第一話:ミライとカコのとんび事件パート1
時空管理班副班長のカコは、ものすごーくイライラしていた。
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時空管理という重要な仕事をしているわりには、生活は質素だ。
普通の人に自分達の姿は見えていないけれど、食べる物はもちろん、ほかの管理班のメンバーと遊んだりするのもふつうの人間と変わらない。
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そしてなぜカコがものすごーくイライラしているのかというと。
1時間と20分前、ミライが時空大通りに買い物に行こうとしていた。
カコが「時とびプリン」を3つ買ってといって、お金を渡した。
それっきり帰ってこないのだ。
時とびプリンというのは、時空を変えるエネルギーになる食べ物。
別に、プリンじゃなくてもエネルギーになるのだが・・・カコはプリンが好きなのだ。
しかも今日の夕方には、株式会社TKTと時間を変える取引をするのに・・・プリンがないと出来ない!
「ったく・・・自分で行くか。」
超特急でチャリに乗り、時空大通りまで行く。
「・・・ってあれはミライ?」
自転車のスピードを上げる。
「・・・あーっ!カコ!今帰ろうとしてたの!約束のとんびとプリッツ3つ!」
しーん
「・・・・・・ハァ?」
「え?なんかおかしい?」
「ちょ、ちょっと、僕が頼んだのは時とびプリン3つなんだけど。なんでミライは生きてるとんび(鳥)とプリッツを?」
「え・・・とんびとプリッツと思ってた・・・」
「プリッツはまあいいけど・・・なんでプリンととんびを間違える?このとんび飼うの?どこで買ったん?」
「え、とんび私も欲しかったし・・・」
「フツーだったらとんびなんか買わないよ!もー、とんびは逃がして!」
「え、もったいない!」
とんびはすまし顔。なぜか飛び立たない。
「あ、そうそうこの子翼を怪我してて飛べないんだって。逃がせないし、返品も多分できないよ?」
「とんびを・・・かう・・・」
その日はカコにとってはつらいものだった。
とんびの飼育はミライに任せたが、午後の会社との取引は大失敗。夕飯は大っ嫌いなピーマンの肉詰めだ。例のとんびに強くつつかれて肩から血が出た。さらに弟のユウキ(生と死の管理班班長)に「なんでとんびなんかー!」なんてからかわれ、とっつかまえようとしたが床のバケツをひっくりかえしてしまった。
「・・・ミライ、もう話し掛けるなよ」
「カコ・・・わざとじゃないの!」
「大体なんだよとんびって・・・」
この先のとんびが原因の脅威を、カコたちはまだ知らない。