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第10話「大量レベルアップ」

「うーうーむ……。どうしようか」

「どうしたの、お兄ちゃん? 今日はお仕事いいの?」


 繕い物をしているリズの前でうんうん唸るクラウス。


「いや、今日はお休み。っていうか、それどころじゃない」


 うん。それどころじゃない……。

 だって、8レベルアップだよ、君ぃ!!


 ※ ※ ※

レベル:27

名 前:クラウス・ノルドール


スキル:【自動機能(オートモード)】Lv3


 ※ ※ ※


「あ、そう? じゃー、私お買い物行ってくるからお留守番お願いねー」

「え? あ、はい……」


 リズはパパっと繕い物を終えると、買い物かごをもってルンルン気分で出かけて行った。


「…………こー言うときは、一緒にお買い物行こ? とか、なるんじゃないの? お兄ちゃん寂しいよ、MYシスター」

 ガチャ。

「行く?」


「あ、嘘です。……恥ずかしいので、ツッコミとかやめてください」

「ん。よろしい」


 わざわざツッコミのためだけに、引き返してきたリズさん、マジぱねっす。 


 再び買い物に出かけたリズの背中をそーっと見送り、雑踏に消えていったのを確認すると、クラウスはステータス画面と睨めっこを始める。


「……今回の大幅レベルアップで、また【自動機能(オートモード)】のランクアップが図れるようになってきたんだけど、」


 うーむ……。


 毎回【自動機能(オートモード)】だけを鍛え続けてきてもいいものだろうか?

 これまでは中々レベルが上がらず、苦労していたため先が見えなかった。


 そのため目先のことしか気にしていなかったが、スキルポイントの割り振りを本格的に考える必要が出てきたのだ。


「……【自動機能(オートモード)】をランクアップさせるには、Lv3からLv4で数値が跳ね上がるのか……知らなかったなー」


 これまでの例で行くと、Lv1は最初から持っているためスキルポイントは0。

 そして、Lv2にするのに必要ポイントは10、Lv3で20だった。

 次のLv4で30ポイントかと思いきや、なんと、40ポイントが必要とのことだ。


 つまり、予想される必要ポイントは、今後倍々に増えていくということ。


「今、47ポイントあるから、Lv4にすることは可能だ。だけど、次はどうする? Lv5で80も必要になるぞ……」


 それまでの間、他のスキルやステータスを上昇させなくてもいいのだろうか?


 コモンスキルは下級のものであれば自然に習得することも可能だけど、スキルポイントを使用して習得することもできる。

 初期状態の必要ポイントも少ないので、取れるだけとってしまうという手もあるけど……。


「うーむ。前回はたまたまロックリザードに勝てたけど、根本的に俺って弱いんだよなー……」


 『自動資源採取』は効率的な方法で、資源を採取できるが、危険を伴うことは前回と前々回で確認済み。


 下手をすれば死んでいただろう。

 運がよかっただけで、これからもその運に頼り続けていてもいいものだろうか?


「……今のままじゃ、次は死ぬかもしれない。それに、マンドラゴラのような希少植物がそう簡単に見つかる場所にあるわけないし、その場所には危険な魔物がいる確率が高い──」


 嘆きの渓谷で今までマンドラゴラが見つからなかったのは、場所の制約もさることながらロックリザードがいたためだろう。


 たまたま見つけた下級冒険者がいたとして、彼らがロックリザードを倒せるはずもない。

 そして、下級冒険者の狩場に中級や上級冒険者が行くはずもない。


 ……だから、今まで発見されなかったのだろう。


「……【自動機能(オートモード)】頼りで冒険者を続けるなら、やはり強くなる必要があるよなー。あるいは強い……信頼できる仲間がいるとか」


 信頼できる仲間。


 そうすれば、自動で行動中のクラウスを守ってくれるだろう。

 護衛役と資源採取で役割分担をすれば実に効率よく安全に採取できるに違いない。


「そんな奴……いねぇよ」

 チラリと昔の仲間(・・)の顔を思いだしたクラウス。


(いやいや、それはない。アイツらはない……)


 ならば、ギルドで探すという手もなくはないか?

