悪役令嬢が、ミス悪役令嬢に出場して、一位になれなかった話
「エリザベスよ。ミミリーをイジメたことは明白だ!婚約破棄の上、追放刑にする!」
陛下がいない時に、断罪を始められた。
「あたし、謝ってもらえばそれでいいんですぅ」
「おお、愛しのミミリー、この女は危険だ!話しかけてはいけないぞ」
「「「我らに任せろ!」」」
媚びることしか知らない男爵家の小娘だ。
殿下も終わったな。
我はイジメなどしない。やるときは、本気で排除するわ。
我は、公爵令嬢でもあるが魔道師のスキルもある。どこに行っても、生活が出来る。お父様と、後妻のお義母様とはそりが合わない。
それも、良かろう。
「ルキア!頼むぞ!世界追放だ」
「はい、殿下!異世界転移の魔道具、転移爆弾!」
・・・何?王家秘蔵の異世界転移爆弾だと!それは、不味い!
ボム!
・・・・
追放先でな。平民に出会った。婦人だ。安心だろうと思って、声を掛けた。
「これ、そこの平民、バレル公爵家のエリザベスだ。このネックレスをやる。冒険者ギルドを教えてくれないか?出来れば、このネックレスで食事を所望する」
「え、ネックレス、これ、高いでしょ。ジャパンネットユカヤでもみたことないネックレスだわ」
「・・・どうせ、元婚約者からもらったものだ」
「まあ、まあ、これは、持っていなさい。コスプレ外国人ね。近くにイベントあったかしら。うちに来なさい。靖士の英語の教師でもやってもらえばいいから」
「英語とな?」
そしてな。この家は寡婦の家だ。
子息殿は、昼は、平民の高等学校で、母御殿は、働きに行くのだ。
我は、家の警備の職を得て、テレビなるもので、情報収集をしたのだ。
♩ジャパンネットユカヤ~~~
「今日の商品は、ネックレス!何と、今なら、古いネックレスをお引き取りします!29880円のところ、古いネックレスを買い取りに出す方は、一万円でご提供できます~」
「ええ、何だって、でも、鑑定書ついてないんでしょう」
「それが、何と、付いているんですよー」
「ま、まさか。それじゃ、ユカヤ、倒産しちゃうよー」
ほお、これが、サチコ殿が言っていたジャパンネットユカヤか。便利だ。
・・・・
「え、英語できないの?」
「そうだ。不思議とこの国の言語は出来るが、さっぱりだ」
ヒソヒソ~
(もしかして、今戦争中の国から来た方)
(そうだよ。母さん。ショックで記憶喪失になって、好きなアニメを追って、日本にきたんじゃない)
そしてな。
夜、聞いてしまったのだ。
「はあ、今月、苦しいわ」
「母さん。お小遣いらない。バイトをするよ」
「ダメよ。勉強しなさい。お父さんの保険金で大学に行くのよ」
「母さん!」
「エリザベスさんもそのうち記憶が戻るわよ。役場に相談するわ」
出て行くか・・・
書き置きとネックレスを置いて、家を出た。
冒険者ギルドはないかと、繁華街をウロウロしていたら、
声を掛けられてな。
☆コンカフェ『悪役令嬢でごめんあそばせ』
「路頭に迷っていたところ、体験入店の誘いを受けたのだ・・・」
「・・・・・・大変ですね」
「そろそろ時間だ。延長しろ。フルーツの盛り合わせの注文を所望する。3000円だ。フルーツ缶だから、傷んでいないぞ」
「・・・・・・帰ります」
「・・・・・・」
・・・・・
☆バックヤード
「ダメだよ。エリザベスさん。お客様と楽しく話さなければ、あそこのマーガレットさんのように、扇子を広げて、ご注文をとるように促してよ」
「オーホホホホホホ、あら、コップが空ですわ。お話が楽しくて、飲み物がなくなるのが早いですわ」
「じゃあ、マーガレットさんに、何か飲み物を一杯」
「あ~ら、小腹も空きましたわ。最近ダイエットをしていて、フルーツを食べていますの。あら、でも、無理をなさらないでね。スーパーダーリンなお客様はそうはいませんの」
「マーガレットさんにフルーツの盛り合わせを!」
「素敵なスパダリ様から、ご注文が入りました!」
ビシ!
「まあ、貴方は、スパダリだったのですね。素敵だわ!」
「・・・と、扇で、ビシっと、指して、悪役令嬢みたく出来ないかな。外人で、ドレスを着て、顔は悪役令嬢みたいなのだがな」
「令嬢は、注文など取らないぞえ?」
「はい、体験入店の日給、5000円、帰った。帰った」
我は、一日で、クビになった。
ふ~む。使用人は、難しいか。
魔道師の求人はないのか?冒険者ギルドはないのか?
