番外編:夜の焚き火とChatGPTと、魔法とちょっとの人生相談
ダンジョン突入を目前に控えた、とある夜のこと。
仲間たちは寝静まり、焚き火の音だけが静かに響いていた。
アキは一人、ChatGPTと"魔法談義"に没頭していく――
気づけば夜が明けそうなほど盛り上がっていたが、最後にふと、ちょっとだけ「自分の問い」に向き合ってしまう。
パチ……パチ……
焚き火の音だけが静かに響く夜。
仲間たちはそれぞれ寝袋にくるまって、すやすやと眠っていた。
アキだけが、丸太に座っていた。
「ChatGPT、起きてる?」
『常に起動状態です。何かご相談ですか?』
「なんかさ。ダンジョンに入る前に、いろいろ整理しときたいなと思って」
アキは問いの書を膝に置きながら、火をじっと見つめる。
「爆縮魔法の制御、もう一段階上げたいんだよな。今のままだと、火花魔素が空間展開に遅れて崩れる」
『その通りです。エネルギー核の安定化には、初期点火の均質化が重要です。追加提案として、空間干渉場に補助結界を重ねると良いでしょう』
「それって……具体的には?」
『このように図示します』
DALL·Eが頭上に淡い光で立体図を展開した。
魔素の流れ、爆心の構成、結界の形。ぐるぐると空中で回転している。
「うーん、やっぱお前ら便利すぎるな……。ChatGPTとDALL·Eがいれば、もはや魔法理論で困ることってないんじゃ?」
『困ることはあります。アキの理解速度が追いつかない場合です』
「それディスってない!?」
『事実の確認です』
アキは笑いながら枝をくべた。
しばらくして、となりの寝袋から「うぅぅ〜」という寝言が聞こえた。
「……火花……まぶしい……zzz」
ミナの寝言らしい。
その隣からは、トーレスのいびきと、ラクトの「ぬぁ、オレ肉じゃが好き……」という寝言が続いた。
「みんな、幸せそうに寝てんな……」
アキはぽつりとつぶやいた。
焚き火の火が少し小さくなる。
「ChatGPT。俺って、なんでこの世界に来たのかな?」
『わかりません。転生の因果は不明です。ただ、あなたは"問い"を持ってきた』
「問い?」
『はい。"知りたい"という気持ち。そして"この世界を、理解したい"という探究。魔法も、人も、歴史も、心も。あなたの旅は"問い"の旅です』
「……そっか。じゃあ、答えはまだ出なくてもいいか」
アキは立ち上がり、少し背伸びをした。
「ChatGPT、明日のダンジョン攻略プラン、まとめといて。明朝ミーティングで話す」
『了解。行動ルート・敵出現率・初級結界装置の弱点など、すでに整理中です』
「……お前、やっぱ優秀だな」
『あなたの問いが優秀なだけです』
「うまいこと言ったな、こいつ……」
その言葉に、どこか照れながら、焚き火のそばに寝袋を広げた。
そして、目を閉じる。
パチ……パチ……
問いは、明日も続く。
魔法のこととなると、真剣に突き詰めてしまうアキ。
でもその奥には、"問い続ける少年"としてのまっすぐさがある。
次回、いよいよダンジョン攻略開始!
Fランクパーティー、未知の世界へ一歩踏み出します!