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私はこの身から魔力が溢れ出ていることに気づき、それを止めてみた。
どうやらこのまま垂れ流すとこの森には悪影響が出るらしい。
その証拠に辺りの木々が黒く変色し、地面が抉れていた。
今は魔力を内側に留めているため感知されることもないだろう。
では次に周囲を―――
「うっ、うわぁぁぁ!」
そう離れていない何処かより悲鳴が聞こえ、考えるより先に私はその場へ向かっていた。
何もない所から刀身が紫色の剣を抜き、私は唱える。
「駆けろ、唯我の魔剣」
身体が刀身と同じ紫色の魔力に包まれ、私はその場より消える。次の瞬間には、悲鳴の主がいる場へとたどり着く。
「に、逃げろ!早く!うわぁぁぁ!」
着いた先には小さな集落。
そこには犬や猫のような耳と尻尾を生やした人々。
ここは獣人の住む集落らしいが、この場に相応しくない存在があった。
「ガァァァァ!」
体長はおよそ5メートルはあろうそれは鋭利な歯を鳴らし、雄叫びをあげる。
茶色の皮膜には獣人の返り血が付着し、生臭い臭いがする。
「黙りなさい」
あまりの不快感を拭うために剣を振るうとその魔物は真っ二つとなり、その場に倒れた。
少しは和らいだので辺りにを見渡し、その惨状を分析する。幾つもの死体と、負傷した者と、怯える者。
「え………あ、貴女は………?いや、デスレックスを、一撃で?」
状況が飲み込めないのか、目の前の出来事が信じられないのか。私を見る目は恐怖と安堵が入り交じっていた。
「負傷者を連れてきなさい。僅かでも息のある者もです。急ぎなさい!救える命を取りこぼしますよ!」
近くにいた獣人の青年は今すべきことに気づき即座に行動に移す。
何とも手際のよい動きで呆けている仲間に指示を出して負傷者を連れてくる。
「この方の言う通りだ!今は手当てが先だ!」
獣人達の目に光が灯る。
その光景に、私は満たされていくことを感じながら―――