飲み込んだ。
結局、兄の隣室の音はお日さまが昇るまで続いた。いつもの事だ。弟の方は丑三つ時を過ぎた頃に止んだ。自分だけさっさと寝やがって。酷い奴である。眠気に欠伸を溢しながら階段をゆっくりと降りていくと、長男がキッチンに立ち、残りの二人は既に食卓に付いていた。
最後の段差を降りた時、丁度こちらを向いた長男、優也と目が合った。どうやらコーヒーを淹れていたらしい。これもいつもの日課だ。
「おはよう。紗雪」
ニッコリと笑みを浮かべ、こちらに微笑む兄に「おはよ、」と軽く返事を返しながらも瞼が段々と下がっていくのを感じた。そんな私を見ていた兄はムッと顔を顰めた。
「お前また夜更かししてたのか?いつも早く寝ろって言ってるだろ」
「あー、はいはい。ごめん、ごめん」
あんたらが原因だかんな?と思いながらも不満を飲み込み、既に朝食が用意されている自分の席に座り、「いただきます。」と呟いて食べ始めた。未だ不満そうな様子の兄はほうっておく。
「姉さん、昨日ずっとゲームしてたでしょ。ほんとに好きだよね。飽きないの?」
呆れた顔をこちらに向けた隣に座っていた弟、結望には取りあえず頷きかえした。君こそ毎晩呪い続けて飽きないの?と聞きたいけど怖いから食べたパンと一緒に飲み込んだ。
「ゲームも良いけど程々にしとけよな。」
口を挟んだもう一人の兄、和希にも取りあえず頷いた。お前のせいだからな?という言葉はいつの間にか置かれていたコーヒーと一緒に飲み込んだ。
「……困ったものだね」
うちの兄弟は皆なんて自己中なんだ、という意を込めて溜息をこぼせば、前に座っていた裕也がものすごく白い目を向けてきた。
「…自分のことを言ってるのか?」
その言葉、そっくりそのまま返して差し上げましょうか?という言葉は残りのコーヒーをグイッと飲んで飲み干した。




