表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕は犯人じゃない  作者: 霜雪 雨多
2/8

2時間目 理科

はあ、化学とかは好きなんだけどな。生物分野は苦手だ。

本日はお手やわらかにお願いします。


「じゃあ前回の復習からだな。浅間、胃液中の消化酵素を答えてみろ」


げっ、ウソでしょ。いきなりあてられた。

昨日せっかく神社でお参りしてきたのに!(一円だけだったけど)

もう神は信じないことを誓う。


「はやくこたえろよ」


大哉が小声でせかす。

えーと、えーと。


「Pepusi と胃酸ですか?」


クラスメイトから笑いがもれる。あれっ、違ったか?


「浅間、なんだPepusiって。英語っぽくすればいいってものじゃないぞ。どうやって覚えたんだ。

あと、胃酸は胃液の成分だ」


正解じゃないの?


「しかし、消化酵素ではないからな。勘違いしないように」


ありゃりゃ。そうだったか。

さっそく心の中で唱えて覚える。胃酸は消化酵素じゃない、遺産は消化酵素じゃない。カン違いしないでよねっ!

これでカンペキだな。


「答えはペプシンだけで、タンパク質にはたらく消化酵素だ。消化酵素はテストで必須だからきちんと覚えておくこと。わかったな」


反省します。


「では金本、男の人生に必要なものはなんだ。」


おい、理科の質問じゃないだろ。

金本はいつになく真剣な表情で質問に答える。


「金と女です」


率直な欲望を堂々と言うなよ。ただの下衆じゃないか。


「その通りだ。おれもそう思うぞ。」


二人は力強く握手をした。

なんでこの人教師やってるの?


「今日は養分の吸収からだったかな…って大丈夫か佐々木」


突然佐々木が口を押さえてビニール袋を取り出した。

そして


吐いた。


あまり朝食を食べなかったのかひどくはなかった。しっかし、さっきの話のせいで気持ち悪くなったんじゃないのか?

正直少しにおいます。


「お、おい大丈夫か?取りあえず保健室行って来い。清水、付き添ってやれ」


「い、いや、大丈夫です。それに、これも捨てなきゃいけないので」


そう言って佐々木がビニール袋を示す。


「そうか?それならいいんだが。無理はするな」


ダサッ キモッ 信じられない

さっきのおれのときとは違う笑いがおこる。

高美のグループだ。


「お前なに吐いちゃってんの?まじ臭っ、あー臭あー臭」


さらに金本がわざとらしく鼻をつまみながらはやし立てると、佐々木は顔を真っ赤にしてそそくさと教室を出て行ってしまった。


「こら、おまえら静かにしろ!」


先生が注意して、授業を続けようとする。

しかし、なおも続くクスクス笑い。

嫌な空気だ。

大哉が目配せをしてくる。この空気を同じように感じているようだ。

別に笑うことじゃないだろ。

そう思って怒鳴ろうとしたそのとき。


「うるさい。授業のじゃま。人として恥ずかしくないのか」


平坦な声で。しかし、毒のある言葉で制したのは上野だった。


「ただの体調不良だろ。それを笑うとかどうかしてる」


その言葉に教室がしんとした。

おれは胸がキュンとした。かっこええ。

あ、ホモじゃないから。誤解しないでくれよ。念のため。


「上野の言うとおりだぞ。さあ、授業に集中しろ」


そうは言うが、全く集中できない。

上野が言いたいことを全部言ってくれたが、佐々木は本当に大丈夫だろうか。

はあ。なんでこんな人たちと一緒のクラスになってしまったのだろう。大哉と同じクラスだったことが救いか。上野もいい人だけど。

そしてなぜこの世にピーマンというものが存在しているのだろう。

そんなことを延々と考えていると、いつの間にかチャイムが鳴っていた。

まったく頭に内容が入ってこなかった…

え? もちろん世界遺産が消化酵素ではないことは覚えてるぞ。当然じゃないか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