3.
「なぁ、クーラス。躾って具体的には何をすればいいんだ?」
「そうだなぁ…。ヒトに迷惑をかけない事。迷惑をかけるとヒトは全力で我々ドラゴンを討伐しようとするだろう?」
そうだなあ。
「上下関係の確立。俺やリョウ、ウォーレス、トルネの方が先輩で強いんだという事を思い知らせる」
スモウでもさせる?
「各自、ブレスの調節が出来るように。常に全力ブレスだと馬鹿丸出しだろう?この相手ならこの程度でいいとかわかるように」
そうだな。焼き鳥焼くのに、全力でブレスされたんじゃ肉など残らない…。
躾要綱として
・ヒトに迷惑をかけない
・上下関係の確立
・ブレスの調節
を覚えた。ところで、俺とクーラスは一旦城に戻った。
俺は居場所特定器を壊したことについて怒られた。なぜか護衛に。国王の指示じゃなかった?
不審だが、俺は居場所特定器をなくしたことについて国王に謝罪した。
「居場所特定器とは何だ?」
やっぱり…。
「国王の指示ということで、龍の谷に行く前に持たされたのですが…」
「俺はそんな指示はしていない!龍の谷は不可侵。ドラゴンを密漁したり、観賞用に狩ったりするのを防ぐために、各国で行かないことにしているのだ。居場所を特定するなど重罪!」
やっぱり、護衛の男が怪しい…。
「国王として謝罪する。リョウにつけた護衛の男がドラゴンの密漁に関わっているのだろう。即刻その男を捕縛し、牢に入れるように!」
それから、龍の谷であったことを逐一国王に報告した。
「それで、今後ちょくちょく龍の谷の方へ行かなくてはならなくなりました」
「別に王家がリョウの身柄をどうこうしているわけじゃないから自由に動くといい。ドラゴンのためだ」
その後、俺は度々龍の谷を訪れることとなった。
「おう、そこのちび達元気みたいだな?」
「リョウの方が小さいじゃん?」
正論だ。卵の段階で俺よりはるかに大きかったからな。
「今日からというか、わかってるだろうケドヒトに迷惑をかけるような行動をしてはいけない。もし、迷惑がかかってしまった場合、ヒトがここに押し寄せる可能性も考えられる。目的はドラゴンの討伐。そうするとドラゴンが絶滅してしまうかもしれないだろ?」
「「「「了解!」」」」
聞き分けがいい。
「次に、年長者は敬わなければならない。俺は知っての通り、お前らの誰かのブレスで跡形もなくこの世から消える程弱い!しかし、年上だ。ココ重要!よって敬わなければならない。ほら、俺よりもクーラスの方がずっと年上だから俺は年上だから敬っている。ウォーレスもトルネも同様に敬っている。俺が敬っているんだから、ちび達はクーラスもウォーレスもトルネも敬わなければならない」
「「「「了解!」」」」
うん、順調♪
「これが一番難しいかな?各自ブレスの調節が出来るようになること!例えばだなぁ、ここに焼き鳥の串がある」
俺はこれ用に王宮から何本か鳥串を持って来ている。
「ウォーレスが全力でブレスをしたらどうなる?」
「はい!」
「はい、そこの元気な奴」
「跡形もなく炭にすらならずに消えます!」
「正解。食べるところがなくなるんだよなぁ。多少焦げてるのはしょうがないにしても跡形もなくなるのは…。
「そういうわけで、各々自分のブレスに適しているという方法でブレスを調節できるようになること!自分で方法を考えるもよし、先輩であるウォーレスやトルネ、クーラスに聞くもよし。以上だ」
はぁ、疲れた。4匹いる…。火属性・水属性・風属性のドラゴンの他にいるのか?
「うぉっ」
俺はクーラスに咥えられて、空中にいた。
「あいつのブレスは毒ブレスみたいだ。調節…難しそうだ。っていうか、リョウ、お前はあのブレスの毒に触れたら溶けるぞ?」
恐ろしいな。でもうーん、練習法かぁ。
「おーい、練習法。生魚さぁ骨だけ残すように調節するとかにすれば?視覚的に分かりやすいし」
その魚は食べれないけど…。
「クーラスはどいつかの指導するのか?」
まだ俺は空中にぶら下がっていた。Tシャツの襟でクビしまって気持ち悪い。
「なんかプライドが高いみたいで、俺の指導はいらないそうだ」
そんなやつもいるのか、まぁ各々頑張ってくれればいい。
「俺らは一旦帰るからなぁ~」
正直、Tシャツがスポっと脱げて俺が自由落下しそうだ。
一刻も早くクーラスに乗せて欲しい!!