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第56話「プライドとフライド」


 ドラゴン種の進化。


 元々強力なドラゴン種が進化するというのは、非常に(まれ)なことである。

 クラウスがLvが上がるにつれて必要となる魔石の数や倒すモンスターの質を向上させていかなければLvが上がらなくなるように、

 モンスターも同様、死闘や格上等を倒し食らうことによってLvを上昇させ、進化するという。


 当然強いモンスターほど、Lvの上昇が容易ではなく、ましてや進化に至るのは困難であることが理解に難くない。


 だが……前例がないわけでもない。

 とくに古い文献ではしっかりと記録がのこされており、そこには進化したドラゴン種による厄災の芽が人々の苦い記憶として描かれていた。


 ──それこそ、かつては『厄災』と呼ばれた、王都を襲ったドラゴンもその進化の果てに生まれた化け物であると言われていたくらいだ。


 そして、その『厄災』に至る『厄災の芽』ともいえるアークワイバーンは、十分に栄養を取り、徐々にLvを上げていった。


 つまり、ゲインたちの養殖によって栄養を蓄えたワイバーンは、その上位種として進化していた。

 それも、ゆっくりとした変形を経て、まだまだ成長の途上であった。


 みてのとおり、ワイバーンもドラゴン種。

 そしてドラゴン種は進化のたびに強力になり、そして、種を超越していく。


 この『特別な絆(スペシャルフォース)』の手によって養殖され、養育され、無理やり進化させられたダンジョンボスであるワイバーンも例外ではなかった。


『『『ギィィェェェエエエエエエエエエン!!』』』


 奴はもはやダンジョンのボスであったことなど忘れたかのように、大空の覇者として君臨する。

 そして、腹を満たすという原始的な欲求に従い、ミカ・キサラギらの手によって運ばれていた、高濃度の高圧縮された経験値を蓄えたエサを欲するようになっていた。


 傀儡化された魔物(パペットモンスター)の遺体。

 そして、魔石。


 いったんゲインたちの管理の軛を潜り抜けたアークワイバーンは食らった。

 食らって食らって食らいまくった。


 各地の狩場を襲い、

 そこにいる魔物と狩場のボスを食らい──巣を飛び出してからもひたすら食らい、食らい、食らい尽くして……。


 本能ままに行動して、ついに満腹になったところを追いつかれて攻撃された。




 その果てに、アークワイバーンは脱皮し────…………さらに強力な魔物となった。





『『『ギェェッェェエエエエエエン!』』』





「ひ、ひぃ……!」

「ば、ばかな────き、傷が消えただと?! ば、バカなぁぁあ」


 メリメリメリと、古い皮を脱ぎ捨てるようにしてアークワイバーンが皮膚の下からさらにどす黒く染まった体をのぞかせる。


 それは全くの無傷────……おまけに手足が増え、羽も……頭部までもが増えている。


「げ、ゲイン! なんだよあれは!!」

「ちょ、ちょっと……は、話が違うわよ?! た、倒せるって言ったじゃない!」


 口々にゲインに詰め寄る『特別な絆(スペシャルフォース)』の面々。

 さらには、


「み、ミカ、死んじゃったの?」

「シャーロットどの! むやみに前に出てはいけませんッ」


 ガクリと腰を抜かしたシャーロットと、彼女を背後に庇う女戦士『赤い腕』のレイン。

 そして、ミカは────。


 ミカは────……。


「う、ううううう、うるさい! うるさい、うるさい、うるさーーーーーい!」

 頭を掻きむしり怒鳴り声を上げるゲイン。

 仲間たちの追求を振りほどくと、キッと顔を上げる。

「まだだ…………! まだ終わらんよ!」


 勇気を奮い立たせるように声を張り上げたゲイン。

