春香との約束
告白された次の日
春香さんとの約束どうりあの自販機の前に来た。10分休み開始早々ということもあり、春香さんはまだ来ていないようだった。
「桐谷君、ごめんね、ちょっと遅れた。みんなをまくのに時間かかっちゃって」
「別に、大丈夫ですよ」
ちょっと息が上がっていて俺のために急いで来てくれたと感じであったので、
こっちが頭を下げたくなる。
「それでね、誰かに私と付き合ってるって言った?」
「どうしてですか、」
「もしかして、言っちゃった?」
「言ってないですけど」
「よかった、このことは2人だけの秘密ってことにしといて、昨日、言うのを忘れてて」
「いいですけど」
このことをあの杉谷に言えないのは少し残念な気がするが、春香さんと付き合えてる事を考えるとそんなことはどうでもよくなってくる。
「春香さんは僕のどこがいいんですか?」
昨日からずっと抱いていた俺の疑問をド・ストレートに聞いてみる。春香さんは少し考える表情を見せ間をとった後
「人間味があるとこかな、あと春香さんじゃなくて春香だからね!」
「気を付けます、春香」
「なんか変だよww」
「ごめん」
俺の言ったごめんより数倍の声で春香さんが笑う、その笑顔で俺もついつい笑ってしまう。人を笑顔にさせる力を持つ春香に憧れに近いものを持ってしまう。
「じゃあ、こっちからも質問、なんで、OKしてくれたの?」
こんな事を聞かれるとは考えもせず訳を考えてはいなかったため、焦る。その焦りを感じたのか、春香が俺の顔を覗き込んでくる。それを見て余計に焦る。この良いような悪いような連鎖に心がついて来ない。
「そっそれは、明るい所です」
結局、ひねり出してそんな事しか言えなかった。ほんとはもっといっぱいあるのにそれしか言えなかった。
「へぇー、そうなんだ、嬉しいよ」
そう言って春香さんの口元が緩んだのがわかった。
目の前を後輩が通り春香も俺も余計によそよそしくなる。
「先輩、隣の人は誰ですか?もしかして、学校一の春香先輩ですか?」
野球部の後輩のハルキがこっちのことに気づき声をかけてくる。
「おい、ハルキ、わかってんのに聞くんじゃない、とっとと体育の授業に行け」
「はーい、わかりました」
そう言って、駆け足で体育館の方へ向かっていく。なんとか誤魔化した。しかし、部活動中に何か言われそうだと思っておかなくてはいけないと感じた。
「ごめんな、あいつの態度がでかくて」
「いいよ、桐谷君のせいじゃないし」
「それでね、今日、一緒に帰ろう」
「いいですけど、俺は部活ありますよ」
「桐谷君のこと、待ってるよ」
この昨日の今日という状況に少しずつ胸の高鳴りが聞こえるんじゃないかというほどに大きくなっていく。
「わかりました」
「じゃあ、部活が終わったら西門に来てね、待ってるから」
「了解っす」
その後、少しやり取りをした後、2人は時間差で教室棟の方へ戻った。