長かった1日
春香さんと俺は何とか春香さんの家の一部をキレイにできた。
が、時間も23時を回ったため、桐谷は家に帰ることにした。
春香の家に戻って40分程度経過し,23時になった。
俺は泊まるとは言ったものの女の子の家に泊まることに気が引いていることに加えて、
明日の授業の用意や課題のプリントを持ってきていないので、
結局は一度帰ることになるため春香にそのことを伝えた。
「え~、泊まるって言ったのに~」
あどけない表情で春香は愚痴を漏らす。
「期待してたんですけど~!」
「なにを期待してたかわからんけどな」
俺も本当は...などと思いつつ、
斜め下を見て返した。
「桐谷君と一緒に一つ屋根の下で寝れると思ったのに~」
「今日は玄関とリビングがきれいな方になったんだからいいだろ」
実際ゴミの山で狭くなっていた玄関も残るはペットボトルなどが
入ったリサイクルのゴミ袋3つとなっていたし、リビングは床を掃除機で
掃除すれば上出来と言えるくらいにまでなっていた。
我ながら春香とよくやったと思うが、彼女(春香)との初の共同作業がこんなことかと
思うと、この先が心配であった。
「きれいな方ってなんかトゲのある言い方だね」
春香は俺の言い方に不満を漏らした。
つまり、春香はこれでリビングと玄関に関しては完璧と思っているらしい
「まだ、終わってないからだよ」
「まだ、これから掃除機で掃除しないとな」
春香は俺の言ったことを聞いて、顔にだるいの文字が見えるようになった。
「けど、続きは自分でやるか、今度だ」
「もう、俺は家に帰るからな」
「わかった、今日はありがとう」
春香は表情を変えず、感謝の言葉を言った。
俺はしょうがないと思いつつ、自分のカバンを拾う。
このカバンの重さは普段のことで慣れていたが、
今日は色々あったこともあり、一段と重いと感じた。
「じゃあ、また明日」
語尾にキレがなく、春香に俺の疲れを感じさせてしまったと思ってしまったが、
春香はそこに関してなにも言わなかった。
「今日は遅くまで本当にありがとう」
そんな俺とは対称的に春香は先ほどの表情が一転して、笑顔でそう言ってくれた。
やっぱり、春香は凄いと思いつつ、俺もつい強がりめいたことを言った。
「これくらい大丈夫、いつも素振りとかしてるとこんな時間になるから」
「そっか!」
「春香は夜更かしするなよ」
「わかってるよ、桐谷君の彼女だからね!」
俺の余計な一言の春香の返しが思いもよらず、俺の顔が赤くなってしまう。
これは自滅したと自分の中で結論付けた。
そんな会話の延長戦を楽しみながら、玄関に向かい、俺は靴を履き、ノブを握る。
すると、杉谷のこともあってか、やはり、俺は一瞬、ドアを開けることを考えてしまう。
このドアの前に杉谷がいたら...心霊現象だ。などと思っていた。
春香にどうしたのと聞かれるほどの時間、考えていたわけではないため
春香は不思議そうにはせず、笑顔のままであった。
俺はドアを開け、杉谷がいないことを充分に確認し、春香の方に向き直り、
最後に疲れを見せないような顔を見せた。
「じゃあ、また明日学校で!」
「じゃあね、暗いから気を付けてね」
「うん、わかってる」
出来立てのカップルの定番の会話で別れ、俺は春香の家が見えなくなると、
早く家に帰らなければならないと思い、家までの長い道のりを急いで帰った。
帰る途中、信号などで無駄に停まっている時は春香の顔がすぐに出てきた。
これが彼女の存在かと思いつつ、今日あったことを考えながら家に着いた。
まだまだつづきます。
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HAVE A GOOD DAY!!