 だが、下級で──下手に経験を(・・・・・・)積んでいる(・・・・・)クラウスと組んでくれる仲間を探すのは至難の業だ。

 なにより、信頼できる相手という点で難がありすぎる。


「──やっぱりしばらく、ソロしかないよなー……とほほ」


 べ、別にボッチじゃないんだからね!

 俺の方からお断りなだけなんだからね!


「よし! 悩んでいてもしょうがない──まずはポイントを使用して、【自動機能】をランクアップだ! そのあとで、状況に応じてスキルやステータスを考えよう」



 というわけで──────。







 ※ ※ ※

レベル:27

名 前:クラウス・ノルドール


スキル:【自動機能(オートモード)】Lv4

Lv1⇒自動帰還

Lv2⇒自動移動

Lv3⇒自動資源採取

Lv4⇒自動戦闘(NEW!)←ピコン!

Lv5⇒????


● クラウスの能力値


体 力: 230

筋 力: 135

防御力: 121

魔 力:  67

敏 捷: 145

抵抗力:  47


残ステータスポイント「+7」(DOWN!)


スロット1:剣技Lv3

スロット2:気配探知Lv3

スロット3:下級魔法Lv1

スロット4:自動帰還

スロット5:自動移動

スロット6:自動資源採取

スロット7:な し


● 称号「なし」


 ※ ※ ※


 な、なんだこれ?


 【自動機能(オートモード)】のランクアップ後に追加された新スキルだけど──。


 …………じ、

「──自動戦闘?」




※ ※



 じ、自動戦闘ってなんだよ?


「え。まさか自動で戦闘してくれるのか?!」


 それってどうなんだ?

 すげぇ危険な気配しかないぞ……!


「あ、こういう時は」



 へるぷ、ぽちー



 ※ ※ ※


スキル【自動機能】


能力:SPを使用することで、自動的に行動する。


Lv1自動帰還は、ダンジョン、フィールドから必ず自動的に帰還できる。

Lv2自動移動は、ダンジョン、フィールド、街などの一度行った場所まで必ず自動的に移動できる。

Lv3自動資源採取は、一度採取した資源を、必ず自動的に採取できる。

Lv4自動戦闘は、一度戦った相手と、必ず自動的に戦闘できる。


 ※ ※ ※



「──マジで?」


 え?

 戦闘できるって、言葉の定義怖いんですけど……。

 必ず勝てるとか、そういう風に言ってくれないの?


「……ダメだ。これはやばい気配しかないぞ」

 下手に自動戦闘なんて使おうものなら、無意識のままモンスター相手に自動的に戦闘をすることになる。

 そして、二度と意識が戻らないなんてことも……。


「当面はこいつは封印だな。検証しないと危なくて使えないぞ」


 ……とすると、やはりしばらく『自動採取』で稼ぐのが順当だな。

 よし、そうと決まれば早速行くか!


「ただいまー」


 あ、帰ってきた。


「いってきまーす」

「え? ええええ?! 今日はお休みじゃ?!」


 大根が買い物かごから顔を出した田舎の主婦スタイルのリズに、朗らかに手を振るクラウス。


「冒険者たるもの、思い立ったら即行動だよぉ。リズぅ」

「ちょ、ちょっと! 夕飯までには帰ってきてよ!!」


 はっはっは。


「ろんのもちだよ」


 ギルドに行ってからさほど時間がたっているわけでもないし、まだ乗合馬車に間に合うだろう。

 では、MYシスター。行ってくるぜ!




「…………もう! 今日はお休みだって言うから、腕によりをかけてご飯作ろうと思ったのに──お兄ちゃんの馬鹿ぁ」




 去り行くクラウスの背中に義理の妹が寂しそうに声をかけていたことなどクラウスは知る由もなく、颯爽とギルドに向かっていた。




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