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「さて、こんなものですかね。傷は癒しましたが体力までは戻せません。暫くは安静にさせるように」
テントの1つで連れてこられた怪我人の治癒を行っていたかが先ほど完了し、その後の処置を伝える。
私の治癒魔法は生きてさえいればどんな怪我でも、例え手足を失っても完治させることができる。
亡くなった者は、諦めるしかない。
「ありがとうございます!本当に、本当にありがとうございます!
あ、あと、その………」
先ほど指示を出していた青年は感謝を伝えたかと思えば急に顔を背ける。毛並みが逆立っている所をみると怯えているのか、緊張しているのだろう。
魔力は放出していない。となると心当たりと言えば背中の翼くらいなもの。
「失礼しました。これで良いでしょうか」
翼を消し、一見すると人と変わらない姿になると少しだけ緊張は和らいだようだがそれたは別に頬を赤く染めていた。
「いえ、ありがとうございます。その、貴女のような綺麗な女性を見るのは初めてなもので………」
「………性別はありませんよ。少し話をしたいのですが、代表の方をお願いしてもよいですか?」
「わ、分かりました。私の父が村長ですので、すぐに連れてきます」
彼は去り際に「つまりどっちでもイケるということで良いのか?んん?」と首を傾げていた。
―――数分後、ガタイの良い獣人が青年と共にテントに現れ、別のテントへと案内された。
「先ほどは村の危機を救って頂いた上に怪我人の治癒までしてくださり、本当にありがとうございます」
村長は頭を深く下げ、青年もそれに釣られて頭を下げた。
「私は村長のクーガー、この者は息子のレイリーです。見ての通り、獣人です。
貴女様のお名前を伺っても宜しいでしょうか」
その時ふと自分の名前が無いことに気づく。気にしたことはなかった、というより名乗る機会が無かったからだが、今後こういった機会は多いと考えれば必要になる。少し考え、こう名乗ることに決めた。
「私の名はリンネ。種族は………悪魔です」
悪魔、そう告げた時の二人の顔には驚きこそあれど恐怖や絶望は無かった。
むむ、これは予想外です。