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11.入れない運命4


 ルイーゼがどれだけ言っても、ソフィアはエルウィンに近づくのをやめなかった。


 ソフィアには分からなかったのだ。

 父メーベルト伯ディーター・メーベルトは、どこまでもソフィアに甘かったし、下町では誰とでも親密にしていなければ足下をすくわれる。


 次第にソフィアはルイーゼの忠言を聞き流すようになっていった。



 だから、ルイーゼはエルウィンにメーベルト邸へ来るのを控えてもらうようになった。強制的に二人の距離を離すことにしたのだ。

 幸い、エルウィンはまだソフィアに強く興味を抱いている様子はない……とルイーゼは見ていたから。

 ただ、人見知りの気があるエルウィンが拒否反応を示す間もなく近づいて、いつの間にかその懐にソフィアが入り込んでしまうのが……いやだった。

 ソフィアがエルウィンに近づく度、ルイーゼの胸にはどうしようもない嫉妬と焦燥が込み上げてくる。

 今まで、ソフィアのようにエルウィンに――自分の婚約者に触れる女性など、ルイーゼの周りにはいなかったせいか、それとも……。


 どれだけ言っても一向に従う気配を見せないソフィアに、ルイーゼはエルウィンにメーベルト邸を訪れるのを控えてもらうことにした。



 ◇◆◇


「お姉様、最近エルウィン様がいらっしゃらないのですが……何かあったのですか? あの、もしエルウィン様が何かお困りでしたら、わたし相談にのりたいのです!」


 この期に及んで、ルイーゼではなくエルウィンの相談にのりたい、と言い出すソフィアに、ただでさえなかった食欲が更になくなってしまう。

 朝食として用意されたハムとクレープを前に、ルイーゼはため息をつく。


「こちらへ来ていただくばかりなのも、悪いと思ったのよ。それ以上の意味などないわ」


 今日もシュティーフェル邸へ向かうのだ。食欲がないからと朝食を(おろそ)かにしていては、道中で体調不良になってしまう。無理にクレープを運ぶルイーゼの胃に、ソフィアは追撃をはじめる始末だ。


「なら、わたしも行きたいわ! ……お父様、よいでしょう?」


 ――そこで父親を巻き込むのね?! 私が婚約者に会いに行くのよ?! 貴女が来る必要性は全くないじゃない!!!


「ルイーゼ、ソフィアをシュティーフェル邸に連れて行きなさい」


 父メーベルト伯ディーター・メーベルトがソフィアの肩を持つことは、想像の範囲内。ルイーゼの誤算は、ここで母親の援護射撃が入ったことだ。


「……そうね。ルイーゼ、そうなさい」

「……お母様?!」


 母は何を考えているのかと、ルイーゼは嫌な予感がしていた。





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