Ⅱ
「もしもし、、代わりました。ミヤコです。」
「ミヤコか」
ミヤコの持っている受話器から重々しい声が聞こえた。
「ミヤコ今回のメンテナンスは1週間早く来なさい。」
「1週間早くということは・・・」
「付添人は零だ。一緒に来い。良いな?」
「先生」
「なんだ?」
ミヤコの心の中にはグルグルと何で今回は1週間早く行かないといけないのか。それと、零が付添人になってることが一番の疑問だった。
「なぜ、付添人が零なんですか?」
「いやなのか?」
「そういいうわけではないのですが・・・・」
「ここからはあまりあの子に聞かれたくないから、あの子を部屋に戻しなさい。」
「分かりました。」
ミヤコは受話器を置くと零に向かって部屋に居てと言った。零は聞き分けは良いほうだ。すぐに、自室へと走って戻った。
「先生。零が行きました。」
「素直に行ったか?」
「ええ」
「ミヤコ君は僕が見つけて、というか作られてどれくらいたっただな。」
ミヤコはひどく動揺した。なぜ、先生、零の父そしてミヤコの作り親いや、見つけの親陶冶はミヤコにどれくらいたったのか、とかを聞いたのか。
「・・・100年になります。」
「もう、そんなになったかな?」
「はい」
ミヤコは100年前に国盗り争いのために作られたMehanical Doll。ミヤコの体の中には100年前の国盗り争いの時に使われた戦闘機がまだ残っていた。陶冶はミヤコに何回か戦闘機を取り除かないかと言われていたが何回も断っていた。ミヤコの作りの親 慧人をミヤコは忘れたくなかったのだった。一度ボディを開けば記憶を失くすことになる。ミヤコはそれだけは避けたかったのだ。100年の月日を経て目を覚ませば自分を作った人が居なくなっていた。あるのは、戦場のない平和な世界。ミヤコは自分のいる世界を間違えたかのような気分だった。しかし、陶冶はミヤコに「君はここでまだやることがあるのだろう?いや、それとも・・・・慧人先生を忘れられないのかな?」と問うた。ミヤコはそれを聞かれたとき自分が分からなくなった。慧人に会いたいのか?それとも慧人にまた、抱きしめて「大丈夫だったか?」と優しい声で愛されたかったのか。頭は混乱するばかりだった。その時は、まさか自分が先生の息子の世話係をすることになるとは思ってもいなかったのだろう。
「先生。私やっぱり国都に行かなきゃいけないと思うんです。」