杉谷からの揺さぶり
俺は5時間程度の睡眠をとって、起きた。
眠気があるものの高校へ向かった。
すると、面倒にも杉谷が背後から急に現れた。
杉谷は昨日のことを知っているのか?
起きると午前6時10分
結局、昨夜、家に着いたのは日付をまたいだ後だった。
母には心配されたが、父が高校生はこんなものだと母をなだめてくれた。
そんなこともあり、寝るのが遅くなったが、部活の朝練があるためこの時間には
絶対に起きなければならない。
俺はいつも思うが、今、制服に着替えている。しかし、学校に行くと練習着に着替えて
グラウンドで汗を流す。制服に着替える必要はあるのだろうか?
そんなことを思いながら、リビングに向かい机の上に置かれた朝食を食べた。
味噌汁の入った器を置くと味噌汁の匂いで唐突に春香との昨日のことを思い出した。
なぜか、昨日、ゴミを集めて綺麗にしたはずの春香の家のリビングが
俺の頭の中では更新されないままであった。
こんなちょっとした違和感を持ちながら学校へ行く準備をする。
机の上の弁当とおにぎりを持ち、学校へ行こうとした時、母が俺にゼリーを忘れていると
声をかけた。机の上に置いてあったのに俺は忘れていた。
あくびをしながら空を見て春香のことを想像しながら学校へ向かった。
これは彼氏の特権だろうとうっすらと思っていたため、にやけてしまった。
グラウンドに着くと練習着姿の一人がダッシュでこちらへやってきた。
練習着姿の一年生は脱帽し、一礼した。
「桐谷先輩、おはようございます。鍵をお願いします。」
俺が部室関係の鍵を持っていることもあり、威勢の良い一年生が
挨拶をしてくるとともに鍵をもらいに来た。
俺はこのこともあり、早めに来なければならない。
俺はリュックから鍵を取り出し、一年は浅く頭を下げた。
一年が部室に行こうと走り始めた時、
俺は頭に浮かんだ言葉を抑揚もなく、そのまま口にした。
「杉谷は来てるか?」
理由は言うまでもなく、昨日のことが気になっているからである。
「来てません、が、どうかしましたか?」
「何もないから気にしないでいいよ」
特別な意味を持たないようなありふれた返答の言葉にも動揺してしまいつつも、
俺は一年をあしらった。
俺は世の中が狭いため、春香との昨日のことを何かのはずみで杉谷が、
見聞きしてないのかが非常に心配だから動揺していたのか。
「誠也君~♪」
下の名前で呼んだため春香ではない。
男らしからぬ声で俺を呼んだのは今、問題の杉谷である。
俺はさっきまで、考えていたやつが急に現れたため、心に重い物がのしかかった。
「どうしたの~?こんなところにリュックを置いて~」
嗚咽感があったが、俺は特に言わないことにした。
「さっきさぁ~、私の名前を読んでなかったかしら?」
「拳士、いい加減にその変な声としゃべり方、止めれば?」
俺は少し面倒なやつだと思って、杉谷に止めるように言った。
「冷た~い誠也君、昨日は私の家の前まで来たく・せ・に」
俺は杉谷が止めなかったので、リュックを持ち、無視して歩き出した。
「ひどいぞ、誠也、勝手に行くなよ」
杉谷はやっといつも通りの話し方になった。
「拳士が止めないからだ」
「そんな怒りなさんなって」
最初のいつもとは違う杉谷の雰囲気に俺は、やはり杉谷に気づかれたと思ったが、
この感じであればいつも通りであると思ってよさそうであると
判断し、俺は少し落ち着きを取り戻した。
「ちょっと、機嫌が悪いから一人にさせてくれないか?」
落ち着きを取り戻したと言っても、墓穴を掘る可能性が十分あるため
今日のところは杉谷と距離を置きたかった。そのため、もし杉谷が来ていなければ
杉谷のしなさそうな練習をする予定だった。
「朝から何言ってんだよ!、なんかあったのか?」
杉谷は変わらぬテンションで俺の肩に手を回し、俺に聞いた。
「なんでもないけどさ」
「そういえば、昨日もモヤモヤしてるみたいなこと言ってたな」
「スッキリしようとして走ったけど、まだしこりみたいなのがあってな」
俺はそれらしいことを言って、この話を流そうと思った。
「相談なら俺が乗ってやるよ、時間ならいっぱいあるしな」
杉谷は柄にもないようなことを言って、話を終わらせようとはしてくれなかった。
そこで俺は半ば強引に終わらせようと考えた。
「遠慮しとくわ、話す気にはなれないし」
いつもより低めのテンションで言うことによって、杉谷が追及できないようになると考えた。
案の定、杉谷は20秒ほど黙り込んだ。
「じゃあ、俺から1つ聞いていいか?」
杉谷は沈黙を破ってそんなことを言った。
「き、昨日...の23時くらいにも俺の家の前あたりを通らなったか?」
杉谷にしては珍しくためらいながら俺に聞いてきた。
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