「偏見をなくせ、勇気をだせ」
「難しく考えないでさー、ねぇ、仲良くしよう?」
「偏見をなくせ、勇気をだせ」
祭とあたしで、みんなの思考の邪魔をする。言えば言うほどみんなの顔のしわが深くなっていくのは気のせいだろうか。気のせいだと思いたい。
「偏見、ね」
ぽつんとつぶやいた藤野さん。よし、この人は落とせそうだ。
「そうですよ、異形のモノが怖いなんて偏見です。ちゃんと話は通じましたし、大丈夫ですって。ね? 藤野さん」
畳み掛けるように言えば、
「それも、そうかな」
なんて。祭と顔を合わせ、小さくガッツポーズをした。藤野さんを味方に引き入れれば、もれなく水木さんも仲間になってくれる。
残りの美優さんと麗さんと千尋をどう落とすか、思案していると
「よし」
パンッと、美優さんが自分の膝を打つ。
「好奇心には勝てない」
美優さんの一言に、
「ちょっと、まさか」
麗さんがぎょっとしたように言う。まさか、まさか。
「あんた、異形のモノとかかわりを持つって言うんじゃ、」
「そのとおりよ」
麗さんの言葉は途中で遮られ、美優さんが堂々と言う。
「一か八か。みんなはあたしについてきてくれる?」
いたずらっ子のように輝く瞳であたしと祭に目配せする美優さん。その瞳を受け、あたしと祭はハイタッチをした。それも、思いっきり。
周囲にパンッと小気味いい音が響く。
「しゃーねーな」
最初に折れたのは、千尋。
「ゆーかがやる気なら、乗ってやんねーと」
祭とはしゃいでいるあたしを見ながらそういう千尋に、
「ありがと」
軽く抱きついてお礼を言うと、そのまま、あたしは千尋の腕に閉じ込められた。
千尋の言葉を皮切りに、水木さんと麗さんが
「やってやるわ」
と男らしく意思表明。これで、みんながあたしたちの味方についた。
「じゃ、そういうことで」
罰ゲームが決まったら、銃撃戦の準備と行こう。