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15話 クセつよ記者、現る!?

放課後のカラオケボックス。

四人だけの空間に、久しぶりの明るい笑い声が響く。

マイクを片手に、陸斗が「さぁ、次は俺の十八番だー!」と大騒ぎ。美咲と真央も、ドリンク片手に合いの手を入れながら盛り上がっている。


悪徳学園事件の緊張もすっかり解けて、部屋の空気は安堵と余韻でやわらかい。

清透はちょっと気を抜いた表情で、「正直あの学校は怖かったよ」とつぶやく。

陸斗はすかさず清透の肩をバシッと叩いて、「お前がいなきゃどうなってたかわからん!」と大笑い。

美咲はほっとしたように、そっと微笑む。「清透くん、本当に無事でよかった…」


真央はマイペースにノートをめくりながら、「次はUFO騒動の再現が見たい」と話を空に飛ばす。


そんなにぎやかな空気の中、突然、カラオケルームのドアがコンコンと控えめにノックされる。

「注文してないけど…?」陸斗が首をかしげながらドアを開けると――


そこに立っていたのは、ヨレヨレのスーツに短すぎるネクタイ、寝癖がピンと立ったメガネの中年男。

しかも、入ろうとした瞬間、段差で足を滑らせて派手に転倒。靴がコロコロと部屋の隅まで転がっていく。


「うわ、やっちまった…」と恥ずかしそうに立ち上がりながらも、どこか飄々とした笑顔で名刺を差し出す。

「どうもどうも、週刊ポンポコの八雲です。えーと、清透くんの“透明化”について、ご相談が…」


その一言に全員が固まった。特に清透は、(バレた!)と一瞬で顔が真っ青になる。


陸斗が「どなたですか?」と詰め寄ると、八雲は「ご安心を~、敵じゃないですよ~」と妙に気の抜けた声で返す。


空気を読まずに、入室した八雲は、なぜか自慢げに「いやー、最近取材で変な現象ばっかり追いかけてて……膝もズル剥けなんですよ見ます?」とズボンの裾をめくり始める。

清透たちが戸惑う中、八雲はメガネを直しつつ「清透くん、透明化のこと、実は見させてもらってました(ドヤ顔)」と突拍子もない告白。


美咲と真央は一気に動揺し、陸斗は「あんた、なんだ!」と叫ぶ。

清透は下を向いている(僕の人生昇天、研究所まっしぐら)


八雲は「いやいや、敵じゃないって本当に!実は…」と一瞬真面目な顔になる。


美咲は清透の腕をぎゅっと握り、「大丈夫、私たちがついてるから」とそっと励ます。

(美咲天使、でも、僕守られてる、情けない)


陸斗と真央も身構えつつ、八雲の奇行に困惑。


すると八雲、「まずは話だけでも聞いてくれるとうれしいな~」と頭を下げ、なぜかカラオケのリモコンを頭に乗せて土下座。

あまりのインパクトに、全員が呆気に取られる。


八雲また椅子に座り直すと、急に真顔になった。

「少し、君たちが感じている、今の世の中への不満とか教えてくれないかな?」


陸斗は最初に口を開いた。

少し照れたように髪をかきあげながら、どこか自信ありげな目。

「俺は、特に大きな不満はないかな。まあ正直、友達で困ってるやつは増えてるし、もう少し“みんなが明るくなれる世の中”なら、もっといいなとは思う。」


八雲は「頼もしいなあ!」と親指を立てるが、メガネがまた落ちた。


清透は少しうつむき加減で、指先をいじりながら答える。

「僕は……正直、不安だらけです。勉強もできるわけじゃないし、社会でちゃんと生きていける自信が全然ない……」


八雲は黙って頷くと、鞄から自家製おにぎりを出して清透に差し出す。「おにぎりでも食べときな!」――しかし誰も手を出さず、気まずそうにおにぎりを引っ込めた。


美咲は手を膝の上で握りしめ、小さな声で話す。

「……私、今の世の中って、ちょっと窮屈かなって思う。みんながみんな、誰かを批判してる気がする。でも人それぞれ事情があるし、仕方ないのかな」


真央は、例によってオカルトノートにペンを走らせながら、目を輝かせて言う。

「世の中、謎や不思議が多いのに誰も真剣に考えてくれない。UFOとか宇宙人とか、妖怪もちゃんといるのに、誰か調べてほしい。まあ、私が将来謎を解き明かしてやる」


部屋の空気は、ギャグと本音が入り混じって、なんとも言えない温かさに包まれる。


八雲は、みんなの話を聞き終えると、顔をくしゃっと笑顔にして言った。

「なるほどなぁ。君たちみたいに自分の気持ちをちゃんと話せる若者、なかなかいないよ」

「じゃ、また連絡するかも!お礼に、次来るときはみんなに“謎のタヌキ最中”差し入れするから!」


勢いよく席を立とうとして、思いきりテーブルの脚に足をぶつけ、見事にこけそうになりながら

「じゃ、よろしく!夢を諦めずに!」


そして八雲は、急に鋭い目線で清透を見つめた。

「清透君、君の力があれば、世の中は変えられる」


メガネを直しながら、八雲は部屋を後にした。


四人は呆然と見送ったあと、ふっと緊張が抜けて、なんだかちょっと笑ってしまう。

それぞれの胸の奥には、小さな勇気と、やる気みたいなものが、確かに灯っていた――。

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