彼女からの提案
「気を付け 礼」
「ありがとうございました!!」
集合し、グラウンドに挨拶をした後、先生からの説教じみた長い話も終わり、練習着から制服に着替えて、急いで春香の待つ正門から反対側にある西門へと向かう。そこにはポニーテルの似合う春香の後ろ姿があった。
「ごめん、遅くなった」
遠くから声をかけると春香が振り返る。振り返るその瞬間はまるでスローモーションのようであった。長時間待っていた疲れを見せない笑顔に俺の顔も赤くなる。
「全然いいよ、待ってないし、じゃあ、帰ろう」
俺が来るまでいじっていたスマホを胸ポケットにしまい、春香は歩き出した。春香のペースに合わせて俺も歩き出す。春香は身長が155cmくらいで、俺は身長が20cmくらい高いため、必然的に見下ろす形になって話をする。
「春香は何か部活に入ってるんすか?」
「今は入ってないよ。面倒だし、ケガしたくないし、けどピアノは弾けるよ」
「そうなんですね、春香は運動神経よさそうだし、その上、ピアノも弾けるんですね」
「コンクールで金賞も取ったことあるんだよ」
「すごいですね、春香はなんでもできそうでいいですね、なんか憧れちゃいます」
色々と雑談しながら歩いていると、コンビニの前に差し掛かり、春香に入ろうと言われる。店内には部活動帰りの中学生とサラリーマンの姿が見える。春香は迷うことなく、お弁当コーナーに行く。
「今日はこれでいっか」
「このお弁当って春香の夕食なん?」
「そうだよ、あとサラダと」
春香はサラダとお弁当を持ってレジに並ぶ、俺もサイダーを持って春香と一緒にレジに並ぶ
「すいません、 チキン1つお願いします」
「春香は意外と食べるんだね」
「うん、そうだよ。でも、これで合計780キロカロリーだからそんなもんだよ」
「すごい、しっかりしているんですね」
「桐谷君もスポーツやってるんだから体に気を付けないと駄目だよ」
「そうやな。春香を見習わないと」
「合計850円になります」
「クレジットカードでお願いします」
定員さんとの応答にも慣れているようで、その時の笑顔にも暖かさがあった、
当たり前と言われればそれまでであるが、できる人は少しずつ減ってきている
ような気がして、春香は稀少な存在だとふと思った。
「へぇー、春香はクレジットカードをもってるんですね」
俺は高校生でもクレジットカードが持てるということに少し驚きつつも
俺も会計を済まして、春香と外に出る。春香は歩き出し、俺も後を追うように歩き出す。
「クレジットカード持ってるのって変なのかな?」
「変じゃないですけど、珍しいなと思って」
「そうなんだ、私の家は後300mくらいのところにあるから」
「知ってますよ。杉谷の家が隣ですよね」
「杉谷君? あーあいつね、そうだよ、杉谷君の家の隣だよ」
「中学校の頃よく行ってたから、場所はわかります」
「そうなんだ」
300mくらい歩いて杉谷の横の家の前につく。
「じゃあ、春香、また明日学校で会おうぜ!」
「家に入らないの?」
「えっ 」
昨日の今日で彼女の家に入る?そんなことでいいのか?ただ春香は俺の彼女だし、自問自答を始めようとした時
「入らないの?」
「はっ入ります! 入らせていただきます」
俺は春香からの好意であるという風に感じたため、その場のノリとも言えない勢いで春香の家に入ることを決意する。早くしないと杉谷にも見られてしまいそうで、ここからなんとしても早く動きたかった。
「じゃあ、ちょっと、これ持って、カバンから鍵出すから」
そういって、春香の晩御飯の入った袋を渡される。春香さんの家の中がどうなっているのか、考えると、興味がわいてくる。春香が家の鍵を開ける。
「開いたよ。上がって!」
展開が早いですよね
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次話は早々に出したいと思います
HAVE A GOOD DAY!