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「痛いの痛いの飛んでけ〜!」

「・・・とんでかない」

 慶君が完全に泣きやんだ後登場したお父さんによって今私は手当をされている。過保護なお父さんのことだからきっとサイコメトリーかなんかで中の様子を伺っていただろう、それなのに私に助け舟を出さなかったのはきっと何か意味があった筈だ。そうだよねお父さん!そうじゃないと1週間は口きかないからな。

 慶君は椅子に座りながら湿布薬や包帯を巻かれていく私の服の裾をちょこんと掴みひたすら俯いている。

  何この子、天使か?何だこの愛くるしさ。お父さんが私のこと溺愛するの軽くひいてたけどごめん、今なら気持ちわかるわ。

 

「・・・・・ぼくのちからこわい?」


 呟かれたその声はやけに部屋に響いた。

 お父さんは手当を止めて黙った。明らか私の返答を待っている。

 おい、お父さんなんか言えや。

 私は椅子から立ち上がると慶君の前に移動した。そしてびくびくとする慶君の片手を両手でしっかりと掴んだ。

「ぜんぜんこわくないよ」

 あれだな普段からお父さんが超能力活用してるから身近過ぎるし。満遍の笑みで答える私に戸惑いの色を見せながらも慶君は少し俯く。私は目の前にある顔に両手を添え前を向かせた。

「だって、けいくんのちからは、きっとだれかをまもれるから」

 超能力者とかで私が人を好き嫌いすると思ったか!もしそうならとっくにお父さんに対して反抗期迎えてるよ。あれ、今も反抗的な態度とってる気がする・・・気のせいか!

 私の手の上に自分の手を乗せながらポツリポツリと慶君は喋りだした。

「ひなは、ぼくをすてない?」

「すてるわけないじゃん。けいくんはもう、わたしのたいせつだもん、おとーさんといっしょ」

 もうこの子は私にとっては子供みたいなもんだ。ちゃんと育つまで離れるもんか。立派に育て上げてやる!・・・お父さん満面の笑みは今場違いですよ。

「えへへ・・・」

 私の言葉を聞くと慶君はここに来て初めて笑ってくれた。

 ゲームで見た狂気に満ちた笑いなんかじゃなくて、とっても暖かい笑顔だ。

 その顔はどんな子供よりも可愛いかった。絶対この子が1番可愛い!!お父さんは私達のことを優しい目で見守っている。

 とりあえず今1番に考えることはどうやってあの虐待一家から慶君を取り上げるかだな。お父さんは一見ただの若造に見えても実際は物凄い人脈を持っている。お父さんも慶君のことを気に入っている様だしすぐに動くだろう。

「どうしたの?」

  慶君は私が無言で考え事をしていると眉をハの字にして心配をしてくれた。

「けいくんといっしょにいたいなー」

「その言葉を待っていた!」

 私が慶君に抱きつきながら呟いた声をお父さんはしっかりと聞いていた様でポッケの中から四つ折りにされた紙をだした。

「なにそれ?」

「慶がこの家で住める様に慶の両親と交渉をした。よって今からお前は俺達の家族だ!」

 ポカンとする幼児二人を置いといてノリノリのお父さん。何そのテンション。まあ、それは置いといて。

 ってことは、ここから慶君にたくさん愛情を込められる。慶君の未来を変えられる可能性が大きくなった!!

「ひな」

 隣から手を握られた。

「なーに?」

「ずっといっしょにいてね」

「あたりまえだよ」



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