第3話 「運命の変わる、ハジマリ」
サブタイトルには、あまり意味は無いので、
気にしないで下さい。
佐藤彩花が転校してきて、一週間。
俺は彩花とはだいぶ話せるようになってきた。
俺らは彩花と仲良く登下校をしている。なぜか彩花は何かと俺らについてくる。
『俺ら』というのは、俺と雅人のことだ。
健斗と悠太も入るかもしれない。
なぜ、俺らについてくるのは分からない。
俺らは学校ではみんなとは間があるのだが。
人もよさそうだし、ノリもいいし、引っ付きやすいと思うのだが…。
「ね~ね~。次の授業なんだっけ?」
彩花が俺に聞いてくる。
「えっと、数学だな」
えぇ~と嫌そうな顔をして、席に着く。
「あっそういえば、雅人は?」
「あぁ、あいつは「腹が…腹がぁ!」ってトイレに直行した」
「なにそれ~」
と笑いながら数学の用意をしている。
雅人は昨日、食うものがなくて消費期限が切れてるものを食ったらしい。
まぁ、自業自得だな。
「はい。座れ~。授業始めるぞ」
と数学担当教師が笑いながら言う。
なんで笑ってんの? 意味が分からない。
雅人はまだトイレか?
いつも寝てるから、いてもいなくても変わらないけど。
「あれ? 田村はどうした?」
こっちのほうを向いて言ってくる。
「あぁ、トイレに行ったまま帰ってきませ~ん」
「そうか…、マタサボリカ?」
ん? なんか言ったか? 小さい声でなんか言ったような気がしたが、気のせいか?
でも、俺を見ながら言った。すごい目つきで。
なんだよ…。気味が悪いじゃねーか。
「それでは、昨日の続きからだ。ここは…」
と先生の声しか聞こえなくなる。
彩花は勉強はできるらしい。
数学でも、問題を当てられても間違えたことはないし、動じもしない。
俺もこんな感じになりてぇよ。
俺は当てられても分からないから、「分かりませ~ん」しか言えない。
数学の授業が始まり、10分ぐらいたった。
時計は11時00分を指していた。
分からないし、寝るかと思った瞬間、
タ~タ~タ~タ~という音楽流れる。
この音楽はなにか知らせるときの音楽だ。
先生の呼び出しかな?
「お知らせします。今、この学校内で傷害事件が起きました」
なにっ!? 初めてだぞ…こんな放送。
「この学校の生徒が1名巻き込まれました」
「生徒は教室から出ずに待機していてください」
…マジか。傷害事件ってなんだろう? 喧嘩かなんかか?
でも、巻き込まれたって言ってたな。
そういえば、雅人はまだトイレか?
あいつ、放送に気づいてるよな?
と考えている途中、
「こらっ!やめなさい!」
という声が、窓の外からする。
なんだ? と思い、窓の外を見てみると先生達が集まっている。
その先には、――雅人!?
10人ぐらいの不良に一人で立ち向かっている。
雅斗は20人相手にもう、ボロボロだ。
その光景を見た瞬間、俺は走り出していた。
「こらっ! 清水、どこに行くんだ!?」
と数学教師。
俺は横目で数学教師の顔見た。
「友達を助けに行くんです」
そう言って、走り出す。
教室のドアを開けて、外に出る前にもう一度教師の顔を横目で見る。
教師は笑っていた。不敵な笑み。
この教師はこの事件と関係があるのか?
あるだとしたら、俺に関係があるのか? それとも雅人か?
俺らはこいつには何もしていないと思うのだが…。
でも、今はこんなことを考えている暇はない。
そして、俺は廊下に出て走り出す。
第3話です。
少し短めです。