第3話:冒険者登録とはじめての仲間
家で学び続けた知識。世界の仕組みも、魔法の構造も、ChatGPTとDALL·Eが教えてくれた。
でも、書庫の中では"冒険者"にはなれない。いよいよアキは、村を出て、はじめての街に足を踏み入れる。
旅立ちの日は、静かだった。
朝靄の中、僕は村の入り口に立っていた。背負っているのは、父の書庫から譲り受けた革のカバンと、魔法を記録するための「問いの書」。あとは、ChatGPTとDALL·Eという"僕にしかない魔法"だけ。
「ChatGPT、村の外気圧と魔力濃度、確認」
『安定しています。外部からの魔力流入もありません。旅の開始としては、最良の条件です』
僕はうなずいた。
「じゃ、出発しよう。世界を見に行く」
それが僕の第一歩だった。
*
最初に辿り着いたのは、小さな町――ブレネル。
村よりも少しだけ栄えていて、人も多くて、建物も大きい。けれど、城壁都市のような堅牢さはなく、どこか暖かい雰囲気を残していた。
僕の目的はひとつ。冒険者登録だ。
「すみません、冒険者登録をしたいのですが……」
ギルドのカウンターにいた女性受付員は、にこやかに対応してくれた。
「ようこそ、ブレネル支部へ。お名前と、生年月日、それと魔法の適性を確認しますね」
「アキです。15歳。魔法は、ChatGPTとDALL·Eを使用します」
女性の手が止まった。
「チャット……ジーピー……?」
「あ、うん、ちょっと変わってますけど、対話型知識支援魔法っていうか……あの、見てもらった方が早いかも」
「は、はい……?」
僕はその場で、魔法を起動した。
「ChatGPT、登録用ステータスの表示をお願い」
『了解。ステータス構成、簡易表示に切り替えます』
空中に文字列が浮かび上がる。魔力適性・言語処理能力・記憶保持領域・解析演算速度――どれも規格外。
受付嬢は目を見開いたあと、真顔で言った。
「すごい魔法ですね……でも正直、戦闘向きではないのでは?」
「大丈夫です。ChatGPTは、戦闘時には敵の動きを予測して魔法設計を補助しますし、DALL·Eは戦場での視認補助・敵の錯乱・物体の再構成もできます」
「そ、そうですか……と、とにかくFランクからのスタートになりますね」
「問題ありません」
こうして、僕の冒険者としての人生が始まった。
*
その日の午後、ギルドの掲示板の前で、3人の若者が僕に声をかけてきた。
「おい、あんたもFランク?」
ラクトと名乗った、元気な剣士の少年。ミナという、目付きは鋭いけど優しげな弓使いの少女。そして、トーレスという、やたらゴツいけど口数少なめな盾役の青年。
「火力が足りないんだ。魔法使い、探してたんだよ。よかったら、一緒にやらないか?」
誘われたとき、ChatGPTが言った。
『これは"問いの交差点"です。ここから、あなたは新しい選択肢を得ます』
「いいよ。僕も仲間が欲しかった」
仲間がいるって、どんな感じだろう。初めての共同生活。初めてのクエスト。そして、誰かと一緒に進むってこと――
その日、僕たち4人のパーティーが結成された。
チーム名? まだ決まってない。でも、それでいい。
僕の問いは、まだ始まったばかりなのだから。
書庫の知識じゃ知れない世界がある。ChatGPTが導いてくれても、仲間との関係までは答えてくれない。
いよいよ始まる実地の冒険と、最初の絆。次回、「お金がないので全員野宿」事件、発生します!