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「罰ゲームのノリじゃーね…」

「じゃ、ご飯食べますか」


 その一声で、みんなはおとなしく自分の定位置に座ってくれた。


「じゃ、いただきます」


 美優さんの号令にみんなで手を合わせ、


「いただきます」


 と復唱する。それぞれに箸を手に取り、いつも通りにぎやかなご飯の時間となった。


「食べ終わったら、藤野と武下は壁建てね」


 カルボナーラを優雅に頬張りつつ、美優さんが指示を出す。


「女性たちは別荘の雨戸をとりあえず閉めましょう。防弾ガラスとはいえ、窓が割れちゃ困るから」


 そう言う麗さんは、優雅な動作に似合わず焼きそばをがっついている。


「了解ー」


 気だるげに言う水木さんは、自分で淹れたコーヒーを立ったまま飲んでいらっしゃった。姿勢が美しい。

 この会社には美人さんが多い。アイドルだから当たり前とはいえども私生活からきれいなのは羨ましい、と思いつつ祭を見る。お皿に焼きそば、カルボナーラ、ナポリタンと三種類の麺類を乗せ、幸せそうにそれらを頬張っている。その表情は、大人の女性とは程遠いながらも、明るくて無邪気だ。そんなかわいい仕草や笑顔に惚れるファンも多い。

 …うわ、そんなこと思ってたら自分に美点がなさすぎて悲しくなってきた。


「あ」


 美点を考えたくないがために異形のモノとのやり取りを思い出していたら、あることに思い至った。


「勝ったら相手を言いなりにできるんですけど、なんにします?」


 勝ったチームは負けたチームを言いなりにできると、確かにあたしは言った。相手はあたしたちの持つ影響力が欲しいとか、公共の電波がどーのこーのと言っていたけれど。こっちはどうするのか決めていない。


「あぁ、どうする?」


 美優さんも麗さんも、それぞれが困った顔になった。まぁ、確かにこっちが向こうに頼みたいことは特にない。


「罰ゲームのノリじゃーね…」


 あたしたちが普段やる罰ゲームと言えば、コスプレとか、ほっぺにちゅーとか。それを異形のモノにやらせるのは、さすがに。


「んー」


 どうするか、みんながそれぞれに思考を巡らせていれば、


「仲良くなりたい」


 と祭が爆弾発言を落とした。


「は?」


「それ、正気?」


 次々に避難され、祭がむっと膨れる。


「だって、仲良くなりたいじゃん。全然知らないし、あたしたちとは全然違うんだよ?好奇心湧くのが当然でしょ」


 ま、まぁ確かに。あたしはそう思ったのだが、


「あいつらに付け込まれたらどうするの?」


「全然知らないからこそ、仲良くするのはごめんだわ」


 大人どもの言い分に、ちょっと腹が立った。そんなの、まったくの偏見だ。


「言葉は通じたし、交渉にも応じてくれたし、まったく分からない奴らではないよ。良い奴かはまだわからないけど交流してみる価値はあると思う」


 祭の擁護に回ったあたしに、みんなは驚いたようで。


「あんなに怖がってたのに」


 さっそく、麗さんにつっこまれた。


「ま、まぁ、それは」


 うまく言い逃れはできない。だって、怖かったものは怖かったんだ。今の祭の発言で、その考えを見直しただけであって。



 うーんと、それぞれがまた思考を巡らした。



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