昼食
次回から事件に入ります。
「さあ、時は満ちた!」
ランチルームに入るなりおれは高らかに叫んだ。
騒がしかった室内が一瞬しーんとしたが、周りの目など気にせず進む。
「落ち着け。弁当は逃げたりしない」
大哉が注意してくる。
「小鳥のさえずりに聞き惚れていただけだ」
「ごまかしてるが、要するに説教でおくれたんだろ」
ばれたか。
「手、洗ったか?」
おとなしく廊下に出て手を洗いに行く。
あれ?
昨日取り換えたばかりの石鹸が見事になくなっている。
まったく。石鹸を盗むやつがいたとは。
仕方なくポケットからミ○―ズを取り出して手につける。
なぜ持っているかって?
紳士のたしなみというものに決まっているじゃないか。
ぼくは手を洗ってランチルームへ戻った。
やっと食べられるな。
「おっ、戻ってきたか。ほら、さっさと食え」
そう言って弁当が差し出される。
弁当?
「ぼく、ランチ頼んでたと思うんだけど」
「頼むの忘れてたぞ。お前の生活は把握してる。」
一歩間違えたらストーカーな大哉君。一歩間違えてなくてもストーカなのは気のせいだろうか。
「となるとこの弁当は?」
「忘れてるだろうから作っておいた」
あ、あ、あ…
「ありがとうございます!大哉様!」
あなたは神ですか。神なのですか。
彼の背後に後光が差している。
見える、見えるぞ!
「ほら。時間がないぞ」
お、おう。
あと周りで目をギラギラさせてるやつら。期待しているようなことは何もないぞ。
「さあ、食べるか」
パカッ
「おい」
「なに?優斗」
「謀ったな!」
中身は、白ご飯・卵焼き・クサヤ。ここまではいい。
ラストが問題だ。
・・・ピーマンの肉詰め。
「さて、何のことかな?」
しらばっくれても無駄だぞ。
しかたない。
おれの本当の力を見せてやる。
「なんだあれ?口に近づけた食べ物が消えてるぞ!」
「瞬間移動だ!」
最後に残ったピーマン。(肉は食べた)
「だめだ!ピーマンだけはどうしても食べられないんだ!」
「まさか某漫画にでてきたキャプ○いをマスターするとは・・・」
よくわかったな。
ちなみに元ネタでは煮卵がダメだった。
ジトッとした目で大哉がみる。
「人がせっかく作った弁当を残すのか?」
そ、そんなこと言ったって、無理なものは無理なの!
「そこで君への新提案!」
ポケットをごそごそと探る。
「タッタラッタッタ― マヨネーズ!」
コンビニ弁当についているようなマヨネーズを3袋出してきた。
大哉の手が白く丸くなった。いや、なってないな。見間違いだ。
こ、これならいけるかもしれない。
すぐに中身をピーマンへぶちまける。
では。
パクッ ごりごり ボリボリ
口の中にマヨネーズの味とピーマンの苦みが広が…あれ?広がらない。むしろ少し甘さが感じられる。
「おっ一口か。いい食べっぷりだな。」
「なぜかピーマンの味と、食感がおかしいんだけど、何か工夫した?」
「分かっちゃったか~。実はピーマンをあめで作ったんだ!」
・・・
「おえええええ!」
たまらず吐きだす。
今日の大哉おかしいとは思ったんだよ。異様におれにやさしいし。あめだってことにきづかなかったおれもおれだけど、ひどくないでしょうか?
「そしてクオリティ高すぎだろ!」
「テヘッ☆頑張ったかいがあったよ☆」
大哉に対してぼくはイラッ☆とした。
そして、飴細工とかいつのまに技術を身につけたんだ…
「じゃあ弁当箱洗って返してね~」
大哉は一足先にランチルームを出ていってしまった。
ハア、仕方ない。
テーブルの上を速やかに片付けると、おれも教室へ向かった。
…なんだか教室が騒がしい気がする。
そして、本日のターニングポイントを迎えた。




