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3、優しくしないでください


 あの衝撃的な事情から少し経ち改めて考えてみると私はあることに気づいた。


 あれ?ゲームに【陽菜】なんてキャラ出てなくね?私関わらないですむよね!?


 ということで親戚だから仕方ないが悠介さん以外のキャラとはノータッチでいこう。私は自分の生存率を上げることを考えていこう。窓の外を見ながら思った。空が青いぜ。


 このゲームの世界観は現代の日本と殆ど変わらない。街並みや名前、文字は私がまさに一七間で慣れ親しんできたそれである。だがこの世界と私が前世で生きた世界には大きな違いが二つある。


 一つ目が教育だ。頭の良い子は本人が希望するなら飛び級制度が適用されさっさと大学を卒業して職につく子すらいる。飛び級した子たちってクラスに友達できるのかな?

 二つ目は【超能力】があることだ。超能力には二種類あり、【選定生型】と【後教生型】となっている。


 選定生型は生まれつきの超能力で、突然超能力を持った子供が生まれるというかなりレアなケースもあるが殆どが遺伝となっていて大体1~5歳の間に目覚める場合が多い。


 後教生型は後々勉強や練習によって手に入れる超能力だ。超能力の全てを科学的に分解し、この世界特有の体に流れる力である【能力素】を操り超能力を手にするというものでこれはかなり頭の良い人でなくては絶対できないらしい。まぁ、飛び級制度を利用するぐらいの奴らじゃないとまず無理だ。


 そしてこの両方の超能力に共通しているのは能力素を使うということらしい。ゲームでは能力素のことはあまり詳しい説明はなかったから興味深い。


ゲームで詳しい説明が無かったのに何故こんなに詳しいかって?


「それで陽菜のママは選定生型のテレパシーで、陽菜のパパと俺が選定生型の念力と後教生型の能力をいくつか持ってんだぞ」


 私を膝にのせてデレデレの笑顔で悠介さんが話してくるからです!


 初めての対面から何が気に入ったのかはわからないが二日に一度ペースで会いに来るんですよこの人。というか赤ちゃんに今の話しして理解できると思ってるのか!?


 ちなみに父の仕事は警察の超能力課という職種らしい。この言葉もどこかで聞いたことあるきがする。というかなんか凄いかっこいいしごとですね。絶対この世界で子供の将来なりたい仕事の上位に入ってるだろ。


 私の知っている【大武悠介】はかなりツンツンタイプで恐そうなイメージがあったのだが、その面影がないくらいニッコニコです。キャラ崩壊しすぎだろ。


 攻略キャラは隠しキャラを合わせて全部で五人いる。

 1人目が現在の私の叔父である【大武悠介】このキャラは隠しキャラで、主人公が通う高校の教師だ。高校ではいつも白衣を着ていて口と女癖が悪くてヘビースモーカー、茶髪でチャラい若者のいい例のようだった。かなりの童顔設定でゲームでは詳しい年齢は明かされなかったが見た目は二十二歳ぐらいだった。

 前までは超能力と賢い頭脳を利用して医者で学者という超インテリだったが何かがきっかけで高校で働き始めるまではかなり荒んだ生活をしていた。

 そのきっかけが何故か思い出せない。というかなんかゲームで思い出せないところとかある。


 確か【悠介】のhappyendは【悠介】が誰も居ない森の中に研究所を建ててそこで主人公と一緒に研究をしながら暮らすというものだ。このend一見穏やかに見えるが森の中から主人公は1人で出ることはできないし研究所に誰かが来ることもない。森の中に軟禁されてますよね!これ!?Badendは自分からはなれてしまう主人公に恐れて、首に鎖を付けて研究所に監禁というやつだ。これはあれですね!軟禁or監禁!


 ゲームやってる最中は

「きゃあきゃあ!」


 言ってたけど、リアルだと

「ぎいやあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」


 だからね!恐すぎる!


「ふぇ・・・」


 やばい恐い。なんだかなんだか想像したら泣きたくなってきた。私は物語に関わりたくないばかりにいたいけな少女(主人公)を叔父に捧げるのか。既に罪悪感が。


「どうした陽菜?パパとママはもうすぐ帰ってくるからな~。何か怖いもんでも見えちゃったかー?」


 くすくすと笑いながら冗談のように言ってくる悠介さんは私の背中をポンポンと優しく叩き始めた。


 違います久々にデートを楽しんでいる父と母が居なくて寂しいんじゃないんです。幽霊的なものじゃなくて貴方が恐いんです。


 穏やかな笑顔を浮かべる悠介さんの白衣からは薬品の匂いがした。この人は何があってあんな性格になったんだろう?


 私は前世の小さな頃の思い出など結構細かなことも覚えている。だけどどうしてもゲームの設定を所々思い出すことができない。


「ふぎゃあああぁぁぁああ!」


「陽菜が泣くなんて珍しいなー」


 私をあやす悠介さんは凄く幸せそうで、どんどん涙が溢れてくる。

 お願いだからこれ以上私に優しくしないでください。



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