 グレンとチェイルを押しのけると、残るメンバーに言った。


「たかが脱皮だ! 一回や二回脱皮したからと言ってそれがどうした?!」

「いや、おまえ────!!」


 ゲインの言葉にグレンは指を指して言う。


「見ろよ! や、奴の姿を!! どうみても無傷じゃないか!? 俺たちの攻撃が全然効いてないじゃないか!!」

「そ、そうよ!! どうやって倒すのよ! あ、あれじゃ────まるで無敵、」


「───黙れぇぇええ!!」


 幹部連中の口調にいら立つゲイン。


「うるさいうるさいうるさい! 無敵の魔物などいるものか!! とにかく攻撃だ!! まずは攻撃だ!! 即攻撃だ!! いいから戦え!!」


 戦え! 

 戦え!!

 戦え!!!


「戦いこそが俺たちの存在意義だろうがぁぁぁああああ!!」


 ……無茶苦茶だ。

 無茶苦茶な暴論だ───。


「ゲイン、おまえ───」

「げ、ゲイン……」


 二人の胡乱な視線すらうっとうしいとばかりに手を振りかざすゲイン。


「それに見ろッ! お、俺のユニークスキルがあれば、あんな奴なんざ────食らえッ」


 ユニクースキル【時空操作】発動ッ!




  スキル────『時間停止(タイム)』!!




『『『ギィェェエ───


 ピタ……!



 まさに襲い掛からんとしていたアークワイバーンがピタリと動きを止める。

 ゲインの無敵のスキル【時空操作】の本領だ!!


「は、はは! み、見ろ! まだユニークスキルは通用する! 俺の【時空操作】なら奴を止められる────イけぇぇえ!」


 高笑いするゲインに、グレンとチェイルが顔を見合わせる。


「い、行けって、言ったって…………。お前のスキルじゃ、時間を止められるのは、せいぜい1~2秒じゃねーか!」

「そんなんじゃ、どうやってあれを──」


 黙れッ!


「うるさい! 四の五の言わずに……」





  ───ギェェッェェエエエエエエン!!』』』



「「「ひぃぃぃいいい!!」」」


「うわわ……もう動き出した! ゲイン! もう一度止めろぉぉおお!」


 何の意味もないゲインのユニークスキル。

 当のアークワイバーンが時間を止められたことにすら気づいていないだろう。


「む、無茶言うなッ! クールタイムがあることは知っているだろうが!────……えええい! 全員で攻撃しろぉぉぉおお」


 それまでは連携が取れていたというのに、ミカが脱落し、

 ゲインの指示が雑になったことで一気に形勢が逆転し始めた。


 さらには、アークワイバーンが進化したことで無傷で戦列に復帰し、

 もうすぐで終わると確信していた『特別な絆』の士気が崩壊し始める。


 一方的に押していたように見えて、『特別な絆』も疲労が蓄積し、

 消耗品を湯水のごとく使いつぶしていたのだ。



 高級ポーションに、

 疲労回復剤。


 強化剤(ブースター)に、

 魔力の丸薬。


 大金を費やして揃えた数々の物資……。



 そのストックが……今、尽きる────。



「おりゃああ!! 原子破壊(ブレイク)! 原子破壊(ブレイク)!!」


 ある程度速射の効くユニークスキル【原子変換(アトミックチェンジ)】を立て続けに放つグレンに、

「ひるむな!! 脱皮直後なら、動きは(にぶ)いはず────つっこめぇぇえ!」


 『暴風』の二つ名を持つ傭兵のアベルが、部下を連れて再びアークワイバーンの足回りを攻撃し始める。

「「「うぉぉおおおおおおおおッッ!!」」」

 ドラゴン種は強力な魔物だが、機動力さえ奪ってしまえば勝てない相手でもない────。



『ギェェッェエエエエエエエエエン!!』



「ぐわぁあ!」


 だが、

 増えた腕と増えた羽────そして、尻尾の一撃ッッッ!!

「「ぎゃあああああ!!」」


 ───パァン!!