と探したのだ。
「ギャハハハ、スゲー、ドレスだな。お金に困っていない?良い店紹介するよ」
「スリープ!」
ドタン!
ここは、治安が悪い。
森に行って、食べ物を探そうか・・・
「エリザベスさん!」
「エリ姉ちゃん」
「サチコ殿、ヤスシ殿・・・」
まさか、我を探しに来たのか?穀潰しのニートである我を・・・
「とにかく、家に戻りなさい!考えがあるの」
我は、勤め人になった。サチコ殿の知り合いの商会だ。
「はあ、最低時給しかだせんがな」
☆『ヘラブナ釣り堀ザ・フナ』
我は、サチコ殿の知り合いの釣り堀なる所の番人に就職をしたのじゃ。
魚を食べもしないのに、漁をする。全く、ナンセンスだ。
「試しに、エリザベスさん。やってみなよ」
「わかった」
・・・・
ピクッ!
シュン!
バシャバシャ!
「スゲー、あの外人の姉ちゃん。何匹目だ」
「これなら、大会に出られるのじゃないか?」
「フウ、魔道の修行で、集中力がついたのだ」
「魔道?」
「不思議系外国人だ」
そして、我は、知る人は、知る人になった。
雑誌の取材も受けたのだ。
遂に、初めての給料日だ。
「受け取れ」
「エリザベスさんのお小遣いも必要でしょう。これだけ頂くわ」
夜は、ヤスシ殿の勉強を応援したり。
「頑張るのだ。カップ麺を作って差し上げよう」
「有難う」
ヤスシ殿が、ゲームをするときの相手になったりしたのだ。
魔道箱をテレビにつなげて、フィールドステッキのゲームをやる。
外でやればいいものを、全く、意味が分からない。
「うわ。また、負けた」
「ヤスシ殿、インパクトの方法を変えてはどうだ。初めは女性キャラでコントロール優先がいいぞ」
「姉ちゃん。スゴいよ」
「まだ、やるだろ?」
「ダメだよ。もう23時だよ。もう、寝なきゃ」
「ふむ・・・」
個人モードはつまらん。危険がないか、不具合がないか。仕事が終わったら、寄り道もしないで、検査をしていたのだ。
「しかし、ヤスシ殿、これは、ゲームステーション3,今は、5が出ているのではないか?」
「いや、これが好きなんだ」
・・・しまった。この家は貧乏だった。
そんなときに、
釣り堀屋の亭主の誘いを受けた。
「そう、そう、ミス悪役令嬢コンテストがあるよ」
「エリザベスさんも出なよ。俺が推薦書いてやる」
「つまらん」
「そうか、賞品はゲームステーション5なのにな。エリザベスさんなら、優勝間違いなしなのにな」
「出る!」
そして、我は、ミス悪役令嬢に出場したのだ。
☆☆☆悪役令嬢村大字悪役令嬢特設会場
「皆様、この村の由来は、幕末に、通りがかりの外国の令嬢現れ、水源を見つけて井戸を掘ったり。盗賊をやっつけたりして、村人を助けたと言います。
それが、まるで、悪役令嬢のようだと、話題になり。地名は明治維新のどさくさで、悪役令嬢村と改名されました!」
パチパチパチ!
「審査員は、東京で、萌え萌えクラブを主宰している山名大全氏と、その師匠、フィギア伝道師、萌山三郎氏です」
こうして、ミスコンが始まったのだ。
参加人数は、6人、観客の投票で、ふるいに掛けられる。
上位2名が最終選考に残るのだ。
我は見事に、最終選考に残ったのだ。
「1番、失格!」
「オラは、悪役令嬢だぁ!」
「まさかりを持っている悪役令嬢は、ちょっと、イメージ出来ないな」
「4番失格」
「ウケル~~」
「てか、4番、ダンプの運転手の亭主いるじゃないか?」
残ったのは、我ともう一人の村娘、共に10代だ。
サチコとヤスシは?そろそろ来る頃だ。
「いた。エリ姉ちゃんと舞姉ちゃん。どっちも頑張れ~」
「まあ、舞子ちゃん。お久しぶり」
ペコ
「チース。どうも」
何と、顔見知りか?小さい頃、一緒に遊んだお姉さんだと!
今は村唯一のコンビニの店長の娘で、看板娘だと!
