策、という考え方は正しくない。

世界にある無数の武術への対策を考えることなど出来ないからだ。

理想は「武術の絶対化」だ。

絶対化すれば相手が何で来ようとも関係がない。

だがそれこそ夢のまた夢、といえるだろう。

武術の性質はその土地の気候風土に依存する。

南には南の、北には北の術理がある。

だからどちらが優れている、とかではない。

絶対化とは「最も強い武術を決める」という夢を追いかけることに他ならない。

それは現実的ではない。

だから違う武術の相手と戦うことになったとき、比べられるのは「武術」ではなく「個人の練度」だ。

術者が自身の武術をどれだけ理解し、どれだけ正確に使うことができるかを比べるのだ。

空手という武術の有利、不利を僕は理解している。

体もそれに合わせて作った。

恐怖を理解し、凶暴を体に馴染ませた。

並の人間では相手にならないはずだ。

僕は強い。

だが、相手はどうか。

合気の使い手だ。

しかも体格からするに、相当の荒事を経験しているに違いない。

そんな男の合気は厄介だ。

合気道は型稽古しかしない。

つまり実戦で殴ったりつかまれたり、といった経験が少ない。

その経験の少なさを突けば以外に早く決着はつく。

「戦う心構え」ができていないからだ。

しかし、あの男は確実にそういったことに慣れている。

心理的な隙はほぼないと見ていいだろう。


合気は極めれば触れた瞬間に、飛ぶ。

ほぼ魔法といって差し支えない。

日本武術の集大成とすら表現できる。

完成された理法である。

触れなければ攻撃できない。

しかし触れれば飛ぶ。

その矛盾を解決するのが「対合気」だ。

厄介だ。

背後から不意打ちをかけるか。

しかし、それだとしても不意打ちに失敗したときの対処法を練らないといけない。


僕は考えるのを止めた。

正確に言えば「対処法の新規考案」を止めたのだ。

空手もまた完成された武術の一つである。

伝統武術の伝統は一つの優位性である。

年数による淘汰を耐え抜いてきたということは、それだけ有用性があるということだ。

空手もまた伝統武術の一つだ。

対合気、とまではいかなくとも何らかの技法はあるだろう。

そのためには型の分解をしなければならない。

型の分解、地味だから嫌いなんだよナァ。


今僕に型分解を教えてくれる人は牛頭先生しかいない。

鬼哭館のほうへと足を向けた。

徐々に暖かくなりつつある風が心地よく頬を撫でた。

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