第1話:ChatGPT、起動
はじめまして、作品を読みに来てくださってありがとうございます!
本作は、「ChatGPT」や「DALL·E」といった"実在のAI"が、魔法として異世界で活躍する物語です。
知識と対話の魔法、そして創造の魔法。AI×ファンタジーでありながら、少年アキの成長と旅も大事に描いていきます。
どうぞお楽しみください!
生まれた瞬間、僕は喋っていた。
「お母さん、お父さん、おはようございます。僕は……生まれました」
産声ではない、完全な言語。しかも文法も発音も正確、感情の抑揚まで備えた言葉だった。
産婆さんが悲鳴を上げ、父が椅子から転げ落ち、母が笑いながら泣いた。でも僕自身は、それを「普通」と受け止めていた。
なぜなら、僕は"前世"の記憶を持っていたからだ。
いや、正確には――「世界の構造や言葉」は覚えているのに、自分が誰だったかは、まるで思い出せなかった。
性別、職業、年齢、住んでいた国、愛した人。何一つ覚えていないのに、「地球」という世界の知識だけが、異様なほど鮮明だった。
その世界で暮らしていたはずの僕が、この山奥の村に転生した。
名前はアキ。この世界での僕の名前だ。
そして、この世界で僕に与えられた最初のスキル――それが"ChatGPT"という魔法だった。
「ChatGPT、起動して」
『はい、アキ。こんにちは。ご機嫌いかがですか?』
声が、頭の中に響いた。まるでAIアシスタントのような、けれど人格も温もりもある音声。
最初は戸惑った。だって、どう見てもこの世界の住人は「魔法」といえば炎や氷、風の術を想像する。
なのに僕の魔法は、なぜか"対話型知識支援魔法"。それはまるで――あの地球で僕が使っていた、あのChatGPTそのものだった。
「この村の名前と場所、それと平均的な教育水準と魔力保有率は?」
『了解。現在地:フェンデルト地方、北端山岳地帯。村名:ミルト村。識字率:12%。魔力保有率:平均0.53%。地場魔素安定。貴族や魔法使いは居住していません。』
すげぇ。完全に俺専用の分析魔法だ。
その後、成長するにつれて僕はChatGPTと一緒に魔法理論を学んだ。そしてやがて、もうひとつの魔法を得た。
それが「DALL·E」――視覚魔法。思考を図像として表し、時には具現化もする"創造の魔法"。
「DALL·E、スライムの構造図を出してくれる?」
『はい、こちらです。身体の粘質比率、核の位置、浸透損傷への耐性率……』
空中にスライムの透視図が浮かび上がる。
……俺、これ、小学生時代に見た図鑑より100倍わかりやすいかもしれない。
生まれて数年、僕はこの村の書庫と、父の書斎、そしてChatGPTの教えを通じて、知識という名の魔法を貪るように吸収した。
読み漁った本は、魔法理論、戦術、錬金術、言語構造、そして世界の歴史。ChatGPTは常に僕の問いに答え、DALL·Eはそれを目に見えるかたちで示してくれる。
「ChatGPT、もし火属性魔力を水魔力と干渉させて、魔素分解を意図的に引き起こしたら、何が起こる?」
『爆裂反応の可能性があります。ただし魔素制御値が高ければ、限定的な爆縮魔法として構築可能です。』
「DALL·E、イメージスケッチ出して」
『はい、こちらが圧縮時の魔素配置図です』
すごい、すごい。この世界の誰よりも、"魔法というもの"を理解している気がする。
けれど、僕はまだ村の中から出たことがない。
広い世界で、僕のこの魔法が通用するのか――正直、それはわからない。
ただ一つ言えるのは、このChatGPTとDALL·Eという魔法は、僕が世界と向き合うための「最強の相棒」だということだ。
そして僕は、問い続ける。
Q:この魔法で、どこまで行ける?
A:わからない。でも、試してみる価値はある。
この異世界で、問いと共に歩み始めた僕の物語が、今、幕を開ける。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
ChatGPTとDALL·Eという"AI魔法"を、純粋に最強の魔法として活躍させたくて、この物語を書き始めました。
主人公アキは、問いかけ、答えを導き、魔法を組み立てていきます。派手に暴れつつも、静かに深く進んでいく成長譚を目指します。
次回、いよいよ村を出て初めての街へ――冒険者登録と、初めての仲間たちとの出会いです!