揺さぶりへの回答
知られたくない杉谷から俺への急な質問。
答え次第では杉谷の持っている情報により桐谷は自滅し、
春香に迷惑をかけるかもしれない...
さぁ、桐谷の判断、そして答えはどうなるのか?
杉谷の遠慮がちな質問に俺は考える時間が欲しかった。
なぜ、杉谷が俺にこんな質問をしてくるのか、
杉谷の真意が知りたかった。
この質問の回答で何かが変わるような気が俺の中にはあった。
春香には関係を隠すように言われ、俺も今は関係をオープンにはしたくなかった。
しかし、長い間を取ると、杉谷に怪しまれてしまう。
俺は時間の圧迫もあり、俺は俺の中での答えを出し、杉谷に答えた。
「その時間なら通ったよ、神社で考え事をしてたら、そんな時間になったみたいでさ」
杉谷は一瞬、驚きの表情を見せ、いつも通りの顔に戻った。
「それがどうかしたのか? 拳士」
この一言で杉谷が余計なことを言わないように封じる。
予想通り杉谷は少しの間を開け、口を開いた。
「いや、なんか走る音がしてたから、まさかと思って聞いたんだよ」
「それにしても誠也でも、そんなにも悩んでいることがあるのか?」
杉谷は俺の横顔を観察しながら、俺に聞いた。
「打撃不振で悩んでるんだ」
打撃不振は事実で、最近、俺は思うようなスイングができず、打率を落としていた。
それ故、杉谷は腑に落ちたという表情を見せた。
「ここ最近、どうしても打てないんだ」
俺は実際の悩みを初めてチームメイトに打ち明け、悩みの深さを伝える。
そして、杉谷はいつもより落ち着きながら、グラウンドにいる時のような眼差しをしていた。
「確かに、打率を見ても2割にまで落ち込んでいることは聞いてるよ」
杉谷はマネージャーと話しつつ、情報を得ていたらしい。
「ただ、スタメンから落ちてはいない、直近の結果にとらわれ過ぎることはないだろ?」
「俺は誠也が爆発することを陰ながら待っているから誠也のペースで抜け出せよ」
まさか、こいついいやつなのかと思わせるほどのことを
口にした杉谷に対する俺の見方が変わり、実際に悩んでいた
打撃不振のこともスッキリとまではいかないが、前進した。
「わかったよ」
残るは春香について気づかれているかという問題だけであるが、
こちらも今までの会話から推測すると気づいていないようだった。
この話になったきっかけも深夜に杉谷の家の前を俺が通った、通らないで
始まったことであり、春香と俺との関係はは気づいてないと考えた。
お互い秘密と言って付き合って早々バレるはずもないとも思った。
話もひと段落ついたと感じたため、話題転換をして、隣のクラスの陰キャが告白しただの、
国家資格の試験を受けたやつがいるなどの世間話をしつつ、部室に向かった。
俺はポジションとして秘密裏にリア充なため、春香とのことを
考えているせいか告白したとかいうことに以前と比べると
熱をもって話を膨らませようとはしなかった。
読んでいただいてありがとうございます。
いい作品だと思った人、変な作品だと思った人、微妙な作品だと思った人
コメントなどによるフィードバックをお願いします。
参考にしてがんばります!
HAVE A GOOD DAY!!