 数名の傭兵が一瞬にして血煙の中に消え、地面のシミと化してしまった。

 予想外の位置からの攻撃に高Lvの傭兵達が薙ぎ払われ一気に戦線に穴が開く。


 さらには、


「あ、アベル殿ぉぉぉお!!」

「……く、来るな、レイン!────ゲイン様の護衛に徹しろ!」


 ぼた……。

 ボタ……。


 地面に転がる赤黒い何か──。


 それは、まるで───。


「ア、ベル、殿───う、腕が……」


 真っ青な顔のレイン。

 同僚でもっとも信頼している歴戦の戦士たるアベル──────その武力を支えていた腕が、地面に……。


「く……。しくじった──」


 アークワイバーンの鋭い一撃に、腕を奪われてしまったアベル。

 なんとか剣を杖に起き上がると、生き残った傭兵を集めて円周陣を組む。


「レイン、聞け! こ、これは負け戦だ! こうなっては、もはや手が付けられん────レイン! お前はゲイン様を…………」



 ズンッ…………!



「グ……、フ」


 歴戦の傭兵であり、

 ゲインのクラン──『特別な絆』の戦闘部門を支える、縁の下の力持ちであったアベル。


 ユニークスキルこそ持ちえないが、レアスキル【剛力招来】という、筋力及び攻撃力の急上昇というレアスキルをもち、……かつては戦場の英雄として知られていた猛者(もさ)だ。



 その彼が──────。



「ぐが、ゴフ…………」


 パタタ……。

 地面に散る鮮血。


「ぬかった、わ……カハッ」


 血の気を急速に失っていくアベル。

 その体が、アークワイバーンの尻尾に腹を貫かれて、切っ先にぶら下がっていた。


「ば、ばかな──アベルまでもが?」

 ようやく、敵の強大さに気付いたのか、ドサリと地面に腰をつくゲイン。


「く…………………。ここまで、か。げ、ゲインさ、ま」


 わなわなと震える彼に、アベルがよろよろと手を伸ばす。

「……お逃げ、く────」

「ひぃ……!」


 ガクリと首が垂れ下がるアベルを見て、ようやく事態の深刻さに気付いたゲインは顔面を真っ青に染めていた。


 そして、周囲を顧みて顔を引きつらせる。


 呻く高Lvの冒険者たち。

 すでに、(こと)切れているものも、地面にシミになっているものもいる。

 かろうじて戦線が維持できてるのは遮二無二攻撃を繰り返すも、あっさりとあしらわれているグレンにチェイルがいてこそ。


 レインとシャーロットは互いに死角を補いつつも、消極的な戦闘に終始している。


「ばかな……」


 最強のクラン、『特別な絆(スペシャルフォース)』だぞ?!

 国内有数のユニークスキル所持者と、高Lvの冒険者を集めたパーティだぞ?!


 それが───……。


「ば、ばかな……! バカな!! バカナァァァァァ!! ゆ、ユニークスキル持ちがこれだけ集まって、魔物一つ倒せないなんてぇぇぇえ!」


 ……どいつも、こいつも───!!


「ああああああああああああああ!」


 ありえないだろうがぁぁぁああAAA!


「ゲイン様! 退きましょう! これは……これは負け戦です!!」


 女戦士レインは、アベルの言葉を守り、ゲインを脱出させようとする。

 しかし、それが悪手だったことは言葉を発してから気づいた。


「ゲイ───」


 ハッ! と顔を上げればゲインの表情が黒く濁っている。

 内心しまったとは思ったがもう遅い。


 そして───。

 ゲインがゆっくり顔をもたげると、



 負、け……?



「負け戦?? 負け、だと?…………この俺が?!」



 ぎぎぎぎぎぎぎ



「げ、ゲイン様! 今、退がらなければ────全め」

 バチィィイイン!!

