春香の一歩目
部屋を片付けようとなり、片付けていたのだが1つ春香のクセとなりつつあったものがあった。
このままでは片付けても片付けても状況が好転しないため春香にとっての初めの一歩を踏み出す。
俺と春香は杉谷に妨害されて中途半端であった残りのご飯を食べた。
春香はご飯を残さず食べ、満足そうであるが、
俺の腹は相変わらず空いている。
しかし、そんなことを言ってはいられない目の前に広がる光景を
日付が変わる前によりよくしなくてはならない。
さもないと、俺は本当に泊まることになってしまう。
「はぁ~眠いね!」
あくび交じりに声を漏らした春香.
「眠くねぇよ!」
春香の一言に俺は間髪入れずに応答する.
春香は微笑し,俺は真面目な顔で返す.
「ついさっき,ペットボトル集めたはずなのに,どうして,また落ちてるんだ?」
ついさっきと言ってもご飯を食べ始める前の20分前に回収したのだが、床にペットボトルが
不自然に1つだけ転がっていたため疑問に思った。
「さぁて,どうしてでしょう~ね?」
そして、机を見ると先ほどまで春香が飲んでいた黄色のラベルのペットボトルがない。
床を見ると黄色のラベルのペットボトルが落ちていた。
「あれはさっきまで飲んでたやつだよな?」
「正解で~す!」
謎のピースサインを出し、春香は喜んでいた。
「片付ける気あるのか?」
俺はつい学校の先生が言っていそうなことを春香に投げかけた。
「寝るぞって言ってランニング行くやついないよな」
自分ながらに変な例えであると自覚してしまうが、春香はこたえてくれた。
「うん、いないよねぇ~普通」
春香は苦笑いで次に何を言われるのか分かっていながらそう言った.
「もう一度聞くけど、春香は片付ける気あるのか?」
「あるよ!」
春香はやっと自分がやったことの矛盾と自分がやっていることの意識の薄さに気が付いた。
「あれ、私さっきので言うと、私が普通じゃないってことだよね?」
春香は人差し指を回しながら右斜めうえを向いていった。
「片付けようとしているやつの行動ではないことは確かだな!」
頷くアクションを入れ俺はそう言った。
春香は苦笑いしつつ言った。
「私にだって出来るもん!! けど、いつものクセで...」
「そうか、じゃあ、まず飲み終わったペットボトルはキッチンに持っていくこと」
「ある程度、ペットボトルがたまるとゴミステーションに持っていくこと」
「それでいいか?」
春香は無言のまま頷いた。
「じゃあ、やってみます」
そう言って春香は床のペットボトルを拾ってキッチンに持っていき、
自分で決めた所定の場所において、Vサインを出した。
これが春香にとっての初めの一歩である。
ゴミを片付けてもまた、次来るときに散らかっているのであれば
松井たちのような友達は呼べないし、俺も来たくなくなってしまう
というのが本音であり、この状況から一刻も早く抜け出し、この
異様な当たり前をどうにかしたいのである。
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