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4話 ひとりきりの休日実験、そして全裸ダッシュ

春の休日。目覚ましもかけてないのに、カーテン越しの淡い光と外の鳥の声で目が覚める。


布団の中で大きく伸びをしながら、(今日はやるぞ)と自分に気合を入れる。


朝食のテーブル。妹はスマホ、母さんはパンを焼いてて、父さんは新聞。

どうでもいい会話が意外と心地いい。


リビングからは母さんと妹の笑い声、食器のカチャカチャ鳴る音、父さんのくしゃみまで聞こえてくる。


「清透、親戚の家、行かない?」

母さんの優しい声がドア越しに聞こえてきたけど、俺は「今日はテストの勉強」って、完全にウソついて断った。


妹は「絶対うそ、私も家がよかった!」ってリビングから叫ぶし、父さんはコーヒーカップ片手にニヤリと笑ってる。


やがて家族が出発の準備。

「夕方まで帰らないからね」「戸締まり忘れずに!」と母さんが念押し。

妹も「兄ちゃん、家壊さないでよー」なんて茶化してくる。


父さんも「お前の一人は心配だぞ」なんてぼやくけど、母さんが「勉強頑張るのよ」って最後にフォローしてくれた。


車のドアがバタンと閉まり、エンジン音が遠ざかる。


……静寂。俺だけの世界。


玄関で大きく深呼吸。(今日はマジで俺の一日だろ、これ)


“完全一人占めの休日”が始まった瞬間だった。


まずは家じゅうのドアや窓を全部カギ確認。「よし……!」って小さくガッツポーズ。


誰もいないリビングもキッチンも廊下も、全部が“無音”で自分のものって感じ。

(この解放感、ヤバすぎだろ……!)って思わず心の中で叫んでた。


部屋に戻ると、テンションが自然に上がってくる。


「よし、透明実験開始!」

右手を高く突き出して、いよいよ“俺だけの冒険”の始まりだ。


机の上に、リモコン、スマホ、ノート、ペン――“主役級”の日用品をちゃんと並べてみる。


まずは「手を触れずに物を消せるのか?」って実験からスタート。

リモコンや教科書をガン見しながら、「透明化!」って小声で唱えてみた――けど、何も起こらず完全スカ。

(地味すぎる……てか、これ自分でやってて完全に厨二病だろ)

自分でツッコミ入れつつも、“もしかしたら何か起きるかも”ってワクワクが止まらない。


次は“直接触れての透明化”にチャレンジ。

服の袖をつまんで念じてみたら、手と袖が一緒にスッと消えた。その瞬間、「おおっ!」って声が漏れる。


枕を抱えて発動してみたら、枕も一緒に消える。手を離したら“ぽんっ”と元通り。

(このギャップ、クセになるな……)ってひとりでニヤける。


机の端を両手で掴んで同時に透明化。左右だけが消えて、(おもしろすぎ……)ってひとり吹き出す。


「どこまでいけるんだろ?」――そんなこと考えながら実験を繰り返していくうちに、“物理ルール”の壁も見えてきた。


持てる重さやサイズには限界があるし、手を離した瞬間に解除――

地味だけど、こういう着実な“科学実験”がわりと楽しい。


ドアノブも掴んで消してみる→手を離すとドアノブだけ現れる。

(地味すぎて逆におもしろいんだが!)って謎テンション上がる。


(映画や漫画で見る「壁抜け」――これ、俺にもできる?)

そっと指先を壁に当てて、集中、透明化発動――指先が冷たい壁をゆっくり貫通していく!


「……うお、マジで通った!?」って思わず声に出る。


手首、肘、段階的に“壁の向こう”へ進めていく。

(やば、俺このまま幽霊になれそうじゃん……!)


調子に乗って額を壁にくっつけてみたら、視界が廊下に切り替わった瞬間――「このビジュアル、妹に見せたら100%失神だな」ってつぶやく。


(頭だけ壁から出てるって、これホラーすぎ!)自分がその姿を想像する。


さらに、“体全体で壁抜け”もチャレンジしたけど、肩とか背中で引っかかって(全身はまだ無理か~)とがっかり。


でも、このアホな実験こそ男子の休日って感じだよな、と思えてくる。


次はキッチンへGO。

「火もすり抜けるのかな?熱さ感じない?」ってちょっとビビりながら実験。


ガスコンロの炎に透明化した手を近づけてみたら、(まさかの“熱さゼロ”!万能感ハンパない!)


……と思ったら油断した瞬間、うっかり実体化して、

「ぎゃっ!」と火傷寸前で飛び退く。「万能感と地獄、落差激しすぎ!」と半泣きで絶叫。


極めつけは“全裸フル透明化”バカ実験。

(もし全裸で家歩いたら、絶対気持ちいいだろ。一回やってみたかったんだよ)


服を脱ぎ捨ててフル透明、堂々とリビングを闊歩。

(服ないとこんなに解放感あるのか……自由バクハツ!)


――ちょうどそのとき。

玄関のカギがガチャリと回って、家族の「ただいま!」の声。


全身の血が一気に凍る。あわてて部屋へダッシュ!

けど、集中力が切れて透明化解除――廊下のど真ん中で全裸実体化!


「清透!何やってんの!」

母さんが絶叫。父さんは呆れ顔で「お前、家でもそれはやめろ」と地獄の追い討ち。


妹は「……最悪」と一言。


両手で全力ガードして、顔真っ赤で自分の部屋に猛ダッシュ。

布団に潜り込み、「人生オワタ……!」と心の中で絶叫。


(万能気取りでこれかよ、俺……もう完全にコントだろ!)


布団の中、羞恥と惨めさで転げまわりながらも、

「でも、めちゃくちゃ面白かった……クセになる!」とポロッとつぶやく。


(この能力、地味でも前向きに極めてやる。今度こそ絶対バレないように!)


バカみたいな失敗のあとでも、“次の挑戦”のワクワクは止まらない。


(明日はもっと慎重に……でも絶対また“新しい実験”やってやる!)


夕方の静けさに包まれながら、

“日常と非日常、失敗と発見が混じり合う休日”が、ゆっくりと終わっていく。

おもしろいと感じた方は、「亀の甲より年の功」をクリックして、他の作品もぜひご覧ください。まったく異なるジャンルの物語を書いています。

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