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21話『のぼる夜明けと話し合い』

「大丈夫ですか?」

1階に降りてきた俺とカエデに向かって、マルタが話しかけてきた。

さっきまで外で出会った他の傭兵達は、玄関の岩を砕いたのか屋敷の中でイェデンを囲んで守っている。

「おい貴様ら、先ほどの犯人が上から落ちてきたが何があった!」

ドゥーワが俺たちの元へと駆け寄って訪ねてくる。

俺とカエデはアルバイン兄弟とマルタ、他数名にことの詳細を伝えた。

「カルミネ・ガイスト!?」

マルタが驚いた表情で聞いてくる。

その場にいた他の数名もその場でざわめく。

「そんなに有名なやつなの?そのカルミネってやつ?」

「魔王軍には多くのモンスターがいるけど、カルミネ・ガイストといったら20年前に隣国のルマリン王国を滅ぼした時にいたやつね。」

イェデンが不安そうな表情で使用人の1人を呼び出す。

「王国の結界魔法を強めるように報告へ向かってくれ。」

イェデンが使用人と話している間に、ドゥーワが俺とタツヤの元へ歩いてきた。

「君たちが我々を守り、侵入者を倒してくれたことに礼を言う!」

ドゥーワは俺たちに頭を下げて感謝を示してきた。

俺は慌ててドゥーワよりも低く頭を下げる。

「それ以上に貴方の鎧を完全にぶっ壊したことを謝罪させてください!」

後ろで煙を出しながら転がっている鎧から罪悪感を感じる。

「問題ない!あの鍛冶屋に作り直してもらうとしよう!」

ドゥーワは笑いながら俺の非礼を許してくれた。

気がつくと、窓から日が差し込み始めた。

「ようやく仕事終わりか……。」

ユリがサイアに抱えながら話しかけてきた。

目の下にはクマができていて、今にも倒れそうだ。

「じゃあ、俺たちは宿に戻ります。」

俺はマルタに声をかけて歩こうとした瞬間、昨夜の疲労のせいか足がもつれた。

顔を打ち付けるように倒れて、動けなくなると同時に目を閉じた。

耳には慌てるカエデとユリの落ち着いた声が聞こえてきた。


「危なかった〜。」

自分のお気に入りの黒い鎧を着込みながら背伸びをする。

回廊の奥からコツコツと歩いてくる音が聞こえる。

音的に木靴だからおそらく見知ったゴブリンだろう。

「よおガイスト、お前はボコボコにされるって相当だな。」

呆れた表情を浮かべながら見知ったゴブリンが話しかけてきた。

「よおウィーク。めっちゃボコボコにされたよ〜。」

俺は見知ったゴブリン、ウィーク・アデプトの頭をペシペシと叩きながら笑う。

あまり嬉しくないのか、嫌そうな顔をする。

「そんなことより、お前呼び出されているぞ。

「ええ、魔王様が怒るようなことしたかな〜?それとも俺の剣技があまりにも酷かったから師匠のバアツ様がお怒りとか?」

「いや、新しい3時の番人だ。」

ウィークの発言を聞いて、冗談を止める。

最近、前までいた幹部の2名を殺して新しく幹部となりたいといいにきた奴らがいた。

モンスターではなく、人間でだ。

「あいつらは何を聞きたいと?」

「お前を倒した人物についてだとよ、知っているやつの可能性があるかららしい。」

ウィークと話しながら、廊下を進んでいると、ある部屋についた。

時計盤の間、俺たち魔王軍幹部の12名のみが入ることが許された部屋だ。

ウィークと共に部屋へと入ると、3名の人物がいた。

「やあやあ下級幹部、よくきてくれたね〜。」

お酒を飲みながら、6時の番人を務める魔女、カタリナ・エレメンシアが喋りかけてくる。

隣にいるメガネをかけた茶髪の人間も何か言いたげだが、彼は確か7時の番人だから何も言えないのだろう。

俺は自分の番号である9と書かれた椅子に座る。

ウィークは1つ間を空けて座ると、俺と対照的な位置に座る人間が話し始めた。

「さて9時の番人、僕を追い詰めた君を負かしたやつってどんな奴?」

「確か、時鋼を素材にして作られた短剣、南の山に住むフェニックスの羽が素材として作られた剣、それと多分5時の番人の鱗で作られた槍を使う君と同じくらいの歳の少年少女達だったよ。」

目の前の人間は俺の返事を聞くと、ハハハハと笑い始めた。

「奴らが持ってるそれは神器だ。そして、俺たちと共にこの世界へ連れてこられた奴だ。」

目の前の人間はガッツポーズをとりながら笑っていた。

「あの〜、それってセイジ様のご学友ではないでしょうか?」

ウィークが目の前の人間、渡辺清二に向かって質問をする。

「ああそうだ、だがらこそ俺は奴らを殺したい。」

そう笑いながら、セイジは席を離れて部屋を出ていった。

セイジがどっかいったのを確認すると、部屋にいた俺を含めて皆机に突っ伏した。

「疲れた……。」

「あいつ一体何者なんだよ……。」

俺とウィークで愚痴っていると、もう1人の茶髪の人間が席を立って俺たちの元へと歩いて来た。

「私の友人が申し訳ございませんでした。」

茶髪の人間は丁寧に俺たちに頭を下げてきた。

俺たちモンスターは基本人間を嫌っているが、目の前の平田公平と言う人間とは普通に話せる程度には仲が良い。

「まあまあ、お前はしっかり仕事をしているじゃないか。」

ウィークが立ち上がって、コウヘイの方をポンポンと叩く。

カタリナも立ち上がると、部屋から出ようと扉へ向かう。

「じゃあ私はあんたのご友人と話してくるよ。」

そういうとカタリナも部屋から出ていく。

丁寧にお辞儀しながらコウヘイも出ていった。

「俺らも考えようぜ、次の作戦とか。」

ウィークはそう言うと部屋を出ていった。

1人取り残された俺は用事は無くなったので部屋を出て、必要はないが自室で眠ることにしようと思いながら魔王城の長い廊下を歩いていった。

ここまで読んでいただ、ありがとうございます。もしこの作品を読んでいただいた後に感想を書いていただければ励みになります。また、どこか漢字や文法の間違いがあった場合、指摘していただけるとありがたいです。

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