「チッ、修理代どーしてくれんだ」
本当はあるコンテストに応募するはずでした。しかし、応募するには枚数が足りませんでした。
ということで、泣く泣く(というわけではないですが)こちらに投稿させていただきます。
楽しんでいただけたら幸いです。
バンッやら、ドンッやら、辺りにはさまざまな音が飛び散っている。
あ、今窓ガラスが割れた。
「チッ、修理代どーしてくれんだ」
恨み事を吐きつつ、手に持ったよく分からない銃をテキトーにぶっぱなす。運よく、飛んでいった弾丸は“異形のモノ”を貫いた。
ところで、“異形のモノ”とはなんぞや。
その問いの答えは、まだない。今分かっている事は、その“異形のモノ”が数年前、突如としてこの地球に上陸したということ。そして、地球ではないどこか遠くの惑星に住んでいるらしいということ。
ま、“異形のモノ”というのは正式な名称ではなく、地球外生命体らしきもので、よくわからない銃やらレーザーガンやらをぶっぱなしているアブナイ連中を総称して呼んでいるだけのこと。
実際は、タコのような鎧を着たのがJOOL3、比較的人間のような形のモノがGERY5などと名前があるらしいが、そんなの知ったこっちゃない。何て発音するのかさえも謎だ。
「もー、どーすんのさ」
「せっかくのビーチが台無し」
銃撃戦をなんとか脱し、ようやく別荘に戻ってくれば。リビングの机に突っ伏し、ぶーたれているのは城本祭と乙野美優。
「しかたないわね。しばらく、ここから動けないわ」
鬼塚麗の冷静な判断に、
「そんなぁ」
と弱音を吐いたのは、あたし、守田友香だ。
「だいたい、なんでここ狙うのかしら」
さっきの“異形のモノ”たちは、明らかにあたしたちを狙っていた。美優さんの疑問ももっともだと頷いていれば、
「知らないし」
不機嫌、かつ苛立った祭の声。フリーダムに生きている彼女としては“異形のモノ”ごときに行動を制限されるのが辛いのだろう。
「はいはい、我慢してね?」
年齢的には年上の祭の頭を撫でれば、
「バーベキューの予定が…」
そう呟きながらも、祭は心地よさそうに目を閉じた。
「夏休みで良かったわ」
「こんな状態で活動にも学業にも問題がでるなんて、考えたくもないわ」
ぼそりと呟く美優さんに、麗さんのごもっともな意見。学生のあたしを気遣っての意見に、ちょっとだけ笑みがこぼれた。
「…訓練しといて良かったって、ホントに思った」
襲撃に備えて、なんて冗談のつもりで銃撃の訓練をしていたけど。そう言えば、
「そうだね、訓練してなかったら一発で終わってた」
祭が真剣にそんなことを言う。
いつになく真面目な表情と、さきほど実感した襲撃の緊迫感を思い出し、背筋がひやりとする。ここに居れて、普通にみんなとしゃべれていて、本当に良かった。
「で、これからどうするの」
ぶるりと、身震いしたあたしを知ってか知らずか、麗さんが美優さんに問いかける。
「ま、テキトーにやってりゃ、なんとかなるでしょ」
次いででてきた美優さんのいい加減な意見に呆れつつ、それしかないかと開き直った。