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38話『作戦会議』

「さて、これより作戦会議を始める。」

浅原が長机の1番奥で腕を組んで話し始める。

「これ遠くないか?」

俺は両サイド5つくらい席が空けて座っている浅原に尋ねる。

俺の隣にいるタツヤもそうだそうだと言っている。

「こうしていると1番偉く見えるぞ。」

「その考え捨てときなさい。」

タツヤの横にいたユリが冷たい声で喋る。

「というか、この場にいるのみんな知り合いじゃない!」

ユリはため息を吐きながら周囲を見回す。

確かに今この部屋にいるのは、みんな同じ学校の奴らだ。

「普通こう言うのって軍の隊長とかもいるはずじゃ……。」

「軍の隊長は私だよ。」

手を上げる白石を見て納得した。

「ちなみに僕は国の法律と国同士の情勢とかの担当で、小杉は教会の管理と治安の維持を担当してる。」

「それでそこにいる佐々木は……。」

「元サフィア王国軍の団長代理と考えてくれ。」

佐々木の返事を聞いてユリは首を縦に振った。

聞いたところによると、佐々木は転生されてすぐ目の前でサフィア王国の王族がモンスターに襲われていて、神器のハンマーで追い払って助けた結果、国王直属の部隊に任命されたらしい。

佐々木の話を思い出していると、浅原は口を開いた。

「率直に言うと、翡翠の森にある虫どものダンジョンを占領してほしい。」

浅原はため息をついて話す。

確か前にダンジョンがどうと話していたのを思い出す。

「糸や周囲の植物を大量に使って作られた繭のようなダンジョンだ。なんとか占領して撤去したいが、今まで虫たちの抵抗で全く進行できなかった。主にあのタガメやろうが原因だけど。」

浅原が嫌そうな表情で話す。

俺もあのタガメ野郎を思い出すと少しぐったりしそうになる。

あのタガメは攻撃力はそこまでなかったが攻撃する暇がなかったので厄介だった。

「マジでお前たちがあの時倒していなければ、まだ平原で立ち往生していた。そして、あいつを倒したことで白石のワイバーンが容易に繭まで行けるようになった。」

浅原が安堵の表情を浮かべる白石に手を向ける。

「ようやく翡翠の森へ飛べるようになった今、お前ら5名には繭のダンジョンを占領してほしい。」

浅原はそう言って立ち上がった。

俺は横を向くと、ユリとカエデはいいやそうな表情を浮かべる。

「あなたたちが戦わないにしても、軍の派遣とかもしないの?」

「考えている作戦としては、俺たちの軍は平原で囮になる。ムカデとタガメが消えた以上、怪我人の数はめっきり減るから問題ない。その平原で多くの虫を相手している間に繭のダンジョンをお前らが占領する。単純かつやり易いだろう。」

浅原が考えた作戦を聞いて納得する。

確かに作戦としては団体戦を仕掛けてくる奴らに有効だろう。

「けど、あの虫たちの連携が強くなった原因はまだ倒れてないよね?」

ユリが手を上げながら質問をする。

「その原因も調べるのも占領ついでに頼みたい。」

浅原が頼みながら手を合わせるが、横を見ると皆頭を抱えている。

「俺は賛成だが、タツヤはどうする?」

俺は隣のタツヤの肩をつつきながら尋ねる。

俺自身は浅原が神器の都合上、簡単に動けない以上俺たちが戦いに向かう必要があるから賛成ではある。

「俺も同意見だな。」

タツヤは俺に親指を立てながら言って俺が相槌を打っていると、ユリが手をあげる。

「今回のダンジョン攻略の話、成果に見合う報酬をもらいたいんだけど用意できる?」

「へっ?」

ユリが真顔で尋ねると、浅原が何も考えてなかったと言えそうな声を出す。

俺とタツヤは顔を見合わせた後、すぐに浅原の方を振り向く。

「確かに、前回は勝てたけど今回も勝てるとは限らないからな。」

「俺たちは命懸けでそのダンジョン行くんだから見合ったもの頼むぜ。」

俺とタツヤでユリの意見にさらに乗っかる。

カエデは状況を理解できてないのか、ユリの肩を叩いて訪ねている。

今から俺たちがダンジョンに行くことになるなら、当然危険な目に遭うかもしれないからタダ働きはしたくない。

それに加えて国からの依頼なら、報酬も豪華だろう。

「いや〜、この国経ったばかりだから報酬として与えれる場所はあまり無いからな〜。」

浅原が冷や汗をかきながら言い訳をする。

確かに最近建ったばかりのこの国に求めるのは問題だったか。

「けどあのダンジョン攻略してもらえるなら報酬をあげてもいいんじゃないか?」

タツヤの反対側に座った白石が、ユリの提案に乗っかる。

浅原が目を見開いて白石の方に顔を向ける。

「そうだな、そこの問題を解決すれば僕達が他の国と関わる余裕も生まれるし、小杉に手伝ってもらっている治安維持も楽になるんじゃないか。」

何か言いたげな浅原を押しのけるように天川も賛成する。

その横で小杉も相槌を打っていた。

そのまま会議は進んでいき、数分経った。

「じゃあ報酬は、君たちがこの城で過ごせる部屋4つってことでいい?」

天川が俺たちに向かって話しかけて確認してくる。

話がとんとん拍子に進むうちに何気に豪華な報酬になっていることに浅原が頭を抱えていた。

「それでいいわよ!旅をしていても私の魔法があるからすぐに戻ってこられるし。」

ユリが満面の笑みで首を縦にふる。

「どうしてこうなった?」

浅原が俺とタツヤの方を向いて訪ねてくるが、わからないと首を横に振って答える。

しょげている王様を気にせずにユリたちはにこやかに話している。

「準備できるのは4部屋ってことになったけど、君たちは5人だったよね?」

「サイアはカエデが一緒に寝るんだっけ?」

「うん、もふもふしてて暖かいし一緒の部屋にしてもらう王と思ってるよ。」

「天川、あんたの直属の部下のマオを私の部下に異動させてくれる?」

「クロロン泣くぞ。」

5人の会話が止まると、席に座った皆の顔が項垂れてる王様に向けられる。

突然自身に全ての視線が向いたことに、浅原は椅子が後ろに倒れそうなほど仰け反ってから姿勢を正す。

「国王、報酬はそちらでよろしいでしょうか?」

さっきまでのおちゃらけた表情から打って変わって、天川は真剣な表情で浅原に訪ねる。

一応浅原が王様だからそこら辺の礼儀をわきまえたのだろう。

「わかった、とびきり良い部屋を準備するように命じとこう。」

浅原はため息まじりな声で首を縦に振った。

その顔はめんどくさそうな表情から真剣な表情に変わる。

「速攻であの繭のダンジョンを占領してこい!」

浅原の掛け声を聞いて、俺たちは頭を下げた。

ここまで読んでいただ、ありがとうございます。もしこの作品を読んでいただいた後に感想を書いていただければ励みになります。また、どこか漢字や文法の間違いがあった場合、指摘していただけるとありがたいです。

また、先日風邪を引いてしまってしばらく動けなくなるかもしれません。ですので早くて1週間、長くて2週間の休暇を取ることをご報告しておきます。

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