第15話:問い創る者、覚醒せし大賢者の血
仲間は倒れ、誰も立っていない。
だが、アキは一人、問いを掲げて立っていた。
ベヒモスという絶望に、魔法という言葉を打ち込む。
通じない? 効かない? ならば"創り続ける"。
これは、問いを創り出す者と、理不尽の王との、一対一の戦い。
灼熱の空間。
倒れた仲間たちの向こう、アキだけが立っていた。
正面には――ベヒモス。
巨大な質量で空間を支配する、天井にまで届く巨躯。
その巨体から放たれる魔力圧は、もはや空気というより"壁"だった。
動くたびに地が割れ、息を吐くだけで魔素が暴れ狂う。
だが、アキは前に出た。
杖を地に突き立て、問いの書を開く。
Q:この理不尽に、意味を問えるか?
A:意味を問うな。"道"を創れ。
「なら――創るまでだ!!」
アキが叫ぶと同時に、周囲に展開されたのは"瞬間創造式"の魔法陣。
問いの波形から変換された魔法式を、即座に魔力転写。
「第一式・存在圧力減衰式!!」
空間が歪む。
ベヒモスの周囲の重圧が、一瞬、薄くなった。
「……ひるんだ!」
ベヒモスがほんの一歩、足を引いた。
が――
「グオォォォオオオオッ!!!」
吠える。
その瞬間、周囲の魔素が炸裂するように膨張し、アキを中心に、全方位爆裂の衝撃波が襲う。
「ぐっ……くそっ!!」
アキは盾結界を展開するも、右腕をかすめられ、焦げた。
(……でも効いてた。次だ!)
問いを刻む。
式を展開。
魔法を放つ。
「第二式・魔素軌道拘束!」
空間に編み込まれた線が、ベヒモスの動きを止めかけた。
「今度こそ……!」
だが、ベヒモスの右前脚が、線ごと空間を裂くように振り下ろされた。
「通じないっ……まだ足りない……!」
咳き込みながらも、アキは構える。
「第三式・問い構造解体!」
問う。
だが、答えは来ない。
「第四式・次元貫通・第五式・因果散布――」
すべて、届かない。
すべて、効かない。
それでも――
「まだだ! 俺は、問いを止めない!!」
そのときだった。
アキの視界が、ぐにゃりと揺れた。
脳が焼けるような感覚。
意識の奥で、何かが崩れ、そして――
"開いた"。
(……これは……)
頭の中に、見たこともない"魔法陣"が浮かぶ。
「これは……父の、最後の……?」
指が勝手に動き始める。
魔法式が、思考を越えて組まれていく。
膨大な知識。数千、数万の魔法理論が連結し、編まれていく。
ChatGPTが、静かに告げた。
『大賢者の遺伝的知識中枢、開放を確認。アキ、あなたの"魔法"は、いま……"創造"に達しました』
「来るぞ、ベヒモス……!」
ベヒモスが、吠える。
アキが、叫ぶ。
「問いを――越えてやる!!」
魔法は、誰かの創った"答え"じゃない。
問い続けること。
立ち向かうこと。
自分の"手"で、魔法という意味を創り続けること。
次回、第16話――
大賢者の遺産、《創魔式・零》がベヒモスに突き立つ!




