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僕は犯人じゃない  作者: 霜雪 雨多
1/8

1時間目 社会

今回はまだ事件は起きません。数話で事件が起きますので少々お待ちください。

教室には、単調なチョークの音だけが響いている。

退屈だ。

教室には、そんなぼくの気持ちを裏付けするかのように気だるい空気が漂っていた。

手紙をまわしているのはまだいい方で、中には堂々と居眠りをしている奴もいた。

まあ無理もない。「春のポカポカ陽気」に勝てるものなどいるはずがないのだから。敗北者は、欲求のおもむくまま、眠りへとおちていく。

教室には敗北した戦士達であふれかえっている。

かくいうぼくも、一人の戦士として睡魔と闘っている最中である。

あ、やばい。負けそう。

危うくKOされそうになるぼく。いままでのぼくなら負けていただろう。しかし、この間読んだ「眠気に勝つ十の方法」のおかげで、こんな眠気、敵ではない。

これは三つ目の方法だな。

そう判断し、おもむろに筆箱からワサビ(眠気覚ましの効果がある)を取り出す。

しかも、最高級の「真妻」という品種だ。丸々一本と、とても贅沢である。

何でみんな持ってこないんだろう?

残念ながらおろしがねが無いので、仕方なくワサビを豪快にかじることにする。

ぱきっ。ぽりぽり。

うん。ひとこと言おう。

 すーはー。

   

「かっれええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!」


 ほんとやばい。ここまで辛いなんて。ワサビの辛さをぼくはなめていた。

しかし、眠気ははるか彼方へとんでいってくれた。坂本師匠(この本の著者)、ぼくはやった。やりましたよ!


「浅間くん?何ですかそれは?」

 あ、やべ。見つかった。

 まあ、あんな大声を出したらばれるのは当然だな。しかも寝てた人も起きてるし。

 社会の田中先生だ。とても美人で、男女問わず人気だ。           


「ねえ、それはなにかな?怒らないから先生に教えてくれない?」

 

催促してきた。笑顔なんだけど、目が笑ってないんだよな・・・


「ワサビです」


 特に言い訳が思いつかなかったから、正直に答えた。


「うん。そうだね、その通りだね・・・廊下に立ってなさい♪」


 うわあ、すごいドスのきいた声で言われたあ。

「♪」とあるが、全くそんな雰囲気じゃない。 

すると、田中先生ファン(十二人)が無言ですかさずぼくを持ちあげる。

 ねえみんな、ぼくらは友達だよね?


「連れて行け。」


「イー!」


「やめろおおおおおおお!」


謎の掛け声により、廊下に放り出される。

 すごく痛い。


「今度先生に迷惑かけたら・・・ 分かってんだろうな?」


クラス一のファン 中山君におどされ、ガクガクとうなずく。

いやまてよ、あんたも寝てただろ。人のこと言えねえよ。

僕の侵入を拒否するかのように乱暴に閉められるドア。

 ふむ・・・

 何がいけなかったのか、今までの行動を振り返ってみる。

 ポク ポク ポク ポク ポク ポク ポク ポク ポク ポク ポク ポク ポク 

ポク ポク ポク ポク ポク ポク ポク ポク ポク ポク ポク ポク ポク  

キーン コーン カーン コーン(♯)

I  got it !


「おろさずに食べなかったのがだめだったんだ!」

「ちげえよ!」

 クラスのみんなにつっこまれてしまった。

悲しい・・・



「さっきのは叱られるのも無理ないだろ。」


「えー?眠くなったらわさび。これって常識じゃないの?」


「でも、わさびをそのままガブッとまるかじりするのははない」


ここで簡単な自己紹介をしておこう。

ぼくの名前は浅間優斗(あさまゆうと)。そして僕と話しているこいつは親友の北野大哉(きたのだいや)だ。

小学校低学年からの付き合いで、もっぱらぼくのつっこみ役をしている。


「本当にお前には常識ってもんが欠けてるよな」


何を言う。まったく失礼だな。僕は常識のかたまりだぞ。


「嘘をつけ」


大哉が苦笑する。


「もう長い付き合いだから分かってるが、常識という点だけで見たらまだあいつの方がましだぞ。」

そういって、馬鹿話で盛り上がってる男子グループを指さす。


「もしかして、金本か?」


かなりの美系なのだが、今のようにグループで集まって、馬鹿話ばかりしているので女子には嫌われぎみである。


「金本の方がましとか、おれにはどんだけ常識がないんだよ!」


「何を言ってるんだ。そんなのずっと前から自明のことだっただろ」


やれやれといった様子で大哉が手を広げた。

おれのことをそんな風に思ってたのか・・・

ちょっと傷ついたぞ。


「なんだ?金本と比べられるのがいやなら高美(たかみ)でもいいぞ」


「まあそっちなら認めてもよかろう」


彼女はここらで一番の金持ちで、基本偉そうにしていて、おれは苦手なタイプだ。

今も女子たちで集まって純鉄製だとかいうボールペンを自慢している。

鉄って純度99・9999%以上になると柔らかくなるんだけど知らないのかな。


「常識がないのは金銭感覚だけだろうからな。もしかして男女グループのリーダーを適当に示しただけじゃないのか?」


「残念。ばれちゃったか。おっと、そろそろ2時間目が始まる。てことで先に席に着いてるよ。」


こいつ、逃げたな。しかし言った通りなのでおれもおとなしく席に着く。次の教科の準備をし、授業の始まるのを待った。


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