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第3話「冒険者ギルド」

 次の日。

 朝に弱いリズを起こさない様に身支度を整えたクラウスはいつも通りギルドに向かう。


 昨日狩った魔物の素材を換金し、討伐証明を提出するためだ。

 普段なら、冒険の帰りにギルドによるのだが、昨日は【自動機能】のことで疲れていたのでそのまま直帰してしまったのだ。


 生ものである討伐証明が悪くなったら目も当てられない。


「おはようございます」

「あら? おはよう──昨日、顔を出さないから心配しましたよ」


 薄く上品に笑うギルド受付嬢のテリーヌがチクリとクラウスにくぎを刺す。

 報告が遅いと暗に言われた気分だ。


「す、すみません。ちょっと帰りが遅くなったので……」

 モゴモゴと口に中で謝罪し、クラウスは慌てて討伐証明を差し出す。


「ふふ、怒っているわけじゃないのよ? ちょっと心配だっただけ────あら! いつもより多いわね。それにこれは……」


 ゴブリンの耳よりも一回り大きい耳。


「あ、はい。『霧の森』のボスです。正常化したので、しばらくは使えません」

「あらあら。じゃあ、情報共有しておかないとね。討伐ご苦労様でした」


 フワリとほほ笑むテリーヌ。

 その上品かつ美しい笑みに思わず顔を赤くするクラウス。


「それでは、こちら──『魔物の退治』のクエスト完了ですね。同時に納品してくださった『薬草の採取』も完了です。討伐部位が多いので、少し色を付けておきますね」


 そういって、二つのクエストの成功報酬をお盆にのせて差し出してくれた。


 『魔物の討伐』で銀貨20枚+銅貨52枚。

 『薬草の採取』で銀貨2枚+銅貨30枚。


 魔物の討伐のほうが圧倒的に報酬がよいが、『薬草の採取』のクエスト自体は物のついでにこなしたので、これはこれで実入りがいい。


※ ちなみに、銅貨100枚で銀貨1枚

       銀貨100枚で金貨1枚

  銅貨1枚で大きな黒パンが買える。

  ほかにも、

  クズ銅貨、白金貨などの通貨があるが割愛する。


「わっ! こんなに?!」

「たくさん頑張りましたからね。はい、どーぞ」

 さらに、冒険者認識票を魔道具に通して実績を蓄積してくれた。


「ありがとうございます!」

 礼を言って、受付を離れると、その足で素材換金所により、ゴブリンの装備や、色付きの魔石を換金した。

 どれも思っていたよりも高く売れた上に素材の量も多かったので締めて金貨2枚と銀貨88枚にもなった。


「すげぇ! 最高記録かもしれない」


 いつもはクエストを数日かけて一つか二つ達成できればいい方だったので、この金額は驚愕ものだ。

 やはり、コモンスキルの『剣技』が上昇したのが大きいのかもしれない。


 ホクホク顔で、次に仕事を探すクラウス。

 そこでハタと固まってしまった。


 ギルドの仕事を募集しているクエストボードと、冒険者の全員に情報を共有するお知らせ板。


 お知らせ板のほうには、周辺の地図が掲げられており、近隣の狩場情報がのせられている。

 そこにはデカデカと、


※ 『霧の森』正常化中 ※


 とある。

「……そりゃそうだ」


 昨日自分がボスを倒して正常化したのだから使えないのは当然だ。

 ならばどうしようか……。


 お知らせ板の地図には冒険者の競合などを避けるため。ダンジョンやフィールドの地名の下に名前の札を入れることができるようになっている。


 それを見れば、近隣の人気の狩場はびっしりと先客の冒険者の名前で埋め尽くされていた。

 数日かけて潜る冒険者もいるので、無人の狩場というのはなかなかないものだ。

 そういう意味では、近くですいていた『霧の森』は不人気狩場であったことがよくわかる。


「どうしようかな……」


 3年も冒険者をやっているとはいえ、どんどん同期に先を越されたクラウスは下級冒険者に甘んじていたので、すでにパーティを組んでくれるような同年代の少年少女がいない。

 新人冒険者なら、レベルがあうのでクラウスがパーティを組むことが可能だが、新人と組むメリットはあまりなく、むしろ負担の方が大きいだろう。

 そんな事情もあってここのところ、クラウスはずっとソロで冒険をしていた。……決してボッチなのではない。念のため!


「しょうがない。『霧の森』がフィールド化するまで、別のダンジョンか、フィールドに行くか」

 なら、あまり競合のない場所と、そこにあったクエストを選ぼうと、人でごった返すクエストボードの前をウロウロとするクラウス。


 そのうちにいくつかのクエストを入手し、ボードから外していた。

 そして、選んだ狩場は────。




 圧倒的不人気狩場、『毒の沼地』だった。




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