「だったら全滅するまで、戦えやぁぁぁあああああ!! 戦え戦え戦え! タタカエェェェ!! 戦いこそが傭兵の唯一の存在価値だろうがぁぁぁああ! お前ら傭兵にいくら金を出していると思っている!! 全滅ぅ?──知るか!! アベルだろうが、知るか!! 傭兵が何人死のうが、冒険者が何人死のうが!!」



 知るかぁぁぁああああああ!!



 思いっきりレインの頬を叩くゲインは、彼女が口に端から血を流してもビクともしない様子にいら立ち、


 ブチブチィ!!


 ガシリと、レインの胸倉をつかむゲイン。

「きゃ! な、なにを──」

 その拍子に彼女の鎧の留め具がはじけ飛ぶ。


 ……雑魚がッッ!!


「──ユニークスキル持ちさえ生きていれば、いくらでも再建できるんだよぉぉお!!」

「そ、そんな──……!」


「そんなもこんなもあるかぁぁああ! 負けだと? この俺が負けだと……?」


 ギロリと、負傷したクラウスを一瞥するゲイン。


 そのまま視線を泳がせ、

 再び、自らの戦力を顧みる。


 ミカ、

 アベル、

 死んだ傭兵たち────……。



 そして、アークワイバーン。


 ああああああ、

「あああああああああ」


 ああああああああああああああああ…………。



 あーーーーーーーーーーーーーーーー!!!



 雑魚が!!

  雑魚が!!

   雑魚がぁぁあああ!!


「クラウスが……。クラウスが見ているんだぞ!!────クラウスが!!」


 使えない!

  使えない!!

   使えないクズどもがぁぁああAA!!


「俺が……。俺が!! お、俺が負けるわけないだろうがぁっぁあああ!!」


 うがぁっぁああああああああああ!!!


 誰にともなく咆哮するゲイン。

 地面を殴り、レインを殴り、虚空に向かって叫ぶ!


 ……こんな時でも、ゲインはやっぱりゲインだった。

 椅子から体を起こし、滴る血を絞り出すようにしてクラウスは立ち上がった。


 ヨロヨロと────。


「ばかや、ろうが……」

「お、お兄ちゃん……?」


 死ぬ……。

 みんな、死ぬ────。


 ゲインのエゴとプライドと見栄のせいで死ぬ──……。

 アークワイバーンの牙と尾と角と炎でみんな死ぬッッ!!


 ここで、

 この場所で、


 誰一人欠けることなく、間違いなく、みんな────!!



 死────。




『『『ギェェェッェエエエエエエエエエン!!』』』




 アークワイバーンの肯定。


 奴は言う。

 咆哮をもって言う。



 死ね



 一切の容赦もなく死ね



 人が人であるというだけで死ね




『『『ギェェェッェエエエン(死ねぇぇぇぇぇええ)!!』』』




 叫びが哄笑となり、

 この場の誰もが死を覚悟したとき、

 それは、より現実的な形となって表れた。


「来る……!」

「おにい……」


 あぁ、クソッ!




 ブレスが─────くるッ!!




 さっきとは比較にならないそれ(・・)が!!




 ───キィィィィイイイン…………。




「なん、だよ、あれ……」

「お兄ちゃん……」


 メリムが絶望し、リズが静かにクラウスの手を握り締める。


 クラウスも呆然として、アークワイバーンが練り上げるエネルギーの奔流を見ているしかできなかった。

 口に湛えるだけで地面を溶かし、周囲の魔力を奪っていく死の奔流。


『『『ギェッェェエエエエエエエエエエ』』』


 人間の抵抗をあざ笑うかのようなブレスの一撃。

 そいつをまざまざと見せつけるようにして、アークワイバーンが三口を開けてブレスを放つ予兆を示す。


 それは、今までの比ではないほどの魔力とオーラの奔流。

 まるで光の粒子を集めた小型の太陽!!


