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僕は犯人じゃない  作者: 霜雪 雨多
3/8

3時間目 体育

ついに来てしまったか。この時間が。

準備はできている。

決行のとき。計画はいたって簡単だ。

まず、1番に男子更衣室で着替え、真っ先に体育館へ行く。

まだ誰も来てないな。

ほっと胸をなでおろす。

間に合ったか。急がなければ。

自分を奮い立たせ、まっすぐ体育倉庫に向かう。

少し埃っぽいがしかたない。

そして手頃な跳び箱の中に入る。

ふう。完璧だ。

さて、もう分かったでしょう?

狭いところが好きとかじゃないよ?

そう、その通りです。体育サボろうとしてます。

これを見てるそこのあなた!これはいけないことです。

良い子も悪い子もまねしないでください!

あっ、でもおれサボろうとしてるし、やっばり悪い子はオッケーで。

さて、なぜサボろうとしているか聞きたくないか?

そうですか、聞きたくないときましたか。お願いします。言わせて下さい。

まあ単純に、体育が大の苦手だから。

しかも、今日は中でも壊滅的な跳び箱だから隠れてやり過ごすことにしたんだけど…ってうん?

ちょっとまてよ?

状況を整理してみよう。問題です。


Q:いま優斗君はどこに隠れているでしょうか。


A:跳び箱の中。


「・・・」


ミースったあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!


必死に声をおさえ、心の中で断末魔の叫び声をあげる。

もうすでに授業は始まってしまっている。

ちょ、詰んだんじゃね?

この日のために勉強時間を削って何十回も、何百回も体操服の早着替えの練習をしてきたんだぞ。

それがこんなことで無駄になるなんて。

ついに隠れている跳び箱に手がかかってしまった。

もうだめか。だめなのか。

おい、釈迦の息がないぞ! 

なんてこった。仏教もだめなのか。

「おい、めんどいからおしてこうぜ」

上から金本の声が聞こえる。

え、まじで?

「そうだな。そうしよう」

金本たちってこんなにバカだったのか。

普通に持って行った方が早いと思うんだけど今のおれにとってはありがたい。

こいつらほんっとにバカでよかった。

がんばれ、おれ!

跳び箱の動きに合わせて必死にからだを動かす。

このために柔軟もしっかりしてきたんだぞ!

約1分間の戦いの末、おれは・・・


やり遂げた。


心のスタンディングオベーションが巻き起こる。

やった、釈迦が生きてた!

キタコレ。あとはこのまま約40分耐え抜けばいいだけ。

というかいないことに気づかれないって悲しいな。

そうでなきゃ困るんだけどさ。

余計なことさえしなければもう余裕だ。おれの勝利は決まっている!

そんなことを考えながら汗をぬぐう。

・・・ん?

汗?

おれはハッとした。

体育館倉庫にいたときは適温で問題なかったけれど、体育館の中暑い!

しかも、跳び箱の中なので熱がものすごくこもっている。

出たらすべてがおしまいだ。耐えろ、耐えるんや。

後何分だ?

跳び箱の隙間から時計を見て確認。

残りは約30分である。

まだか。まだなのかボブ!(誰だよ)

汗をダラダラ流し、じっとする。

そうしている間にもだんだん意識が薄れていく。

これはいわゆる脱水症状というものかな。

み、水を・・・

この哀れな浅間君に水を与えてください。

オ ネ  ガ  イ   ダ   カ  ラ・・・

とそのとき、

キーン コーン カーン コーン(♯)

や、やった・・・

勝ったぞ~!

いっきに意識が戻る。

その解放感から思いっきり体を伸ばしてしまった。

頭の違和感を無視して。


ゴロゴロ ガタン


派手な音を立てて、跳び箱のてっぺんが転げ落ちた。

つまり、

オ・ワ・タ

や、やあみんな。そんな目でおれを見ないでくれよ。て、て、照れちゃうじゃないか。

ジトッとした目でみんながおれを見つめる。


「ほう浅間。のこのこと出てきたな」


はうっ!


「立派にやりとげたじゃないか。跳び箱の中にいるとは先生も驚いたよ」


そう言って肩をぽんぽん叩く。

あれ?以外と怒ってない?


「だが許されるとは思ってないよな!職員室に来い!」


そう言って肩をガンガンたたかれた。

ですよねー。

みんなへ爽やかに手を振りながら、首根っこをつかまれて、ぼくは連行されていった。


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