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3話 “普通”の壁と、孤立のはじまり

布団の中、真っ暗な天井を見上げていた――神原清透。


――これ、本当に“現実”なのか。


寝汗でシーツがべたつき、心臓はドキドキ。全身が火照って、なんだか熱い。


(マジで全部起こった! 夢じゃねえ!)


おそるおそる右手を握ってみると、指先がまた“ぼんやりと透けていく”。

しかも今度は「消そう」と思わなくても、勝手にスケスケ発動。

(制御不能! 体全部消えたらヤバい! でも、ヒーローっぽくね?)


枕元で右手をじっと見つめ、指をクイクイ動かす。

「今なら消せる!」って謎の自信が湧くけど、同時に(勝手に消えたら終わりだ! でも、俺だけの秘密、超カッコいい!)


リビングに降りると、母親が朝食をガチャガチャと用意してた。

「清透、顔色悪いよ? 昨日、寝てなかったんじゃない?」

その優しさが、ちょっと胸に刺さる。

父は新聞から顔を上げず、「何かあったのか?」とひと言だけ。


パンを取ろうと手を伸ばすと、指先がうっすら透けかかる。(今だけ普通で!)

必死に念じて、なんとか元に戻す。

妹の未咲が「なんか兄ちゃん、手元おかしいよ」と鋭いツッコミ。

母は「まあ、青春の悩みでしょ」とニヤリと流してくれる。

(青春じゃねえ、超能力だ! 家族にバレねえ秘密、めっちゃ特別!)


家を出ると、通学路の空気すら、いつもよりキラキラして見える。

成瀬と真央はいつものテンションで「おはよー!」と全開。

ただ、美咲だけは少しよそよそしい。「……おはよう」と短く返すだけで、目を合わせてくれねえ。

(昨日のスケスケ、ビビったか? でも、俺だけが持つ力、スター感ハンパねえ!)


登校坂で、成瀬が「昨日はビビったな。でも気にすんなって」とおどけて肩をドンッと叩いてくる。

真央は目をキラキラさせながら、「透明マジックのネタ提供、感謝! 次はカバン消してみてよ!」とノリノリ。

(真央、オカルト好きすぎ! でも、この力、うまくやればクラスのヒーローだろ!)

美咲は黙って歩いてるけど、チラッと俺の手を見ては、ちょっとだけ距離を取っていた。


一限目の授業。先生がプリントを配るとき、右手がまた“うっすら透けて”しまった。

(頼む、透明、俺の言うこと聞け!)

隣の席のやつが「ん? お前、手どうした?」と怪訝な顔。慌てて教科書で隠して「なんでもねえ!」と誤魔化す。


窓際では成瀬が「昨日のアニメ、マジ神回!」と拳を振り上げ、隣のやつが「いや、ラスト微妙だろ!」とケーキの切れ端を口に放り込みながら反論。

委員長が「ねえ、静かにしてよ!」とキレ気味に叫ぶけど、自分もスマホで新曲流してノリノリ。

真央はスマホで透明マジックの謎解き調べ、「あった、これ透明マジック。清透、これで証明」と無い胸を張ってる。

後ろの席では誰かが「カレーパン賭けて勝負な!」とトランプをシャッフル。

笑い声と足音が響き合い、黒板前の女子が「テスト範囲どこ!?」とパニック。

清透はポケットに手を突っ込み、スケスケの指先を隠しながら(今は、制御できてる)とニヤッ。


しかし、体育の時間、ジャージの袖が無意識にスケスケ。慌ててタオルで隠す。

バスケのドリブル中、ボール持つ手が一瞬透けて、チームメイトが「うわ、ボール浮いてね!?」と騒ぐ。

「マジックだよ!」と笑ってごまかすけど、心臓ドキドキ。(この力、目立ちすぎ! でも、ヒーロー感ハンパねえ!)


昼休み、購買でカレーパンを奪い合ういつものバカ騒ぎ。

成瀬が「神原、昨日みたいな手品またやれよ!」と煽る。

真央が「絶対オカルト! 次は足とか消してみて!」とノリノリ。

美咲は「…やめなよ、変なの」とポツリ。

試しにパンの袋を握る手の一部を透明に。成瀬が「うお、すげえ!」と大盛り上がり。

でも、またもや美咲の冷たい視線に、(調子乗ったか…でも、この力、スターいける!)とチクッと不安。


放課後、教室で一人、窓の外を眺める。

昨日は「ヒーローになれる!」って浮かれてたけど、今日の美咲の反応やクラスのヒソヒソ話で、ズシッと現実が重い。


家に帰り、夕飯のテーブルでも、未咲が「兄ちゃん、今日も手おかしかったよね?」とニヤニヤ。

母は「高校生なんだから、もっと堂々としなさい」と笑う。

(堂々って…体が勝手にスケスケだよ! でも、家族にバレねえなら、俺だけの秘密アドベンチャー!)


夜、ベッドで天井を見上げる。友達も家族も、自分から遠ざかっていく気がして、怖い。

それでも――


(絶対バレねえ方法を見つける。次は、誰にも気づかれずに使いこなしてみせる)

孤立の影に包まれたまま、新しい戦いを心に誓う――。


静かな部屋で春の夜風がそっとカーテンを揺らす。

透明な手をじっと見つめ、(透明、頑張れ)と強く心に念じながら、俺は目を閉じた――。

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