「止めろぃ!」
「友香、やっぱり肌きれいだね」
「そ、そう?」
ちょっとやばいかな。今、スイッチ半押しくらいか?
「ウエストも細ーい」
腰をつかんで、すりすりされる。そこから、徐々に上へと手が上がってきて、
「おっぱいもおっきーい」
「止めろぃ! 変なところを触るな!!」
来ると思った。
慌てて祭の手を掴み、祭の方へ向き直る。案の定、祭はむくれて
「いいじゃん、女の子同士だしさ」
もっと触らせろと、遠まわしに脅迫してきた。
「だーめ」
それでもかたくなに断っていると、
「なるほど。ここは彼氏くんだけの場所っていうこと?」
後ろから麗さんに胸を触られた。
「ちょ、麗さん!」
「あ、麗だけずるい~」
祭の手をつかんでいるため、抵抗が出来ない。
「やわらかいわねー。羨ましいわー」
麗さんだけは常識人だと信じていたあたしは馬鹿だった。麗さんだって、風呂場の意味不明なテンションに惑わされる。
というか、なんでここの人はここまでオープンなのだろうか。あたしでさえも、祭に触りたい! って思ったけど、それを隠してなかったことにしてるのに。
「止めてくださいよっ」
身をよじっていれば、
「たのしそーねー」
美優さんが浴槽からあがってきたらしい。
「あ!」
やばいって、もうやばいって。一番暴走するのは美優さんだって。もうダメだ。
体を死守しようと祭から手を離し、逃げようと美優さんから背を向ける。ちなみに、まだ体は泡だらけ。
麗さんの横をすりぬけて…と思っていたら、
「逃げないの」
と麗さんに体を抱きとめられ、
「とりあえずシャワー浴びようか」
体の泡を流された。祭も一緒に。若干鼻に水が入ってしまい、少しむせる。
「あら、大丈夫?…さて、浴槽へ行きましょう」
気遣ってくれたはずの麗さんの笑顔が黒かった。錯覚じゃない、絶対黒かった。