Spoon
ごぽごぽとあふれる泡
ゴミ取りネットはすでに一杯
これでもかと積み上がった食器の山
こたつから顔を覗かせてる猫
生活感の溢れ切った部屋の色は
かえってモノクロの夕日に照らされて
濃いとか薄いとか
そんなことしか印象に残らない
排水口に一直線に
並んで流れていく包丁が
僅かに加工された名残を残して
以前ここにあったものとか
何かしらの残滓とか
きっと
一時はこのシンクも赤かったんだなとか
新聞の片隅に
なり切れなかった気持ちを
目の前に引っ張り出す
そうやって見ているものも
手を動かしてるものも
一番底に沈んでいる
歪んだSpoon
ぎょろっとした目だけが
覗き込んでるの
一か所だけきれいにしても続かないって知ってる。
ありがとうございました。