表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死にたがり少女の幸せ理論  作者: 楠木黒猫きな粉
4/6

夢見心地の悪役は

わたしは世界を壊した。そして幸せをばらまいた。

言葉にするのは簡単でも実行するのは難しいことだ。だからこそ予想もしなかったしできなかったんだと思う。それなら都合が良かった。わからないまま終わってしまえば楽だから。

悪役になるのは案外簡単だった。やるべきことが決まってたから。彼が驚いたのもわかるけどわたしには悪役がぴったりだった。

でも一つの予想外から悪役は英雄になった。私は彼の中で悪役で英雄になった。

自分で壊した世界を救った馬鹿。そうバカにされたのを覚えている。なにやってるんだろうとは思ったけれど彼といられるならどうでもよくなった。一緒に居られるだけで私はどんなことでも許すようになっていった。そんな自分が誇らしかった。

そんな日々を続けていたら十年が経っていた。けど銀色は未だに私を貫かない。私を向かない。悪役を裁くのは正義の役目だとみんなは口を揃えて言う。けど、私を裁くのは正義でもなんでもないただの人。世界の終わりを知っているただ一人の一般人。はたから見ればそれだけの人だけど私から見れば一番輝いてる大切な物。

十年間で人は変わったと思う。外から帰ってきた人は夢を見ながら街に沈んでいった。

その人は答えにもたどり着いてしまった。でもまだネタバレは禁止だから。バラそうとした悪役は退場してもらった。答え合わせを終わらしてその人は退場していった。

監獄の空は今日も青色で清々しい。虚ろな彼は今日も私と一緒に世界の終わりを眺めてる。


—ここから先の映像は大変乱れております。ご注意ください—


『フフ…あはは…アナタはダメよ…もうダメなの?わかるでしょ?』


ああ、分かっている。だからこれは正しい事なんだろ?


『えぇ…当たり前のことだけどね。だから守れない悪役には裁きがあるの』


こんなljglajjjjtlみたいな世界でお前はljyjを願うんだ?


『うーん……最後に教えてあげたいけど…ま、いっか。教えてあげる』


『私はね、一緒にいたいの。大切な人とずっとずぅぅぅっと一緒にね』


そういうことか。やっぱりこの世界は夢だ。悪夢だ。地獄だ。天国だ。どの言葉でも今の世界を言い表せない。だから俺は監獄がぴったりだと思った。


『答え合わせはここでおしまい。じゃあさよなら。馬鹿で役立たずな悪役さん』


銀色の銃に指がかけられる。そして少女は真っ白で純粋な笑顔を浮かべ無造作に引き金を引いた。


——飛び散る血と太陽のような笑顔はノイズのように蝕んでいった。誰でもないたった一人の少年のために——

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