負けられない。貴族学園のテスト、魔道コンテストよりも、やる気になった。
いつも、1番だった。異世界でも1番になる!
ザワザワザワ~~
「最終選考は二人です!審査員の質疑応答タイムです」
「うむ。我は問う。悪役令嬢とは、これ如何に!」
もう一人の娘は、髪は金髪に染め。ポニーテールだ。服装は、短パンにスタジャン。
さあ、どう答える。
「・・・うぜ-」
プィ!
勝ったな。我は、予習した悪役令嬢について、話したのだ。
「2010年頃から、小説ナリキリサイトの転生ものの乙女ゲームの一環で流行ったのだ。2017年ごろから、上位に君臨するようになり。主に、ヒロインと殿下たちに断罪されるてから、ざまぁをする令嬢だ。
容姿からキツそうに見えるが実は善い人、追放された先で異才を放ち凱旋する。
または、断罪の場で、弁舌で、王子たちを圧倒し、スパダリや、他の王子に見初められる・・・」
「フン!我は、そんなことを聞いているのではないのだ!悪役令嬢の心だ!」
・・・面倒臭いの。この御仁は。
次は実技試験だ。
「扇を開いて、高笑い。そして、扇をパチンと閉じて、ビシッと指して下さい」
・・・我は練習をしたのだ。
「オーホホホホホ、ごめんあそばせ」
パチン!ビシッ!
高笑い。扇をパチンからのビシッ、決まった。
対して、この娘は。
「うぜ」
何もしない。これで、我の勝ちだ。
「優勝!水神舞子さん」
パチパチパチ!
「良い勝負だったな」
「舞子ちゃんのぶっきらぼう。婆さん譲りだ」
「ええもの見せてもらったのう」
・・・え、何故だ。何もしなかったではないか?
「では、挨拶をして下さい」
「チィ、どーも」
・・・我は問うたのだ。審査員たちに、
「何故だ!納得いかない。説明を求める」
「浅はかなり。悪役令嬢は、悪役なり。悪役令嬢が、扇をパチンとしろと言って、しないなり!」
「オホホホ、まあ、気高い精神が見られたから、水神さんの勝ちなのじゃ」
「本音は?」
「好きな同級生に似ていたなり」
「絶対領域じゃ!」
・・・こいつら。
水神とやらは、賞品のゲームステーション5を持って、ヤスシに近づく。何をする気だ!
「ほい、ヤスシ。やる」
「え、舞姉ちゃんいいの?」
「ソフト買ったら行くし・・」
「うん!」
な、何だと、先を越されたのか?
なら、我はバイトの金で、ソフトを買って、歓心を買う。
「ヤスシ殿、ソフトを買ったのだ。一緒にやろう」
「これは・・・乙女ゲームじゃない?さすがに、エリ姉ちゃんやりなよ」
ガーン!
「あ、舞子姉ちゃん」
「5版の『皆でゴルフでーす』を買ってきた」
「やろう。やろう。エリ姉ちゃんも」
フン!認めよう。初めての挫折だ。ヤスシ殿のお姉ちゃんの座を奪還するのだ。
ピンポ~ン♩
「我が出る」
出たら、殿下がいた。
「・・・こんなぼろい平屋にいたのか?悪役令嬢がいると聞いたが、・・そんなことはどうでも良い。一緒に帰ろう。ルキアも来ている。異世界を自由に行き来出来る方法を開発したのだ。
父上から、エリザベスを連れ戻さないと、廃嫡だと言われてな。ミミリーは愛妾にする。お前は政務だけをやればいいから、好きだろ?」
・・・どうでも良いわ。
ガチャン!
ドアを閉めた。
ピンポ~ン♩ピンポ~ン♩
「エリザベス!エリザベス!戻って来い!」
「エリ姉ちゃんどうしたの?」
「・・・・押し売り?」
「違うのだ。こちらの世界風で言えば、昔の男だ」
「え、ストーカー?警察を呼ぼう!」
「・・・それがいい。あたしが呼ぶよ。エリさんは、万が一があるから、二階にいなよ。ヤスシは戸締まりを頼むよ」
「分かった!」
「助かる。一応、言っておくが、殴っても大丈夫な存在だ」
「おう、分かった」
・・・全く、どうやって、ヤスシ殿の歓心を得るか。悩んでいるのに・・・
その後、
「GS5版の皆でゴルフでーすは、新しすぎて、イマイチ。GS3版やるから、エリ姉さんは、乙女ゲームやりなよ」
「それがいい」
「いいのだ。我も交ぜるのだ」
何だかんだで楽しくやっている。
最後までお読み頂き有難うございました。