 赤い炎と青い炎と白い炎は、

 それらがない交ぜとなり、黒く──どす黒く変色していく。


「あれでケリをつける気だ……!」


 これまでのブレスとは比較にならない規模のそれ──。

 三つ首になり、異なる魔力の奔流を練り上げ、相反する性質を一つの「破壊」というベクトルだけに絞ったドラゴンの炎(ブレス)


 すべてを滅ぼす。破壊の一撃!!

 抵抗できるものはもはや──────……。



「く……! させるかぁ! グレン、チェイル、シャーーーーロット!」



 ゲインは叫ぶ!

 まだだ。まだ戦える、と───。


「お、おう!」

「わかってる」

「いくよー!」


 それを見た『特別な絆』の面々は必死に妨害しようと攻撃を仕掛ける。

 しかし、アークワイバーンもそれを心得ているのか、腕と尻尾を振り回し、ゲイン達を寄せ付けない。


「くそ! 近づけねぇ!」

「何とかしなさいよ!」


 必死にユニークスキル【原子変換(アトミックチェンジ)】を使い攻撃していたグレンと、

 局地的に低温を起こすブリザードを操り、様々な攻撃を繰り出す【天気操作(オテンキネエサン)】を操るチェイルの攻撃も全く功を奏していない!


 その他のメンバーは、そもそも相手にすらなっていなかった。


「えーい! 『空間圧縮』ぅぅうう!!」


 ぎゅーーーーっ、と!!


 グシャ!! と、アークワイバーンの尻尾が巨人に握りつぶされたかのように潰れる。

 だがそれも一瞬のことで、すぐに内側から盛り上がってきた肉によって回復していく。


「むー!」


 比較的善戦しているのはシャーロットのユニークスキル【空間操作(スペーススポーク)】だが、高威力ゆえにクールタイムも長く、また──逆に使いどころが難しいらしい。


「何をやっている!! さっさとブレスを止めろぉぉぉお!!」


 それでも、ゲインは仲間を戦いに駆り立てる。

 もはや、経験値などの話ではない。

 彼のプライドの問題なのだ。


「タタカエ、戦え! たたかえーーーーー!! ユニークスキルの使い方は無限大ッ! 戦い方次第(しだい)だろーーーがっぁああ──」

『『『ギャォォォォオオオオオン!!』』』


 そして、ここで初めてアークワイバーンがゲインを睨みつけた。

  『『鬱陶しい』』とばかりに。


「ひぃッ!」


 それは、小癪で鬱陶しい人間どものリーダーと理解してのことだろうか?

 いずれにしても、


『『『ゴルルルルルルルルルルル……!』』』


 ブレスを口に(たた)えて、

 三本の首、

 6個の目玉でゲインを射抜く。



「あ…………。あ……あ……──」



 その殺気を真正面から見たゲインは、その場で言葉を失い。

 半狂乱で叫んでいたことも忘れる。


「「あ……う……!」」

「「ひぃ…………!」」


 彼を引き留めていたレインも、その場に集まっていた『特別な絆』の面々もその視線を受けてへたり込む。


 これが……。

 本物の恐怖────。



 最強種の放つ────殺気……ッ!!




『『『ギィィィィェェェェエエエエエエン!!』』』


 矮小なる人間が黙り込んだことを受けて、ニタリと笑った(そう見えた)アークワイバーンは、トドメとばかりにブレスに魔力とエネルギーを込める。


 それはより一層大きく、高威力の奔流となり────。



 キィィィィイイイイイイン…………!!


 ──バチバチバチ……バチッ……!



 ブレスが含む強大な魔力が周囲の僅かな魔素すら取り込んでいき、

 引き込まれるように、フワァ……と瓦礫や小石が浮かび上がる。



 あとはもう、────その放出を待つばかり……!



 そうなったら、街は──。

 人は──。


 ゲインと『特別な絆(スペシャルフォース)』は、


 そして、





 ……クラウスと、

 リズは──────。





「──お兄ちゃん…………」

「リズ」


 大丈夫……────絶対に守る。

 俺が守る。


 だから、









   「…………【自動戦闘(オートモード)】起動ッ」



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