Ⅰ
30XX年 ニホン
「ミヤコ!早く来いよ」
「待って。零」
30XX年のニホンは『Mechanical Doll』通称『Medoll』を開発し富裕層に販売していた。そして、Medoll初号機MIYAKO 零の遊び相手をしているミヤコがMedollの初号機だった。零の父はニホンでも3本指に入る科学者だった。ミヤコが作られた後、他のMedollが作られるようになり零の父が零に誕生日プレゼントとしてミヤコを送ったのだった。
「ミヤコ?給油?」
「ううん。まだ大丈夫。」
「そっか。もうちょっとしたらメンテだね。」
「うん」
「いやなの?」
「そんなことないけど、メンテって1週間は国都に行かなきゃでしょ?それに、零は送り人としては年齢が足りないでしょ?だから、ずっと零のこと見てられないでしょ」
「お前、そこまで俺の事好きだったのか?」
「バカ、そんなわけないでしょ」
「そうだよな」
零は笑いながら言った。国都はニホンの真ん中に位置している。零とミヤコが住んでいるメリノからはかなりの距離がある。ミヤコは何度か零の父にメリノから国都へ零と一緒に来ないかと言われていたが断り続けていた。ミヤコはMedoll の初号機で零の父の最高傑作だった。ミヤコは国都に行くのが苦手だった。ミヤコが国都へ行くと国都の人々から好奇の目で見られることが多くあるからだ。
電話が突然なった。
「はい。もしもし。父さん!うん。分かった!ミヤコ!父さんからだよ!」
零は半月ぶりに来た電話に狂喜乱舞だった。ミヤコは恐る恐る受話器を取った。